・「東京カトリック神学院の院長に稲川氏が就任」菊地大司教の日記より

2022年5月 8日 (日) 東京カトリック神学院の新院長に東京教区の稲川圭三神父様が就任

 5月8日は世界召命祈願日ですから、司祭養成の場である神学院について、少しお話しします。

 日本の教会には、教区司祭を養成する神学院が二カ所に設けられています。教区司祭養成の神学院は、福岡と東京にあり、九州と沖縄の5教区は福岡の神学院(福岡カトリック神学院)を、それ以外の大阪教会管区と東京教会管区の11教区は東京の神学院(東京カトリック神学院)を運営しています。

2022rector01 近年、東京の神学院では、基本的に修道会の司祭志願者も受け入れていますが、そういった修道会からの聴講生も含めて、毎年20人から30人ほどの神学生が在籍し、その中で東京教区から、今年度は4名の神学生が在籍しています。

 現時点での東京の神学院の養成は、予科(1年ないし2年)から始まって、哲学を2年と神学を4年。その後助祭に叙階されて半年以上を経てから司祭に叙階されることになっています。

 以前は、神学の3年目終了時の神学4年目に助祭に叙階されていましたが、現在の司祭養成は2016年に教皇庁聖職者省が示した司祭養成基本綱要「司祭召命のたまもの」に基づいて、生涯をかけての養成プログラムへと根本的に変えられました。

 なおこの司祭養成基本綱要は邦訳が単行本として今年の3月に出版されています。またこれに基づいて、それぞれの国の司教団は、地域の事情に応じた個別の司祭養成の基本綱要を作成することになっています。

 哲学や神学やそのほか様々な科目の先生は、各地から通って授業を担当してくださっていますが、神学生と一緒に神学院で生活をともにする養成担当者が不可欠です。

 修道会の神学院の場合は、それ自体が修道院共同体なので、当然神学生以外にも複数名の修道会員が居住しており、神学生の霊的養成に参加するのですが、教区の神学院は事情が異なるため、養成担当者をいずれかの教区から派遣しなければなりません。

 現在、東京の神学院では、4名の司祭が神学生と寝起きをともにしています。その内訳は、東京教区、横浜教区、名古屋教区かTkomsem01らそれぞれ1名の3人が養成担当、これにグァダルペ宣教会のマルコ神父様が霊的指導者として加わっています。そしてその中の誰か一人が、全体の院長とならなくてはなりません。

 加えて東京カトリック神学院の院長は、教皇庁の福音宣教省長官が任命する役職です。

 昨年までは大阪教区の松浦信行神父様が院長に任命されていましたが、このたび任期が満了し大阪教区にお戻りになりました。

 東京カトリック神学院司教団の推薦に基づき、新たに今年度4月から、東京教区の稲川圭三神父さまが神学院長として、福音宣教省長官タグレ枢機卿から任命をいただきました。

Tkomsem02

 過日、ローマからの書類や正式な任命書(もちろんラテン語で書かれています)が届き、教皇庁大使館で教皇大使が見守る中、稲川圭三神父さまは定められた方式で、荘厳に信仰宣言を行い、誓約書に署名されました。私は稲川神父さまの所属する東京教区を代表して同席させていただきました。(上の写真は大使館での院長就任の誓約書に署名する稲川神父さま)

 稲川圭三神父様、院長就任おめでとうございます。教会にとって大切なお働きに、神様の豊かな祝福と導きがあるように、お祈りいたします。

 また、復活節第四主日の世界召命祈願日にあたり、どうか、司祭・修道者の召命のためにお祈りください。また、機会があれば(ザビエル祭など)神学院を訪れ、養成の現場をご覧ください。さらに小教区に神学生が土日の司牧研修でお邪魔する際には、声をかけ、祈りを約束し、励ましてくださいますようにお願いいたします。

 司祭叙階への道程は短くありません。最低でも七年半です。長い道のりを歩む神学生を孤独のうちにおかず、共同体の絆を持って支えてくださいますように。(写真は、東京カトリック神学院正面入り口、そして聖堂前に立つザビエル像)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年5月14日