(2022.10.26 FABC news PRESS NOTE )
FBAC総会の最終週の討議テーマ「新たな道を構想する」の3日目、26日は、司会のオズワルド・グラシアス枢機卿がこの日の討議内容として、総会メッセージの素案と最終文書の構成の検討、およびFABCの組織などの在り方の検討を提示した。
最初に講演したのは、バチカンのシノドス事務局の”シノドスの道”のアジア地域など大陸段階の作業チームのスーザン・パスコー教授。”シノドスの道”の歩みに関して3つの点ーFABCを通して、これまでに何がなされたか、大陸の段階 の歩みがどのように進んでいるか、そして今後、どのように進められるのかーを指摘し、大陸段階の取り組みと目的に焦点を当て、「(アジア地域の大陸段階の取りまとめ文書が、神の民の声を、真に言い表すものとなるようにすること」の必要を強調した。
次に、FABC総会からアジアのすべての人々に対する呼びかけとなる総会の最終メッセージの素案が説明され、参加司教たちはこの内容を子細に検討し、提案を行うよう求められた。続いて、「新しい道筋を構想する」という文脈で、議論の内容の要点について短い報告がなされた。
FABC 総会の最終文書の構成などについても、作業委員会のシオンコ・ ダビッド司教から説明され、参加者による質問、意見、提案がなされた。
さらに、FABCの在り方について、司教たちは国と地域に基づいてグループに分かれて、いくつかの重要なポイントー夢、変革、協力の分野などーをもとに、意見を交換し、その内容についてグループごとに取りまとめた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Women religious present at the FABC General Conference, 25 October 2022
(2022.10.25 Vatican News Sr Bernadette Mary Reis, fsp – Bangkok)
バンコクで開催中のアジア司教協議会連盟総会に招待者として出席した 6 人の女性修道者たちが、女性がこのような会議に出席することの重要性を訴えた。
Vatican News とのインタビューの内容は次の通り。
*司教の方々に私たちの声を聴いてもらいたい
人身取引禁止の国際ネットワーク、TALITHA KUM(タリタクム)のメンバーであるシャルトル聖パウロ修道女会のシスター・ポーラは、「まず、女性の修道者がこの総会に出席して語り、司教たちが人身売買を阻止する分野で私たちが何をしているかを知ってもらうことが重要。私たちは、司教の方々に、活動する私たちの声を聞いてもらい、私たちの活動に参加し、支援してもらいたいのです」と訴え、シスター・フランソワーズも、「司教たちに、私たちの活動を知ってもらい、ご自分の教区で、私たちの活動を受け入れてほしい」と付け加えた.
*私たちは福音宣教で重要な役割を担っている
聖母の被昇天修道女会の会員でタイでフィリピン人向けの福音宣教活動をしているシスター・ディーナも、女性修道者の存在のタイにおける重要性を強調。「私たちが、現地の福音宣教において重要な役割を果たしていることを、この総会は、司教の方々に改めて認識していただく場になっていると感じています」と述べた。.
そして、自分の役割の中で最も重要なものの一つは、「男女の修道者の間に相互関係を築くこと」であり、実際に、特定の会議に自分が出られない時には、男性の修道者が出席し、逆のこともあるとし、「私が会議に出ると、男性の修道者たちは私の話に耳を傾け、女性修道者の重要性を認識するようになります」と経験を語った。
*FABCのメディア分野での改革に貢献できる
インドの女子パウロ会のシスター・ジョイアンナ・ドゥスーザは、「メディアを通じて福音を宣べ伝えるという自分の仕事のために、総会に呼ばれました。ソーシャルメディアとFABCのデジタル化の観点から最善を尽くしています」と語った。
*私たちは貢献できる、アイデアがある
フィリピンのThe Sisters of the Divine Saviorのシスター・ウェルは、「女性修道者にとって、この総会に参加することは重要だと思っています。なぜなら私には”声”があるからです。女性に関する現状がどうなっているのか、話す必要があります。FABCが男性だけのものではないことを女性たちが実感できるようにする必要がある。私たちは、そのことに貢献できるし、アイデアもあります」と強調。 さらに、タリタクムと共に働いている経験から、「人身売買の問題について、私たちの話を持って聴いてもらう必要がある、と思っています。すべての修道者、とく女性修道者の声が聞かれるべきです」と訴えた。
*変化のためのチャンネル
タイのSister of Our Lady of Charity of the Good Shepherdのシスター・スティサは「弱い人たちと働くタリタ クムと善き牧者の会を代表するシスターたちとここにいることに、恵みを感じています。貧しい人たち、弱い人たち、傷つきやすい人たちを代表する私たちの声がFABCの集まりのテーブルで聴いてもらえるようにする、今がその時です」とし、 「それは、将来、とても近い将来、変化をもたらすチャンネルでもあります」と強調した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Press Conference, FABC General Conference, Bangkok, 24 October 2022
(2022.10.24 Vatican News Sr Bernadette Mary Reis, fsp – Bangkok)
バンコクで開かれているアジア司教会議(FABC)50周年記念総会を主導する3 人の枢機卿が24日夜、記者会見し、12日の開幕からこれまでの成果などについて語った。
会見は、フィリピン・パシッグ教区長のミロ・ ベルガラ司教の司会で始められ、FABC会長のチャールズ・ボー枢機卿が冒頭のあいさつで、今総会を「50年にわたる聖霊の存在を祝うもの」と特徴づけたうえで、セリ例の恩寵のもとに行われたこれまで10日余りの討議で、「苦しみの中にあるアジアの人々の多様性と取り組むべき課題が明らかになった」と述べた。
*”イエスの顔”は、信徒の少ないアジアでも存在し続けている
さらにボ―枢機卿は、これまでの討議でこの地域の「新たな現実」について話し合う中で、さまざまな課題に直面することを求められたアジアの司教たちを、燃える柴を前にして「あなたの求めておられることをどのようにして達成できるでしょうか」と神に尋ねるモーセにたとえた。
そして、「神の答えは、モーセに対するのと同じ、「私はあなたと共にいる』です」と述べ、「キリスト教が存在するのは、主の呼びかけを聞き続けるモーセのような羊飼いたち、ペテロのような漁師たちによる」とし、アジアの全人口のたった2パーセントしかいないカトリック教徒は「アジアにおいて少数派ですが、私たちの存在は効き目があります。そのような者たちを通して、”イエスの顔”がアジアに存在し続けているのです」と強調した。
バンコク大司教でタイ司教協議会会長のクリエンサック・コヴィットヴァニット枢機卿は、今総会がバンコクのバーン・フー・ワーン司牧センターを会場にできたことを喜び、総会の準備・企画・運営を助けてくれたすべての人に感謝を表明。また 、アジアのさまざまな国から多くの司教が集まるのを助けてくれたタイ外務文化省に特別な感謝を捧げた。
*アジアの人々へのメッセージを展開する
ボンベイ大司教で今総会を統括しているオズワルド・グラシアス枢機卿は、今総会がFABCの歴史の中で最大のアジアの司教たちの集まりとなったが、総会の議題とされるアジアにおける教会と社会の両方にとっての「懸念、課題、機会」を特定するために、事前に地域レベルでいくつかの協議がもたれ、総会での議論の基礎とした、と説明。
そして、総会での討議では、まず初めに、各国・地域の社会的、経済的、宗教的な状況、気候変動で受けている影響などを理解するために、現地をバーチャルで訪問するのに数日をかけた。そのうえで、先週一週間は、さまざまな「新たな現実」についての討議に入り、各国・地域などから報告された現実の問題を具体的に理解することができた、と述べた。
そのうえで、これから30日の閉幕までの一週間は、これまでの討議の成果をもとに、(最終日に発表する)「アジアの人々へのメッセージ」と「最終文書」、「司牧計画」で示すアジアの教会のこれから道筋についてとりまとめに努めようとしている、と語った。
*「人間の尊厳、正義を守るのは教会の義務、人権問題への対応も協議中」と
また、グラシアス枢機卿は記者の質問に答える形で、これまでの討議では、「人間の尊厳、正義を守り、和解を目指すことは教会が果たすべき義務であり、教会はそのための架け橋になる必要がある」との議論が行われたことを認めた。
そして、特に人権問題に関して、「アジアを福音の価値観が反映される地域とするために、司教たちがこれらの問題にどのように対処できるかを話し合っている」と述べ、 「これが私たちの使命であり、私たちの仕事であり、天職なのです」と強調した。
*「他地域との交流が相乗効果を生む」
グラシアス枢機卿はまた、FABC は ラテンアメリカ司教協議会(CELAM )からインスピレーションを受け、創設 50 周年を祝う総会を開いた、とし、FABC は他地域の司教協議会や連盟と連絡を取っており、「多くの類似の問題や課題を共有していることから、交流によって相乗効果が生まれている」と述べた。
*「アジアの教会の教会も『宗教間対話』などで貢献できる」
関連して、ボー枢機卿は、アジアの教会が他地域の教会にもたらすことができる独自の貢献の柱を「家族、精神性、長老と両親への敬意などの価値観、平和と瞑想と神聖さです」とし、「アジアの人々の大多数は、宗教的な伝統となんらかのつながりを持っている」と語った。
グラシアス枢機卿は「アジアの教会は若い教会だが、より広く世界の教会活動に貢献する時が来ています」とし、具体的な例として「宗教間対話」を挙げ、「これはやるかやらないかではなく、やる必要があること。私たちは経験を積んでいます」と説明した。
*「アジアは若い大陸、若者たちは不可欠のパートナー」
また、オンラインで若い信徒たちに手を差し伸べることについて質問されたのに対して、グラシアス枢機卿は「アジアは年齢的にも若い大陸であり、若い人口が多いこと」を指摘したうえで、「私たちは若者のことを認識しており、彼らは私たちの計画とビジョンの重要な要素です。私たちは若者と共にいて、完全なパートナーとなることを望んでいる… 教会は彼らの心の広さと、変化を生み出す仕事に参加する熱意を高く評価しています。私たちが行うすべてのことにおいて不可欠なパートナーです」と強調。
ボー枢機卿は「若者に手を差し伸べるためには、私たちが若者がいる場所にいなければなりません」と述べ、クリエンサック枢機卿は「日曜日に FABC がオンラインで仮想教区訪問に参加したこと」を指摘、「意見発表やと朝の祈りの多くは、 FABC 総会により多くの人々が”参加”できるように、オンラインで行われています」と述べた。
*「中国の司教たちは、”コロナ”で総会を欠席したが…」
また、中国の司教たちが総会に何らかの形で関与したかどうか、という質問に対しては、グラシアス枢機卿が「彼らも関与しているが、今総会には参加できていない」と答え、欠席の理由は、新型コロナ感染(防止のため、中国政府が続けている出入国規制)のため、と説明する一方、「中国の司教の代表たちは他の活動には、FABCと共に参加している」と述べた。
*教皇がアジアの教会から多くの枢機卿を選任しているのは…
教皇フランシスコが最近、アジアの教会から枢機卿を選任する例が目立っていることについての質問には、グラシアス枢機卿は「アジアの教会は今、地域を超えたより広範な教会に対して大きな貢献をするようになってきている。教皇は、教会をこれまでのような欧州中心ではなく、国際的なものにしたいとおられるのです」と説明。
そして、ボ―枢機卿が「教皇は、世界の周辺部にいる人々、最も貧しい人々に関心を持ち、注意を払っておられます。そして、アジアには、世界で最も貧しい人々の一部がそこに住んでおり、しかも、世界からしばしば忘れられています」と付け加えた。
*結論
会見の最後に、司会のベルガラ司教は次のように語った。
「FABC は、討議で明らかになった課題に思いやりを持って対応しようとしています… この思いやりは、特に教会が提供する秘跡と、教会員の信仰形成を通して表現されるもの。そして、聖霊は、アジアの教会が直面している現在の岐路で、教会との出会いをしています。この岐路において、私たちは短い道を取ることができるように聖霊に導かれています。”crossroads(岐路)”という言葉は、イエスご自身がお選びになった道を急ぐように、私たちを促しています。それで、私たちは”三人の王”のように、家に帰るのに別の道を選ぶ、イエスが選ばれたのと同じcross(十字架)への道、です」。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)