・神様からの贈り物 ⑬神様の子どもである喜びを、ろうそくの火を分けるように広げたい

  今から10年ほど前、初めての本を出版した。私は嬉しくて舞い上がっていた。著名な方々も含め、たくさんの人たちに献本として拙著を送付してしまった。ある日、受け取らなかった旨のスタンプが押されて返送されたものがあり、はっとした。相手方に、献本を受けているかを確認しなかった、と気づいた。対応は温かいものが多く、とても嬉しかったが、献本を辞退されたのは残念、というのも正直な気持ちだった。

 そんな中、出版社から私のもとにメールである連絡が入った。「三品さんにお手紙が届いています。教会関係の方でしょうか」と言われ、不思議に思った。「誰だろう?知っている人なら、直接私に言ってくるはずだし…」と考えたからだった。

  後日、自宅に転送された葉書の送り主を見て驚いた。『置かれた場所で咲きなさい』の著者であるシスター渡辺和子からだった。「たしかに受けとりました」という言葉とともに、学生たちのために必ず役立てること、そして神のご加護がありますように、というメッセージが自筆で書かれていた。会ったこともない私に、このようなお返事をくださるとは、夢にも思っていなかったので、とても驚いた。感動と嬉しさで胸がいっぱいになった。

 もう一人、私の献本に丁寧なお返事をくださった方がいる。そのH神父は、感想も添えてくれた。私がいちばん伝えたかった「病気は神様からのお恵みだったと気づいた」という一文に注目してくださり、心が喜びで満ちあふれた。「どうぞミサにいらしてください」と、目の前にいる人に語りかけるような言葉に感動した。だが、ミサへ行く勇気が出ず、そのままにしていたら、H神父が他教会に異動されたことを知った。

 このような方々にとって、私は無名の一般人だ。突然の献本に驚いただろう。この経験を通して、一人ひとりを神様の子どもとして大切にしてもらう喜びを感じた。これからも、この喜びを、ろうそくの火を分けるように、たくさんの人に広げたい。

(東京教区信徒・三品麻衣)

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2024年7月31日