☩「AIは、戦争の遂行方法も劇的に変えている」教皇、回勅『Magnifica Humanitas』発表会見で警告

(2026.5.25 Vatican News   Linda Bordoni)Pope Leo presents the encyclical in the Vatican

 教皇レオ14世が25日、人工知能(AI)がもたらす課題に対する教会の回答として、回勅『Magnifica Humanitas』を発表、支配、排除、戦争の論理からAIを”武装解除”するよう求められた。

 また、レオ13世教皇の社会回勅『Rerum Novarum』との類似点を挙げ、全世界の人々に、「技術の進歩を、人間の尊厳、連帯、そして公益のために役立てるように」と促された。

 教皇にとって初の回勅の発表にあたり、レオ14世は、AIを人類のためにしっかりと役立てるよう訴え、支配、排除、戦争を助長する技術に対して警告を発せられた。

 また、現在の技術革命を、産業革命期に教皇レオ13世が直面した激動に匹敵する「画期的な転換点」であると述べ、「AIはすでに私たちの生活の多くの分野に関わり、人間の共存を形作る決定に影響を与えています」とされ、「戦争の遂行方法をも劇的に変えている」ことの強い懸念を示された。

*新たな時代の転換点に、新たな『Rerum Novarum』

 

 教皇レオ13世が1891年に発表した画期的な回勅『Rerum Novarum』と直接的な類似点を引き合いに出された教皇は、「今日の教会もまた、福音と人間の尊厳の光に照らして、この時代の『新しい事柄』を解釈するよう求められています」とされ、ご自分の回勅『Magnifica Humanitas』が、「次世代に向けた未来を憂慮する科学者、技術者、教育者、政治指導者、そして家族たちへの広範な傾聴から生まれました」と説明。

 同時に回勅作成の過程で、自律型兵器システムや、不当かつ偏見に満ちたデータに基づいて医療、雇用、安全へのアクセスを拒否し得るアルゴリズムに関して、「極めて憂慮すべき声」を耳にしたと語られ、その見極めの過程から、回勅に明確に示された確信が生まれた、とされたうえで、「AIは”武装解除”されねばなりません」と強調。「現在の状況の深刻さゆえに、良心を呼び覚まし、人類の進むべき道を示すことのできる言葉が必要なのです」と語られた。

 

*技術と道徳的責任

 

 教皇は、核軍縮に対する教会の長年の支持を取り上げ、「あらゆる偉大な技術的力は、道徳的識別力と公的な説明責任を伴わねばなりません… 同様の意味で、AIは、今、”武装解除”され、支配や排除、あるいは死の道具へと変える論理から解放されることが求められています」と述べられた。

 そして、聖パウロの「目を覚ましていなさい」(テサロニケの信徒への手紙1・5章6節)という勧告を引用され、「技術が、人間の批判的感覚や道徳的警戒心を弱めるたびに、平和そのものが脅かされる。しかし、人類が直面する課題は、単に危険な技術を抑制することだけではなく、共に、より公正な未来を築くことでもあるのです」と説かれた。

 

*「誰も一人で再建することはできない」

 ペルーでの宣教師時代を振り返られた教皇は、2017年の豪雨と洪水による壊滅的な被害を思い起こされ、「そこで私は、再建とは単なる物理的な構造物の修復をはるかに超えるものであることを学びました。それは絆を修復し、信頼を取り戻し、未来への希望を再び呼び覚ますことを意味します。誰も一人で再建することはできないのです」と語られた。

 続いて教皇は、エルサレムの城壁を再建した聖書のネヘミヤの物語に言及し、その姿をデジタル時代の倫理的な構築のモデルとして提示。「AIは、技術の進歩が人間の生活に奉仕することを学ぶ『交わりの地平』の中で、歴史を築き上げる場となり得ます」と指摘された。

*中心にある人間

 また教皇は、「真の発展とは、一人ひとりの人間、そして人間全体に関わるもの」という聖パウロ6世の教えを引用され、「デジタル変革から誰も排除されてはならず、人間は決して、生産性、認知能力、単なるデータに還元されるべきではありません」と強調。「人はその内に、いかなる機械も代用したり阻害したりすることのできない自由、内面性、そして愛と礼拝への召しを宿しているのです」と語られた。

 そして、人工知能の進歩が「特権的な少数者」ではなく、人類全体に利益をもたらすよう、国家、機関、技術開発者、そして技術システムの影響を最も受けやすい人々の協力を求められた。

*世界の歴史の中で「愛の文明」が成熟し続けるように

 続けて教皇は、「技術的専門知識を提供するのではなく、尊厳、良心、そして神への開放性に根ざした人間観を守り抜くことで、謙虚さと率直さをもってAIに関する世界的な対話に貢献したい」という教会の願いを再確認された。そして、すべての人々に「希望の匠」となるよう呼びかけ、信者・非信者を問わず、共に「より人間的で兄弟愛に満ちた社会」を目指して協力するよう促された。

 最後に、「『マニフィカト』において『卑しい者を高め給う神の偉大さ』を歌った聖母マリア」にこの取り組みを委ね、教皇は、聖パウロ6世と聖ヨハネ・パウロ2世が構想した「愛の文明」が、世界の歴史の中で成熟し続けるよう祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2026年5月25日