教皇フランシスコにより2021年10月10日から始まった「世界シノドス」も、早いもので5年を迎えようとしています。
この間、国内におけるシノドスへの取り組みは、各教区によって大きな幅があるように感じられます。特に気になるのは、シノドスを継続的に推進していくための明確なロードマップが見えにくく、具体的なアクションプランも十分に示されていないことです。
バチカンへの報告や各国との連携などは、一定の事務的な対応がなされているものと思われます。しかし、最も大切な小教区において、そして信徒一人ひとりにおいて、「シノドスとは何か」「私たちはこれからどのように歩んでいくのか」という意識が、十分に共有されているでしょうか。
振り返ってみると、各教区におけるこれまでの取り組みには、シノドスを真剣に推進しようとする姿勢の違いが見受けられます。
本気で推進するのであれば、当然、具体的な推進計画が必要となります。そして、その計画を実行するためには、人員や予算などの具体的な措置も必要です。ロードマップもアクションプランも明確でないままでは、「シノドス」という看板だけが掲げられ、実質的な取り組みが伴わない、いわば「看板倒れ」になってしまうのではないでしょうか。
1.まず「聴く」ことから
シノドスの基本は、「ともに歩む」ことです。そのためには、まず司教・司祭が信徒の声に耳を傾け、「聴く」ことが出発点になります。果たして現在、この「聴く」という基本姿勢が十分に実践されているでしょうか。
もちろん、シノドスが始まった当初は、新型コロナウイルス感染症の影響によって集会や対面での話し合いが制限され、十分な活動ができなかった事情もありました。しかし、コロナ禍を経た現在においても、シノドスを具体的に進めるための取り組みが十分に見えてこないとすれば、改めてその進め方を考える必要があるのではないでしょうか。 「シノドス」が、単なる理念やスローガン、あるいは「絵に描いた餅」で終わってはならないと思います。
2.「シノドス意見箱」の設置を
そこで、まず具体的に実行できる取り組みの一つとして、**「シノドス意見箱」**の設置を提案します。これは、教会におけるさまざまな声を、誰もが気軽に届けることのできる仕組みです。
必ずしも手書きの意見箱に限定する必要はありません。教会内に設置する投書箱に加えて、QRコードなどを利用したWebフォーム、SNS等による意見の受付も可能です。
特に、若い世代は紙媒体よりもスマートフォンやSNSに慣れているため、デジタルによる意見聴取を取り入れることで、これまで教会の声として届きにくかった若年層の意見も幅広く集めることができるのではないでしょうか。
3.集めた声を「見える化」する
さらに重要なのは、集めた意見を単に受け取るだけで終わらせないことです。寄せられた意見を、個人が特定されない形で整理・分類し、データベース化することが考えられます。
例えば、
• 教会活動について • 青少年・若者について • 高齢者について • liturgy(典礼)について • 福音宣教について • 教会運営について • 司祭と信徒の関係について
• 教区・小教区の情報公開について • 地域社会との関わりについて
など、テーマごとに分類することができます。さらに、その傾向をグラフやレーダーチャートなどで「見える化」すれば、教会が現在どのような課題を抱えているのか、信徒が何を望んでいるのかを把握するための有効な資料になります。
これは単なるアンケートではありません。「聴く → 集める → 分析する → 共有する → 行動する → 振り返る」という、シノドス的な教会づくりのための継続的なプロセスにすることが重要です。
4.今こそ具体的な一歩を
現在、「世界シノドス」の次の実施ステージも進行しています。だからこそ、今こそ国内の教会において、シノドスを一過性の取り組みで終わらせず、日常の教会生活に根付かせていく具体的な仕組みが必要です。
全国司教協議会の「シノドス特別チーム」においても、こうした現場の声を受け止め、各教区・各小教区で実践できる具体的な仕組みについて、早急に検討し、展開していただきたいと思います。
「シノドス」は、特別な人だけが進めるものではありません。司教も、司祭も、修道者も、信徒も、ともに歩むものです。その第一歩は、**「聴くこと」**ではないでしょうか。
「シノドス意見箱」は、そのための小さな一歩かもしれません。しかし、その小さな一歩が、教会を「聴き合う教会」「ともに歩む教会」へと変えていく、大きな一歩になることを願っています。
(鹿児島教区信徒 樋留安鈍)