・菊地大司教のバンコクFABC50周年記念総会報告⑴

菊地大司教の「週刊大司教」 2022年10月16日 (日)FABC50周年記念の総会開催中@バンコク

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 アジア司教協議会(FABC)は、1970年に創立され、2年前に50周年を迎えていました。50年の歩みを振り返り、これからの新たな道のりの方向性を定めるために,記念の総会が企画されましたが、コロナ禍のため2年間延期され、現在、10月12日から30日までの日程で、バンコク大司教区の司牧センターであるBaan Phu Waanを会場に開催されています。

*参加者は200人以上、日本から6人の司教参加予定

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 「これまでの振り返りとこれからの方向性を定める」という重要な機会であるため、通常の総会よりも多くの司教が参加しており、日本からも、前田枢機卿、アベイヤ司教、勝谷司教、成井司教、そして私が参加中で、後半では中村大司教も加わる予定です(写真左)。

 今回の総会はテーマを「FABC50周年:アジアの諸民族としてともに旅する…彼らは別の道を通って…行った(マタイ福音書2章12節)」としていますが、このテーマの終わりの部分、すなわち「別の道を通っていった」の意味を、最初の三日間で実感しています。

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 現時点で参加者は、18の司教協議会から22カ国と地域に及んでいます。韓国司教団の到着が遅れているなどもあり、週明けに実際の参加者はもう少し増える予定ですが、現時点では登録上は18名の枢機卿と114名の司教が参加を予定しており、顧問や各団体代表などで招聘されている人たちやスタッフが70名以上おり、さらには会期中にオンラインでの対話に参加する人たちも入れれば、全体では200人を超える人たちが参加する会議となっています。(写真右は,現時点で参加している枢機卿)

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*主催国タイの教会が奮闘、開会式典は一般のテレビ局が全国中継

 バンコク教区の司牧センターは以前から存在しており,カリタスアジアなどでも利用したことがありますが、この総会に備えて全体がリニューアルされており、日本の教会とそれほど変わらない規模のタイの教会ですが、準備にかなりの力を入れたことがわかります。(左の写真は会議ホールの前から見た司牧センター本館。この池も敷地内です)

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 それが顕著に表れたのが,初日に開会ミサ後に行われた開会式典で、これは一般のテレビを通じて全国にライブ放送されたそうですが、タイ政府を代表して文化大臣も参加し、シャルトル(聖パウロ修道女会)のシスターたちが経営する11の学校の生徒さんによる,素晴らしいミュージカルの披露もあり、ちょうど2019年に教皇様がタイを訪問したときのように、きらびやかで荘厳な式が行われました。準備には大変なものがあったと思います。

*三日間の各国報告ーコロナ禍で孤立深まる国、貧富格差拡大の国もー連帯と協力の必要確認

 最初の三日間は,各国の報告です。朝のセッションは,指定された国が作成した15分ほどの朝の祈りのビデオで始まり、各国の報告も、単に話をするのではなく、ビデオやパワーポイントを用意して20分程度とするように指示されており、これまた教会の底力の違いでしょうが、素晴らしく高度な出来上がりのビデオを短時間で用意してきた国がいくつもありました。日本の報告は、私が作ったパワーポイントでした。

 祈りで始まり,祈りの雰囲気の中で会議を続ける、というので、各国の報告の後には必ず2分間の沈黙が設けられています。この沈黙の時間は,正直言って,アジアでの会議では珍しいのですが、良い効果を生んでいると思います。

Img_20221015_161943031 一日の最後は,これらの報告を聞いた上で、20近いグループに分かれて,分かち合いです。私が参加して小グループは、シンガポール、ラオス、マレーシア、インド、ミャンマーの皆さんと一緒のグループでした。このグループでの分かち合いは,その場でサイトに接続されたPCから内容がそれぞれグループごとに打ち込まれ、三日目の終わりには、そのまとめが出来上がって報告されていました。

 多くの国で教会は少数派であり、中には他の宗教との関係で難しい立場にあったり,政治的に難しい立場にあったりする教会も少なくなく、アジア全体を通じた連帯の必要性が強調されました。また多くの国でカリタスの活動が評価され、教会の目に見える愛の活動としてカリタスの重要性が強調されたのはうれしいことでした。

 さらにコロナ禍にあって孤立や孤独が深まった国も少なくなく、経済の悪化で貧富の格差が広がり,社会の中心から排除される人も多くある中で、教会は国を超えて連帯し協力していかなくてはならないことも強調されました。

*各国の現実の違いの大きさ、対話の重要性に改めて気づく

  同時に、各国の報告で、互いの現実があまりに違うことも理解が深まり、その違いを知らない自分たちの無知にも気がつき、互いの対話を深めることの重要性が強調されました。韓国司教団がビデオでの報告で,日韓の司教団が定期的に集まり対話を深めていることを紹介してくださったので、思いの外多くの他の司教たちが、日韓の取り組みを評価してくださいました。

 また最終的には,同じ方向を目指して歩んでいこうとするものの、その現実の違いから、歩む道を異なることにも気がつかされ,テーマの最後の言葉の意味が理解されていきました。皆、別の道を通っていくしかないのです。

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 四日目(開会式も含めると五日目)の日曜、午前中はシンガポールのゴー枢機卿の司式で主日ミサがあり,その後、アジア各地の方々とオンラインで結んでの「トークショー」となりました。様々な分野に関係する17組の方々が、それぞれの分野から司教たちに語りかけました。日本から、聖心会のシスター宇野が,アジアの修道女の思いを司教たちに語ってくださいました。

 明日以降は、さらに多くの方々とオンラインで結んで、様々な角度から,司教たちに語りかけていただくセッションが続きます。

 司教たちが聖霊に導かれ、より正しい道を見いだすことができるよう、お祈りください。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年10月17日