漆原JLMM事務局長・共に生きるヒント⑥「 リバースミッション 」

 

 レイミッショナリー(信徒宣教者)が派遣された地で学んだことを、その人の中だけに留めることなく、帰国した後に日本の社会、特に日本の教会を通して分かち合っていくことを「リバースミッション」と呼んでいます。

 通常の場合、派遣地で働く時間よりも、帰国後の時間の方がはるかに長くなることを考えれば、この「リバースミッション」をどのように行っていくかということは、派遣地での働きと同様に、またはそれ以上に重要なことだと思います。それは帰国後の地域社会、職場、教会、友人関係、また身近なところでは家庭という様々な場面で行われます。

 リバースミッションは、自分が派遣先で「いただいたこと」を送り出してくれたものに対して「返していく」というニュアンスで語られることが多いのですが、実はもっとダイナミックで広がりのある意味合いが含まれているように思います。

 「ミッションは一方向ではなく、人と人の間に相方向に働くもの」とあるシスターから聞いたことがあります。確かに、神がイエスをキリストとして派遣したことを「ミッション(ミッシオ)」のもともとの意味だとすると、そのイエスから人々が派遣され、連綿と繰り返されて広がってきた派遣の動きの先に今の私たちがいると考えることもできます。神から出発した一本のミッションの線はイエスを通って、何本もの無数の線となり無数の人々を介してこの社会の中に広がっているというイメージを持つことができます。

 そう考えると、ひとつの社会の中で私たちは「皆が派遣されている存在」なのであり、どこの誰との関係であっても「お互いのために派遣されている関係」なのかもしれないなと思います。そしてより人間的な社会の実現に向けて、「お互いに派遣しあう」という意識を持つこともできると思います。(2017年4月25日)

***JLMMについて***

 JLMM は日本カトリック司教協議会公認団体、国際協力NGOセンター(JANIC)正会員で、主にアジア・太平洋地域にレイミッショナリー(信徒宣教者)を派遣しています。派遣されるレイミッショナリーは、派遣地において関わる人々とともに喜びや悲しみを分かち合い、地域の人々に向けたこどもの教育、衛生教育、栄養改善、女性の自立支援などの活動を実施しています。1982年の設立以降、アジア・太平洋、アフリカ諸国16か国に100名以上のレイミッショナリーを派遣されました。現在はカンボジアと東ティモールに3名を派遣しています。

 JLMMでは毎年、派遣候補者を募集しています。賛助会員としてのご支援やご寄付をお願いいたします。またカンボジアスタディツアーやチャリティコンサートの企画、活動報告会やカンボジアハンディクラフト販売にご協力いただけるグループや教会を募集しております。事務局(jlmm@jade.dti.ne.jp)までお問い合わせください。

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