・Sr.石野の思いであれこれ⑩志願者生活-ミサ、祈り、神学の勉強…鏡はご法度

 シスターたちは志願者にいろいろ教えたくても言語障害が立ちはだかる。そこで聖パウロ会のパウロ・マルチェリーノ神父さまや、グイド・パガニーニ神父さまが助けの手を延べてくださり、修道会の歴史や、聖書について講義をしてくださった。

 また志願者は入会するとすぐに上智大学の神学講座に通って神学の勉強をした。シスター・アウグスタのイタリア語のレッスンもあり、学生生活の続きのようで楽しかった。ミサや朝晩の祈りの他に、日中一時間の祈りもあった。これは、シスターの指導によって行われた。

 規律や日課、時間割などは、毎日繰り返されるので、一応説明され実行しているうちに自然と身につく。朝は5時30分にシスターがたたく手の音で起床。身支度を整えたら廊下に整列して聖堂まで行く。夜の祈りの後、翌日の朝食までは大沈黙。必要なことだけをごく、ごく小さな声で話す。だから朝は沈黙のうちに身支度を整える。

 ところがここに大問題が横たわっていた。鏡を使うことは、シスターの卵たちには許されていなかった。「なぜ?」と,私たちは疑問を持ったが、ただ従がった。「目上には従順であること」と教えられていたから。でも、100パーセント受け入れることは出来なかった。

 さて、どうしよう?皆で頭をひねって考えた。その結果、名案が浮かんだ。日本家屋なので、雨戸を閉めて暗いままで部屋に電気をつけ、障子を開けると雨戸の内側にあるガラス戸に姿が写る。大発見と喜んだ私たちは、毎朝、支度が整うまで、雨戸とガラス戸を閉めたまま、そこに姿を映して、髪を梳き支度を整えた。

 それを知ったシスターからお目玉頂戴。そのうち、私たちも鏡なしで、難なく支度ができるようになった。

( 石野澪子=いしの・みおこ=聖パウロ女子修道会修道女)

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2019年4月28日