・「カトリック精神を広める」 ㉚勧めたい本紹介・13 竹内均著「驚くべき旧約聖書の真実」(同文書院)

 今回お勧めしたい本は、竹内均著「驚くべき旧約聖書の真実」(同文書院、1991年3月15日初版)だ。

 地球物理学者の故竹内均(たけうちひとし)氏は、旺文社の「傾向と対策」で物理を執筆、「受験の神様」とも言われた。東京大学退職後は、科学雑誌「Newton」を創刊、自ら編集長を務め、科学の普及に尽力された。その彼が71歳の時に執筆したのが本書だ。

 カトリック教徒ではないが、「日本の古事記と同様、エデンの園やノアの洪水、ソドムとゴモラなどの旧約聖書の物語は、単なる物語ではなく、歴史的真実であったことは疑いようがない」とされ、旧約聖書の物語が、いかにして真実の出来事を記しているのかを、地球物理学から見て解き明かしており、実に興味深い。

 その主張を一つだけ挙げよう。旧約聖書の出エジプト記14章には、モーセ率いるイスラエル人が、追っ手のエジプト軍が迫る中、モーセが手を上げると海が二つに分かれて陸地が現れ、イスラエル人が対岸に渡りきり終えたあと、再びモーセが手を下に下げると、海が元に戻り、追ってきたエジプト軍が海に飲み込まれるシーンが記述されている。

 海が二つに分かれることなど、有り得たのか。竹内氏いわく、「有り得た」と。紀元前1600年頃、巨大な「ミノア噴火」でギリシャ本土から南東にあるサントリーニ島の大部分が崩壊して陥没、現在の三日月型カルデラが形成されたが、この陥没に紅海の海が引き込まれたことで、紅海で海が二つに分かれ、陸地が生じることがありえた。そうして引きこまれた海水が反動で元に戻れば、エジプト軍が海に飲み込まれ、海の藻屑と消えたことは実際に有り得る、と言うのだ。

 海がカルデラの穴に引き込まれ、イスラエル人が海を渡りきった途端に、勢い余った海が元に戻り、追ってきたエジプト軍がその海に飲み込まれる、そのちょうど良いタイミングを、神が取り計らっておられたと、筆者は考える。

 横浜教区信徒 森川海守(もりかわ・うみまもる)(https://note.com/mamoru_umi/n/n738ffcb2238f)

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2026年5月30日