2019年は「子供が歴史転換の予兆を代表した年」として記憶されるだろうか。それも女子だ。スウェーデンの環境活動家、16歳のグレタ・トゥンベリさんだ。地球温暖化について国連で先進国首脳を痛罵したのだ。
日本では学校教育で生徒が「怖くて」、叱ることもできない先生がいるのだそうだ。それをとがめて、プロスポーツ界のレジェンド、イチロー氏がテレビで警告した。「生徒が怖くてどうするんですか」と批判しつつ、「これからは自分で自分を教育しなければなりません」と呼びかけた。
今年のクリスマスにも大きな変化があったようだ。
曾孫からのクリスマスカード、まだ1歳そこそこだから、むろん母親、つまり私にとっては孫娘が用意したものだろうが、そこにはサンタは描かれていなくて、代わりにトナカイの帽子をかぶった男子の曾孫がプレゼントは僕が届けるよとあった。神話 、伝説 、慣習、に超然とする姿勢の萌芽が認められた。
「生徒が怖くてどうするんですか」と、教育の現場を批判したのはイチローさんだが、時代は大きく動いていて、子供の時代に、はっきりと1歩も2歩も踏み出していることが実感された年であった。天真爛漫な子供らの楽しむお遊びも様変わりして、チャンバラや、ままごとの時代はすでに遠のいて見える。
アーティフィシャル・インテリジェンスのおもちゃや、大人が実務で操るものと同じハイテクの機器を巧みに操る子供たちもいるような今の時代は、人類の新世紀がすでに開幕したことを告げているのだろう。ここから我々は何処に向かっていくのだろうか。環境破壊の地球を逃れて宇宙を右往左往するのだろうか。
「希望」の光よ、今こそ輝き、燦々と、往く道を示し、励まし、たがえないように、導いてください。
(2019・12・29記)
(三輪公忠=みわ・きみただ=上智大学名誉教授、元国際関係研究所長)