・「カトリック精神を広める」㉜勧めたい本紹介・15「カルメル山登攀(とうはん)」十字架の聖ヨハネ著、奥村一郎訳(ドン・ボスコ社刊)

 今回お勧めしたい本は、「カルメル山登攀(とうはん)」十字架の聖ヨハネ著、奥村一郎訳(1969年7月16日初版、ドン・ボスコ社刊)だ。

 カルメル山は、イスラエル国の北西部にあり、旧約聖書では、「列王記上」で預言者エリヤがバアルの預言者たちと対決し、勝利したと書かれている。13世紀に、ここにカルメル会という修道院が築かれた。著者の「十字架の聖ヨハネ」は、スペイン人で、9歳の時に母子家庭となり、孤児院で育てられ、25歳の時にカトリック司祭に叙階された。アビラのテレサと共にカルメル会の改革に尽くし、「跣足(せんそく)カルメル修道会」を創始した。

 本書は、526ページの大著であるが、執筆の目的は、「この地上において、できるかぎり、完全な神との愛の一致が持つ神的な光にまで霊魂を導くこと」にある。

 その反対が、新約聖書のヨハネの黙示録17章に出てくる「大淫婦(いんぷ)」バビロンに代表される「自然のものに楽しみを求めるとき、霊魂にきざす心と体の害の一つである、官能的な満足や楽しみ、さらに淫(みだ)らな気持ちへと誘われる害」である。

 聖人は言う。「どんなに聖なる人であっても、この楽しみの酒に少しでも酔うと、すぐに釘付けにされ、まるで酔っぱらいのように理性がくらんでしまい、旧約聖書の士師記16章に出てくるサムソンのように、その怪力の源であった毛髪を切り取られたが故に、その目をえぐられ、しまいには『おまえが、あの千人のペリシテ人を打ち倒した豪傑か?』とさげすまれてしまう。その害をすばやく消すためには、すぐに、神に仕える以外の喜びはどんなに空しいものであるか、また、どんなに危険で有害であるかを、思い起こさなくてはならない」。

 1962年から65年に開催された第二バチカン公会議は、「すべての人は聖性に召されている」と宣言したが、本書は聖性に至る道を指し示した指南書と言えよう。

(森川海守=もりかわうみまもる)noteに記事を書いています。ご覧いただければ幸いです。(https://note.com/mamoru_umi

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年7月31日