・Sr.阿部のバンコク通信 ㊹街中の“電線芸術”も、また楽しからずや

 26年前、日本からフィリピンへ、数か月してタイ国へ、教会の宣教の手伝いに来ました。振り返ると、この間のITの開発進展は目覚ましく、タイに来た当時の自分の状況を思うと、驚きです。

 当時、マニラで仕事中の突然停電は日常茶飯事、大事な作業が水の泡。気持ちを切替え祈りの勤めに聖堂へ。来泰当初も同じ混乱を体験。最近は稀ですが気をつけて作業しています。

 大都会化したバンコク、近郊の工場地帯の電力使用量も膨大。主な電力資源は天然ガス、石炭、石油。太陽光、風力、水力、バイオマス•ガスの資源開発にも精力的に取り組んでいます。街中に電線が束になって括られているのを見、よくまぁ混線せず送電出来ているなぁ、と見惚れてしまいます。(写真右)

 高圧線中心に地中埋設工事も進められていますが、ほんの僅か。低圧線配線の地中下はまだまだ。電柱がなくなるまで当分の間、見事な『電線芸術を街中で楽しむのも、いいのもだ』です。

 父の死も山奥で知りました。ミサ後、ローソクの光で夕食をとっている所へ、知人が訃報を知らせにバイクで駆け付けてくれたのです。「すぐ山を降りれば、翌日の便で葬儀に間に合うから」と。「神学生たちを山に残して行くか?それよりも、父が喜ぶ見送りは、務めを果たすこと」。そう思って知人に託した速達便は、葬儀に間に合いました。夜空に満天の星が輝いていました。

 2000年頃から、日本の神学生や青年達を連れて体験学習。ボランティアでタイ北部、海抜2000㍍前後の山岳の村々に入っていますが、大切な事はしっかり届いているから驚きです。電気も電波も届かないこんな山奥まで、カトリックの信仰が生き生きと…。宣教師が徒歩で回り、村に泊まり、共に働き導いて、さらに奥の村々へ…。脱帽、乾杯です。

 新型コロナウイルスの大感染で騒然とする社会、孤立する人々の手中でITの活躍も頼もしい限り。祈り励ましの電波が勢いよく寄せ、返す。命、希望、慈愛の架橋となり、人類社会、宇宙への貢献の役者となるよう、手中の媒体を大いに活躍させ、躍進したいと思う日々です。

(阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2020年6月1日