今回お勧めしたい本は 「マザー・テレサ 愛の軌跡」(ナヴィン・チャウラ著、三代川律子訳= 1995年12月15日初版、日本教文社)です。
1979年にノーベル平和賞を受賞された聖マザー・テレサのことはご存知 でしょう。テレサが亡くなった1997年には自身が創設した「 神の愛の宣教者会」のメンバーは4000人を数え、123か国、610か所で活動を行っています。活動内容はホスピス、 HIV患者のための家、ハンセン病者のための施設(平和の村)、 炊き出し施設、児童養護施設、学校など。
本書の筆者チャウラ氏は、カトリック教徒ではありません。 インド人で、ヒンズー教徒ですが、むしろそのことで、一般の人に とっては読みやすい本となっています。インドの情報・放送省上 級幹部で、インドでのハンセン病の研究発表会でマザーに会い、そ の話を聞いて感動。一般の人に、彼女の素晴らしさをもっと知って もらいたいと本書の執筆を思い立ち、マザーに提案、 快諾を得て5年に渡る取材と、活動に同行して書き上げた「 マザー・テレサの仕事を記した本」だが、 生い立ちから取材して書き下ろしており、伝記に近いものになっています。
本書で注目すべきは、なぜマザーは貧しい人々のために働く活動を 始めたのか、活動の初めはどのような様子だったのかです。
18歳の時、神の呼びかけを聞いてインドで女子教育に力を入れ ていたロレト修道女会に入会し、20年近くカルカッタ( 現在のコルカタ)で地理と歴史を教えていました。1946年の9月、 年に一度の黙想を行うため、ダージリンに向かう汽車に乗っていた 時に修道会を離れて「路上で暮らす貧しい人々ために働くように」 という神からの声を聞いたといいます。
それはどんな声だったのか。神 からの声を聞いたあと、修道会及びローマ教皇の許可を得るのに4 年かかって、たった一人で貧しい人々のための活動を始めましたが、そ れはどんな様子だったのか。本書で明らかにされます。
数十年以上かかるのが普通なのに、没後わずか16年、2016年に聖人の列に加えられています。
(横浜教区信徒・森川海守=もりかわ・うみまもる=X:https://x.com/UMImamoruken)