先日、中央協議会のホームページで「シノドス・ハンドブック」 が発行されたことを知った。目を通してみて即時の感想は… 案の定というべきか、期待外れの内容だった。
〇なぜこの時期に発行したのか。今年の始めに、 日本の教会でシノドスに取り組む3つの方針が出された。その一つが、 シノドス・ハンドブックの発行である。これを作成するのに、どうして半年もかかるものなのか。 10月の世界代表司教会議(シノドス)総会第2会期の2か月前に出しても、地方の信徒に伝わるのは第2会期終了後になってしまうだろう。 どういう目的で、この時期に出したのか、理解できない。「霊における会話」 を信者に普及させたいのであれば、もっと早い時期、3年前に教皇フランシスコが”シノドスの道”を始められた段階で出すべきだったのではないだろうか。
〇この文書の作成者は「 日本カトリック司教協議会シノドス特別チーム」である。 ということは、 日本の各教区のシノドスへの取り組みを把握しているはずだ。いくつもの教区で、小教区レベルからの全信者が参加する取り組みが何もされていない現状を認識しているのだろうか。そのようなところに、 このハンドブックを送ってどうなるのだろうか。活用できないことは目に見えている。 日本の教会の現状を踏まえて行なう、という発想が欠けていると思う 。
かつて日本の教会にはそのような取り組みがあった。第二バチカン公会議の成果を受けた「全国福音宣教推進会議(NICE)」の運動である。「共に喜びをもって歩もう」という、まさに、現在の”シノドスの道”の歩みを始められた教皇フランシスコの思いを先取りした形で、「分かち合い」が不充分ながらも実践されてきた。「聞いて、 吸い取り、活かす」ということで「ともに」 福音の喜びを生きる道を模索してきた。だが、”高松教区問題”で司教団の歩みが乱れる中で、その運動はいつしか立ち消えになり、NICEを主導した故白柳枢機卿、森司教のようなリーダシップを発揮する人材も司教団に出ないまま、今に至っている、というのが実際のところだ。