・カトリック小金井教会は「富士をめぐる春の巡礼」を5月7日に

 東京教区のカトリック小金井教会では信徒有志による実行委員会の企画・実施で1999年5月5日に「キリスト教伝来450年記念―江戸の殉教者を偲ぶ巡礼」を実施して以来、今年で20年目を迎えた。今回は、5月7日に「富士(富士吉田教会・富士の聖母像・富士聖ヨハネ学園)をめぐる巡礼」を、主任司祭の加藤豊神父さまと信徒49名の参加により実施された。

 平成から令和の時代に移行する10連休明けの5月7日午前8時に、小型バス2台で小金井教会を出発し、中央高速を経て、カトリック富士吉田教会に到着。主任司祭の内藤聡神父さまと6人の女性信徒の出迎えをいただき、内藤神父さまから「富士吉田教会と小金井教会のより良い交わりと巡礼が豊かなものとなりますように」との歓迎のお言葉があった。

 午前11時には地域の司祭の会議に出るため教会を発たねばならない内藤神父さまの貴重なお時間を頂戴し、加藤神父さまと共同司式のミサを捧げていただいた。祭壇の十字架上に輝く金色のイエスさまは復活されたイエスさま。深いまなざしで今にも話しかけてくれそうな美しいテレジア像とともにとても印象的。ミサが始まると、聖歌が響き渡るほどで全員の思いが一つになっているように感じられた。

 ミサ後、吉田教会の信徒の方から全員に、ボランティアが作成されたという素晴らしい「カトリック富士吉田教会巡礼来訪記念」の絵はがきのセットが手渡され、小金井教会からは小金井教会創立40周年記念のボールペンが加藤神父さまから内藤神父さまに贈られた。

 教会を去るころは富士山の頂上の雲が少し流れ、頂上の雪の白さと紺色のコントラストの美しい、雄大な姿を間近に見ることができた。富士スカイラインをバスで登り、2合目と3合目の間にある樹海台駐車場から整備された階段を10分ほど徒歩で登って、高さ3㍍の純白の大理石の富士聖母像に到着。加藤神父さまからルルド、ファティマ、無原罪、扶助者それぞれのマリアさまのお姿について説明があった。綠の木々を背景に白さの際立つマリア像の前で聖歌「あめのきさき」と、喜びの原義のロザリオ一環を捧げ、最後に「アベマリア」を歌った。晴れ間の見えた天気が途中で小雨になるなど富士の春らしい天気となったが、駐車場に下るころには雨は上がった。

 富士スカイラインを下って、忍野にある障碍者福祉施設の聖ヨハネ学園へ。同学園は聖ヨハネ会を通じて小金井教会と深い関わりがある。ここで遅めの昼食の後、遠藤克彦園長から同学園についての説明があった。この地に開設されて以来、半世紀近い歴史を持つヨハネ学園は、利用者の高齢化に対応して改築され、光溢れる「自然の中に佇む大きな家」をコンセプトとする建物が平成29年に完成した。

 現在約120人の男女園生が生活し、スタッフや利用者の保護者などが約180人が、利用者の思いを受け止め、それを目に見える形にして継続し伝えていくことを重視して奉仕しておられる。利用者に合せたタイプ別の食事、車椅子でも入浴できる高額な設備の設置、人生の最後までその人らしく生きられるようなターミナルケアなど、利用者を支えるための支援員、看護師、リハビリ担当者、ボランティアなどによる支援が、私たちの予想を超えた物質的・精神的・医療的な配慮に基づいているのに感心した。

 スタッフから「あなたは今日、何回、笑いましたか」という園生への問いかけを大切にしていると聞いたが、園生たちの明るい表情からその意味が納得できた。人生の最後は、マリアンナホールでの通夜ミサ、ソフィアホールでの葬儀ミサと学園全体でお別れ会が行われるという。学園での生活を維持するには莫大な費用がかかるが、多くの方々から援助をいただいているという。「キリストのように人を愛し、病める人、苦しむ人、弱い人に奉仕します」という言葉が生きていることを目の当たりにする思いだった。

 今回の巡礼は聖ヨハネ学園訪問を最後に、中央道を戻り、小金井教会で参加者一同、巡礼を終える祈りを捧げ、聖歌「われ神をほめ」を斉唱して、感謝のうちに帰途に就いた。

    (カトリック小金井教会巡礼実行委員会・記事は田中典子、写真は南條秀子、望月利将)

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2019年5月18日