・Sr.石野の思い出あれこれ ㉔シスターになるー一年間の修練を終え、初誓願の喜び

 一年間の修練を終えると、初誓願を立てる。初誓願をもって修道女は修道会の正規のメンバーになる。最初の誓願は1年の有期誓願。だが、誓願文にも「…終生捧げつくす意志をもって、私______は向こう1年貞潔、清貧、従順に生きる誓願を宣立いたします」とあるように、誓願を立てる修道女は初誓願の時すでに生涯の奉献を心に誓っている。1年が経過したらまた、新しく1年更新する。

 こうして一年の有期誓願を3回宣立した後、更に前に進むことを望むなら2年間の願を立てる。そして初誓願から5年経った時、終生誓願を宣立する。誓願が切れた時点では、本人の意志によって修道会を出ることもできるし、また修道会は、修道女にこの生活への適性がない、と判断した場合は、会から去ることを命じることもできる。

 初誓願を立てた若いシスターたちからは、燃えるような熱意と溢れるほどの喜びが伝わってくる。誓願宣立後、外国から修練のためにイタリアに来ていたシスターたちは、豊かな経験と知識に富まされ、新しい生活への希望に胸を膨らませて、それぞれ母国に帰って行く。イタリアのシスターたちは、外国での宣教やイタリアにあるいくつもの支部修道院に派遣されての新しい生活に備える。

 終生誓願を立てるまでの5年間の有期誓願期は与えられた使徒職に従事しつつ、召された召命の道で成熟し、キリストのうちに自己の生活を統合する歩みを続けながら終生誓願に備える。

 しかし、たとえ新しい生活への喜びと希望にあふれているとはいえ、修練の1年間を姉妹のように苦楽を共に過ごした仲間たちと別れるのはつらい。

 イタリアでは(欧米では一般に)、人が会う時や別れるときは互いにハグをし、キスをして挨拶する。修練の間、これは禁じられていた。ところが誓願の喜びの日は解禁されて爆発。あちらでもこちらでも、互いに抱き合い、励まし合い、別れを惜しむ姿が見られた。

 身も心もすべてを神に捧げた若き奉献者たちは、燃えるような情熱と熱い思いを胸に、新しい生活の第一歩を踏み出すのである。

( 石野澪子=いしの・みおこ=聖パウロ女子修道会修道女)

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2020年6月30日