今回お勧めしたい本は「銀幕の中のキリスト教」服部弘一郎(はっとりこういちろう)著(2019年7月25日初版、キリスト新聞社)だ。
著者、服部弘一郎氏は1966年生まれ。映画批評家として長年活動している。子供時代は、キリスト教系の幼稚園で過ごし、小学生の頃は日曜学校に通った。聖書やキリスト教は大好きで、それなりの知識を持っているが、クリスチャンではない。信じる気になれないでいるだけであると著者は言う。
本書は、聖書を原作にした映画やキリスト教の歴史を扱った映画は除かれている。「一見、キリスト教とは無関係に見える映画の中に、隠されたキリスト教的テーマやモチーフが隠されていることを紹介しようとするのが本書の狙い」である。
例えば、「ドラえもん 新のび太と鉄人兵団~はばたけ天使たち~」や「スーパーマンリターンズ」等が紹介されている。紹介された映画全49作の映画の中で、筆者が好きなのは、ベン・ハーが奴隷になっている時にキリストに助けられ、反対にキリストが十字架刑で町を歩かされている時にベン・ハーがキリストを助けるシーンがあるといったように両者が、ストーリー展開の中でうまくはめ込まれて、感動シーンにたどり着く映画「ベン・ハー」や、フランスの名匠ルネ・クレマン監督の、1952年にベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した「禁じられた遊び」、「SF映画の金字塔であり、特撮映画の最高傑作」と著者が評する「2001年宇宙の旅」などが紹介されている。
中でも、スティーヴン・スピルバーグ監督、考古学者を演じたハリソン・フォード主演の「インディ・ジョーンズ・シリーズ」の1作目、娯楽作品としては大変興味深く、かつ恐ろしい映画だった「レイダース 失われたアーク聖櫃(せいひつ)」が、ことのほか好きである。
このように、話題になり、ヒットした映画の中に、隠されたキリスト教的テーマやモチーフがあぶり出されており、大変興味深い。本書を読めば、見てみたい映画も出てくるし、見た映画の中にどんなキリスト教的テーマが隠されているのかが分かる。本書を読めば、ヨーロッパ人の心の中に見いだされるキリスト教的常識に気づかされ、真に映画を理解できるようになること請け合いである。これが、本書を推薦する理由である。