・カトリック精神を広める⑩ 神様からの呼び掛けーマザー・テレサの場合

  あなたは信じますか?神様から直接人間に呼び掛けることがあることを…。

 マザー・テレサは、ご存知のように、1997年に85歳で亡くなった時点で、123か国に3914人のシスターを擁する「神の愛の宣教者会」(公式ホームページ:https://www.motherteresa.org/)。に育て上げていた。日本では、1978年以降、東京都山谷、名古屋、別府の3か所に支部修道院を創設し、インドだけではなく、全世界で貧しい人々のために働き、1979年にノーベル平和賞を受賞された故マザー・テレサも、神の呼び掛けを直接聞いた一人である。聞くところによると、一生独身を通す神父様達も、神の呼び掛けを聞いて、神父様やシスターになる、という。そうでなければ、聖職を長く続けられないであろう。

 マザー・テレサは、1910年8月26日ギリシャの北に位置するマケドニア共和国(旧ユーゴスラビア共和国)のスコピエに、建築家の父とイタリア出身の母との間で生まれた。姉と兄がおり、両親は、果樹園を経営し、裕福な家だったようだ。父母とも熱心なカトリック教徒で、18歳の時、シスタ―になることを決意したという。そのことを、彼女は「神がお決めになったのです」と「マザー・テレサ 愛の軌跡」(三代川律子訳、日本教文社)の著者、ナヴィン・チャウラ氏と語っている。19歳の時に希望してインドに派遣され、「神からの呼び掛け」を聞いたのは38歳、ロレット修道会がインドのコルカタで運営している女子の学校で、校長兼地理の教師をしていた時である。 

 1946年9月10日、黙想会に出席のため、コルカタからダージリンに向かう汽車の中で、「貧しい人々とともにいるキリストに尽くしなさい」という神の呼び掛けを直接、聞いたという。それも一度や二度ではない。

 彼女の証言を聞いてみよう。

「内なる呼び掛けの声です。ロレット修道会での生活は幸せでした。しかし、それを捨てて、路上で暮らす貧しい人々のために働くように、と言う声がはっきりと聞こえたのです。呼び掛けが意味する内容はとても単純なことでした。私に修道院を去ることを命じていました。神は私にもっと何かを求めている。私に、もっと貧しくなること、そして神の姿そのものである貧しい人々を愛することを求めている、と感じたのです」(前掲書)。」

 ロレット修道会を退会し、コルカタのスラムで、貧しい人々のために働く許可をローマの教皇庁から得るのに2年かかっている。

 1948年8月8日38歳の時に、ロレット修道会の修道服をぬぎ、水色のふちどり、肩に十字架をつけた白いサリーを身にまとって活動を始めた。スラムで小さい学校を開いたら、初日に5人の子供が来て、その後は日増しに人数が増えていったという。

 その後は、以下の4つの家を作って活動している。

 ・子どもの家(シシュ・ババン) ・親に捨てられた乳幼児の世話する家 ・死を待つ人の家(マザーハウス):病気や飢えで、死にかけている人々を看護する家 ・学校:スラム街で、貧しい子どもたちを集め、勉強を教える ・平和の村:ハンセン病の人々の世話をし、自立のために手助けをする 

 マザー・テレサは2003年10月19日教皇ヨハネ・パウロ二世により福者に列せられ、2016年9月4日に教皇フランシスコにより聖人に列せられた。

(横浜教区信徒・森川海守=ホームページ:https://www.morikawa12.com

 

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2024年8月31日