・Sr.石野の思い出あれこれ ㉕遂に修道誓願!「キリストの花嫁」になった深い喜びと感激

 初誓願を立てたシスターたちが活気と希望に溢れてそれぞれ新しい任地に向けて出発しておよそ2か月半後、誓願を立てる日が来た。ローマの聖パウロ女子修道院と地続きの聖パウロ会本部修道院にあるヤコボ・アルベリオーネ神父(聖パウロ家族の創立者)の小さな私的聖堂で、私は誓願を立てた。

 アルベリオーネ神父と私たちの修道会の総長マエストラ(先生)・テクラ・メルロ、副総長のマエストラ・イグナツィア・バッラ、修練長マエストラ・ナザレ―ナ・モランディ、それに誓願を立てて間もない二人の日本人のシスター立ち合いのもと、私の誓願式は行われた。

 写真を撮る人もいなければ花もない。ただ、引き込まれるような沈黙と緊張感が、あたりを支配するーそんな中での静かな式だった。震えるような思いで、誓願文を読み上げ、一年間の有期誓願を立てた。言葉ではとても言い表すことのできない深い喜びと感謝、感激が、私全体を包んだ。

 洗礼を受けた時の霊的甘味さと全く同じ内的経験をした。修道誓願は「第二の洗礼」と言われているが、本当にそうだ、と実感した。私は神様のものになった。生涯、神様のもの。絶対にこの決意を曲げまいと、心に誓った。3人のイタリア人のシスターたちが「おめでとう」と言って、一人ずつ静かに私を抱擁してくれた。

 簡単だが、内容豊かな式が終わり、聖堂を後にして私たちの修道院に戻ると、一緒に修練をしていた仲間のシスターたちが、総出で私を待っていてくれた。「おめでとう」、「おめでとう」と祝福の雨で私を迎え、キスとハグで私はもみくしゃにされた。普段なら「うるさい」と感じるところだが、その日は嬉しかった。とても嬉しかった。

 夜、一人になると再び心の底から熱く、そして深い喜びと感激が込み上げてきた。私はキリストの花嫁になった。完全にキリストのものになった、決して、決してキリストから離れまい。暗いしじまの中で、私は一人、生涯の忠実を誓った。興奮してなかなか眠れなかったが、やがて静かな眠りについた。

( 石野澪子=いしの・みおこ=聖パウロ女子修道会修道女)

*  聖パウロ女子修道会では昔、役職にあるシスターをマエストラ(先生)と呼んでいた。現在は一律にシスターと呼ぶ。

 

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2020年7月31日