・インドケララ州の大聖堂が、ミサ典礼をめぐる対立抗争で閉鎖に(Crux)

(2022.12.6 Crux  |Contributor  Nirmala Carvalho)

 ムンバイ(インド )発– インドでカトリック教徒が多く住むのコチ市エルナクラムの聖マリア大聖堂が、ミサ典礼をめぐる対立激化で当局により閉鎖されて一週間、東方典礼のカトリック教徒たちが聖堂の外で4日、待降節第二主日のミサを捧げた。

 教皇フランシスコが昨年7月にSyro-Malabarカトリック教会に、世界のカトリック教会で行われているミサ典礼に統一するよう求め、大部分の司祭、信徒は受け入れたが、ケララ州のエルナクラム・アンガマリ大司教区の多数の信徒がこれに反対、賛否両派の間で対立が起きている。( Syro-Malabar 教会には インドを中心に425 万人の信徒がおり、その半数以上がケララ州に住んでいる。)

 そして11月27日には、賛否両派の間でエルナクラムの聖マリア大聖堂で衝突があり、 タザート大司教が聖堂に入れなくなる事態となった。 警察が介入し、状況が正常に戻るまで教会を閉鎖するよう地区行政当局に求め、当局もこれに同意。また両派に、これ以上騒動が起こらないことを誓う契約に署名が求められた。

 聖マリア大聖堂の閉鎖は現在も続いており、12 月 4 日の待降節第二主日には、聖堂前の通りには信者が集まり、司祭が聖堂内で一人でミサを捧げた後、聖堂から出て、信徒たちが聖体を拝領できるようにした。

 Syro-Malabarの元スポークスマン、ポール・テラカット神父はCruxに対して、「エルナクラム・アンガマリ大司教区のSyro-Malabar司教会議によって引き起こされた典礼上の問題に基づく2つの派閥間の対立のために、聖マリア大聖堂が閉鎖されることは苦痛極まりないこと」とし、「エルナクラム・アンガマリ大司教区の司祭と信徒たちは、何年にもわたって行ってきた典礼儀式に従うことを許可されることだけを求めています。教会の信仰や道徳の問題に反対しているわけではない。教会会議が、統一典礼の採用を、協議を経ずに決定したことに異議を唱えているだけ。教会の一致のために行っているのです」と語った。

 

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2022年12月7日

・11月20日「王であるキリスト」の祭日は東京教区「ミャンマーデー」‐献金は教育支援に

2022年11月11日

(2022.11.11 カトリック東京教区)

 東京教区では11月の第3日曜日を「ミャンマーデー」と定めています。今年は11月20日「王であるキリスト」の祭日がミャンマーデーに当たります。

 今年はミャンマーデーのための特別な行事は行われませんが、各小教区にておいて、姉妹教会であるミャンマーの人々のために、特に内戦下で苦しんでいる国内避難民の子どもたちのためにお祈りください。ポスターを一部同封いたしますのでご活用ください。

 なお、今年のミャンマーデーの献金は、ミャンマーの神学校の支援に加えて、国内避難民の子どもたちの教育支援のために用いられます。献金に対するお問合せは教区事務局までお願いいたします。

2022年11月19日

・「あなたの隣人とは誰か」11月20日~27日は聖書週間

 聖書週間は、1976年11月の臨時司教協議会総会で、1977年11月の第3日曜日からの1週間を「聖書週間」とすることが決定され、聖書委員会が中心になって、定着に努めることとした。その後、司教協議会による諸委員会の機構改革にともない、聖書委員会は1998年2月に廃止されたが、聖書週間は常任司教委員会が引き継ぎ、リーフレット「聖書に親しむ」とポスターの制作、小教区などへの配布が続けられている。

 聖書週間の機会に、聖書を深く味わいたいとお考えの方に、「カトリック・あい」でご参考までにお勧めするのは二冊、「イエスのたとえ話の再発見」(ヨアヒム・エレミアス著、新教出版社)、「旧約聖書がわかる本」(並木浩一、奥泉光、河出親書)。

 エレミアス教授は独ゲッチンゲン大学で30年余にわたり新約聖書学を講じた、20世紀有数の聖書学者。卓越した語学力と分析力、パレスチナの文化風土に関する博識をもって、イエスがたとえ話を使って語られた本来の意図を解明する。また、並木氏は国際基督教大学名誉教授で元日本旧約学会長、奥泉氏は作家、近畿大学文芸学部教授。2人の対話を通じて、旧約聖書を深く、分かりやすく解きほぐしていく。

 

2022年11月15日

・菊地大司教のFABC総会から(その4)無事閉幕、お祈りに感謝

2022年11月 2日 (水) FABC総会から(その4)Fabc_photo

 アジア司教協議会連盟FABCの創立50年を記念した総会は、10月30日の日曜日、バンコクのカテドラルでの閉会ミサで無事に閉幕しました。この間、特に10月25日には日本の皆様にもFABCのためにお祈りいただいたこと、心から感謝いたします。

 皆様のお祈りに支えられて、聖霊がどのようにアジアの司教たちを導いたのかは、今後発表される文書などに示されていくことになると思います。

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 最終週は、日本からは成井司教様に代わって長崎の中村大司教様が加わり、前田枢機卿、勝谷司教、アベイヤ司教、中村大司教、そして私の5名で参加。

 これまでに2週間でそれぞれの国の状況を振り返り、教皇様の諸文書の振り返りに基づいて様々なテーマへの取り組みへの学びを深め、それらに基づいて、これからどうしていくかの検討が三週目です。

 最初の二日間は司教たちを4名ずつのグループに分けて、傾聴のワークショップ。これがなかなか大変です。それに基づいて「FABCの優先すべき課題は何か」を絞り込みました。

 そして最終週の水曜日は、総会の最終声明の討議、後日発表される最終文書の内容の検討、そして私が担当しているFABCの再構築についての検討が始まりました。

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 10月25日の朝の祈りは、日本の当番でした。各国が順番に20分程度のビデオを事前に作成するように依頼され、日本のビデオは秋田の聖体奉仕会にお願いしました。以前から海外とのビデオ中継などの経験があるからです。聖体奉仕会の皆さんと、協力してくださった皆さんに感謝です。

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 木曜日はバンコクの西隣にあるラチャブリ教区へ全員でバス巡礼。歴史ある最初の神学校の跡を訪ねたりしながら、ラチャブリ教区のカテドラルで感謝ミサ。司式はバンコクのフランシスコ・ザビエル枢機卿様です。

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 ミサの終わりにラチャブリ教区のジョン・ボスコ司教様からFABCに聖母子像を寄贈いただき、会長のボ枢機卿様が不在だったこともあり、事務局長として代理で受け取らせていただきました。バンコクの事務局に安置される予定です。

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 そして最後の二日間、金曜と土曜は、すべての時間を使って、最終メッセージと最終文書についての討議です。金曜の午後には教皇代理でタグレ枢機卿様が到着され、そのお話もあり、また土曜日の午後には司教たちとの話し合いも行われました。

 最終日の10月30日は、バンコク市内、チャオプラヤー河沿いにあるカテドラルで、タグレ枢機卿司式の閉会ミサでした。カテドラルの立派なこと。教皇様が来られた時にも、ここでミサが捧げられました。この辺りはFABC2020のYoutubeチャンネルがありますから、一度ご覧ください。また最終メッセージは原文の英語がこちらに掲載されています。今後翻訳して、中央協議会のホームページにも掲載されることになろうかと思います。

 私は、事務局長としてFABCの「再構築の委員会」の責任者でしたので、連日夜は会議でした。メンバーはインドの枢機卿、フィリピンの大司教、神学者の司祭、信徒の女性神学者二名。結局、最終日の昼間に最終的に集まって、提言を作成し、あとは3月に開催される中央委員会に判断を任せるところまでこぎつけました。

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 50年前にFABCが始まったころは、第二バチカン公会議直後で、まだ発足したばかりの各国の司教協議会は、連盟からの支援を必要としていました。そのために連帯して歩もうと様々な事務局が設けられました。

 しかし50年を経て、しっかりと組織を確立した司教協議会も多くある中で、FABCの果たすべき役割も変化していって当然だと考えました。次の50年のために、今後も組織のありようを見直し続けることになります。

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 それにしてもこの総会は、2014年ころから、当時の会長であったボンベイのグラシアス枢機卿が中心となり、その補佐司教であるアルヴィン司教と一緒に計画を練ってきたものです。企画運営委員会は、この2年ほどは毎週月曜にオンラインで会議を開いてきました。

 私も事務局長になって以降、ほとんど毎週月曜の夜7時半から、オンライン会議に参加してきましたが、話が二転三転、あちらこちらに飛びながら、それでも最後には何とかまとまるという、”奇跡的な運営‴を目の当たりにしてきました。

 今回の総会中も、その日にならないとプログラムの詳細が分からない日も多く、はらはらさせられましたし、手元に詳細なプログラムが残ってません。なかなかの不思議な体験でもありました。(右の写真は、FABC会長でヤンゴン大司教のボ枢機卿様と)

(菊地功=きくち・いさお・東京教区大司教、日本司教協議会会長、FABC事務局長)

2022年11月3日

・「教会は、虐待や暴力に苦しむ人の側に立つ」FABC50周年記念総会・ボー会長が閉幕あいさつ

(2022.10.30 カトリック・あい)

 バンコクで10月12日から開かれていたアジア司教協議会連盟(FABC)の50周年記念総会の30日の閉幕にあたって、ボーFABC会長が以下のようにあいさつした。FABC Mediaが伝えた全文以下の通り。

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 私たちの慈悲深い神に感謝の言葉を共に捧げることは、私の幸せな務めです。

 教皇が言及されたように、聖パウロ六世教皇は、アジアで、運命論から人間にふさわしい生活へと、目覚めようとしている貧しい人々の大陸に出会われました。当時のアジアはまた、社会における自分たちの正当な役割に目覚めつつある若者の大陸でもありました。そして、アジアは常に、国々の兄弟的コミュニティ共同体の構築に献身する、古くからの信仰と多様な文化の生まれ故郷でありました。

 ですから、アジアの教会は、自分たちが貧しい人々の教会、若者の教会、対話する教会となるよう召されていることに気づかすにはいられませんでした。私たちは、貧しい人々、様々な文化との対話に携わる一方で、”沈黙の教会”の兄弟姉妹たちのことを悲しみをもって知り、連帯して祈っていました。彼らは、キリストがなさったように十字架を担うことで、抑圧されることが少ない地域に住む渡した死の誰よりも、雄弁に語りました。

 それから50年たち、私たちは貧しい人々の叫びを地球の叫びから切り離すことはできないことに気づいています。したがって、貧しい人々の教会は、被造物と調和した教会にもならねばなりません。先住民コミュニティの兄弟姉妹の知恵に耳を傾け、抑圧された人々の声が私たちの姉妹である母なる大地の声になるようにせねばなりません。

 「へりくだった人々は、幸いである。その人たちは受け継ぐ」(マタイ福音書5章5節)ー 私たちの祖先が荒々しい海に勇敢に立ち向かい、山を征服して新たな居住地を捜し、見つけたのと同じように、50年たった今、若者たちがワールドワイドウェブに住んでいることに気づきました。彼らのおかげで、イエスはすでにウェブ上におられます。”住まい”を変容させ、コミュニティを構築しています。若者たちの教会は、ウェブの新しいフロンティアを泳ぎ、ナビゲートする教会になりました。私たちは、デジタル大陸で直面する多くの危険を認識したうえで、喜々として次のように確認しますー「心の清い人は幸いである。その人たちは神を見る」(同5章8節)。

 50 年たった今、対話が、ますます分断され暴力的な紛争が起こりやすい世界に関わるだけでなく、欠くことのできないものになっていることに、私たちは気付きました。対話する教会は、一層、「橋を架ける教会」にならねばなりません。私たちはイエスと共に、「平和を作る人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」(同5章9節)と宣言します。

 50年たった今、信教の自由のための空間が当然のもの、とは見なされ得ないことに、私たちは気付きました。自由は、時には額の汗、殉教者の血によってなされた贖罪によって買い取らねばならないのです。”沈黙の教会”と共に、私たちは神の祝福を願います。私たちは、虐待や暴力に苦しむ人々の側に立ちます。私たちは、子供、女性、移民、難民にとって安全な世界を目指して活動するとともに、次のように祈りますー「義に飢え渇く人々は、幸いである。その人たちは満たされる 」(同5章6節)。”沈黙の教会”は贖いと希望の教会でもあるのです。

 親愛なる友人の皆様、この総会のために時間を割いていただき、ありがとうございます。タイの素晴らしい人々へ、私たちを快く受け入れてくれてありがとう。タイの教会へ,あなたの明るい証しとおもてなしに感謝します。この総会が実り多いものになるように働き、祈ってくれたすべての人に感謝します。神があなたのすべての祈りを聴いてくださいますように。神があなたに健康、繁栄、平和を与えてくださいますように。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二=聖書の引用の日本語訳は「聖書協会・共同訳」を使用)

2022年10月30日

・FABC50周年記念総会閉幕、総会メッセージ発表ー様々な課題、そして決意

(2022.10.30 カトリック・あい)

 10月12日からバンコクで開かれていたアジア司教協議会連盟(FABC)創立50周年記念総会が30日、以下の総会メッセージと最終文書を発表して閉幕した。FABC Mediaによる総会メッセージの全文は以下の通り。

【FABC総会からアジアの人々へのメッセージ】Baan Phu Waan, Bangkok, 12-30 October 2022

 

 私たち、アジアのカトリック教会の司牧者たちは、喜び、希望、連帯のこのメッセージをアジアの人々と分かち合います。私たちは、17 の司教協議会と 2 つの東方教会協議会からなるアジア司教会議連合 (FABC) を通じて、神がアジアに降り注がれた祝福に感謝しています。 「アジアの人々として共に歩む」は、私たちの総会のテーマであり、私たちはこの総会で過去50年間の旅を振り返り、教会を活性化し、奉仕の新しい道筋を考察しました。

 タイ王国政府の温かい歓迎と、開会式への文化大臣のご出席に深く感謝いたします。私たちは、FABC 50 総会を主催してくださったタイのカトリック司教協議会、特にバンコク大司教区に深い感謝の意を表します。私たちは、聖座や他の大陸会議の代表者と共に過ごしたことに喜びを表明します。私たちはこの総会で、共に祈り、耳を傾け、識別し、励まし合う、実りある時を過ごしました。それはまた、新型コロナウイルスの世界的大感染によって引き起こされた痛みから癒される瞬間でもありました。

 会議での議論と審議を通じて、私たちはアジアの魂に触れました。同時に、私たちはアジアの諸教会が示した、よりよいアジアのためにさらに献身的に働く希望、勇気、そして決意に励まされました。

 私たちは、助けと正義を求めて叫ぶ、私たちの多面的な大陸から、以下のようなさまざまな声の挑戦を受けました。

・尊厳ある生活を切望する貧しく、奪われ、周縁化された人々の苦しみ、

・真の人間の尊厳と安全な場所を求める難民、移民、避難民、先住民の苦悩、

・搾取、気候変動、地球温暖化の傷を負った自然のうめき声。

・教会と社会でより重要な役割を求める若者の夢

・女性の尊厳を重んじ、正当な地位を認める、より包括的な教会を求める女性の声、

・より良い安定とすべての人からのより多くの支援を求める家族の願い。また、次の点についても深く懸念しています。

・私たちの共感と連帯を通じて救済を受ける必要があるいくつかの教会の痛みと苦しみ。

・賢明に対応する必要がある過激主義の声の高まり。

・命をもっと尊重することを社会に説き聞かせる緊急の必要性。

・対話と和解を必要とする、私たちの大陸で激化する暴力と紛争。

・プラスにもマイナスにもすべてに影響を与えるデジタル革命の挑戦を受けている社会。

 祈りと協力の心で、私たちは愛、思いやり、正義、赦しの力に依拠し、これらの課題に対応したいと考えています。私たちは、平和と和解が、前に進む唯一の道だ、と信じています。私たちは、互いにの耳を傾け、真の識別力に基づいて、福音宣教の新しい道筋を考察してきました。

 福音と教皇フランシスコの最近の教えに触発されて:

・私たちは、社会の周辺部にある人たちに手を差し伸べることを約束します。私たちは、最も困窮している人々に喜んで仕えるよう召されています。

・私たちは、「地球の叫びと貧しい人々の叫びの両方」に積極的に対応するために、司牧的および生態学的な回心を求められています。

・私たちは、他者の真の対話に耳を傾けることで、補完性と調和の精神を実現したいと考えます。

・私たちは、私たちの近隣の宗教や伝統を持つ兄弟姉妹と協力して、平和と調和の文化を促進することを目指します。

・私たちは、宗教や伝統の間だけでなく、人権、貧困の根絶、人身売買、地球の世話、およびその他の共通の関心事項について、政府、NGO、および市民団体との規範ある関係によって、架け橋を築くことを約束します。

・私たちは互いに耳を傾け、私たち全員が神の声に耳を傾ける「互いに耳を傾ける文化」を育むことによって、自分自身を変革する必要があります。

・私たちは信仰を持って自分自身を形成し、家族や地域社会、特に困難に直面している人々に寄り添う方法を改善する考えです。

 これらの道を共に旅することで、私たちはより大きな責任をもって世界に奉仕します。私たちは、アジアのカトリック教会が常により良いアジアとすべての人々の利益のために働くことを、この大陸の人々に確信をもって申し上げます。私たちはあなたがたに、祈ることを約束します。あなたがたも、祈りの中で私たちを思い起こしてくださいますように。私たちは、人類家族とすべての被造物のために、共に旅をします。

    2022 年 10 月 30 日にタイのバンコクにて

✠ FABC会長 チャールズ・ボ―枢機卿  ✠ FABC50周年記念総会議長 オズワルド・グラシアス枢機卿

✠ バンコク大司教 キリエンサック・コビタバニ枢機卿

✠ FABC事務総長 菊地功 大司教

2022年10月30日

・FABC総会第三週の討議テーマ「新たな道を構想する」最終日ーメッセージ、最終文書を採択

(2022.10.29 FABC News  PRESS NOTE)

 FABC総会第三週の討議テーマ「新たな道を構想する」の最終日、29日は、教皇特使として出席しているバチカン福音宣教省のアントニオ・タグレ枢機卿が最初に講演し、今日の若者の新たな状況、ソーシャルメディアと人工知能の現状、それらの福音宣教活動への影響について語った。

 その中で、特に、ソーシャル メディアが、若者の self-identity (主体性)、帰属意識、他者への共感にどのような影響を与え、変化させたか、ソーシャル メディアの速さと限界が推論、批判的分析、共感能力にどのように影響しているか、深く読むことの重要性、および危険性ーデジタル犯罪と(商売を優先する)企業によるメディア独占などーに警鐘を鳴らした。

 その一方で、タグレ枢機卿は、ソーシャル メディアのプラス面として、「単につながりの手段であるだけでなく、新しい人間性を生み出す強力なツール」であることも指摘、「ソーシャル メディアは福音宣教せねばならない世界です」と締めくくった。

 続いて、FABC総会のアジアの人々に向けたメッセージの取りまとめを担当するアドリアアヌス・スナルコ司教が、最終案を提案し、投票の結果、正式なメッセージとして承認された。

 また最終文書についても、策定委員会のヴィルジリオ・デイビッド司教が、原案に対して寄せられた追加提案などをもとに再編集した最終案を説明。これを受けて、全体会議での検討がなされた。最終文書に関する意見交換は、午後の会議でも続けられ、その後、賛否の投票が行われた。

 また、ビル・ラルース神父から、”シノドスの道”の大陸レベルの集まりの具体的な内容についての説明がなされた。

 最後にボー枢機卿は、締めくくりの演説を行い、総会中の恵みを神に感謝した。そして、アジア教会を「貧しい人々、若者、そして対話の教会」と表現し、FABCの設立からこれまで50年間に成し遂げた計り知れない進歩について語り、そして、総会の主催者であるバンコク大司教のクリエンサック枢機卿、会議を総括・指導してくれたグラシアス枢機卿、タイの教会、そしてすべての参加者に感謝を表明した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年10月30日

・FABC総会第三週の討議テーマ「新たな道を構想する」第4日ーメッセージ案、最終文書案を検討

(2022.10.28 FABC News PRESS NOTE )

   FABC総会第三週の討議テーマ「新たな道を構想する」4日目、28日は、イングランドとウェールズの「ウォルシンガムのわれらの聖母」属人教区の司祭であるナジール・アリ神父による講話に始まった。

 アリ神父は、キリストと宗教、そして今日の世界の教会について語り、「教会を作り、更新し、改革するのはキリストです」と強調。使徒の福音宣教のプロセス、その伝統、そしてそれがどのように教会の変化に関わっているかに言及し、”シノドスの道”の歩みに触れて、「その第一の要件は、共に祈ることです」と強調した。

 続いて演壇に立ったヨゼフ・クーツ枢機卿は、今総会の最終メッセージの改訂草案を説明し、これを受けて全体会議の議論がなされた。

 また、30日に決定、発表が予定される総会の最終文書についても、シンコ・デビッド司教は、参加司教たちが提案された改訂箇所に注意を払いながら、その構成の改訂草案を提示し、参加司教たちはグループに分かれて、草案を部分ごとに吟味、点検した。

 FABC会長のチャールズ・ボー枢機卿が、教皇特使として総会に出席したバチカン福音宣教省のアントニオ・タグレ枢機卿を歓迎し、タグレ枢機卿の挨拶で、参加者たちに、教皇の「私はすべての人に近い」言葉を実感させた。そして、タグレ枢機卿は、 「アジアの人々の喜び、悲しみ、痛みが、聖母マリアの心に届くように」という教皇の祈りに言及し、現在アジアに起きている様々な苦難に耐える必要があることを、参加者たちに思い起させた。

 その後もグループに分かれての意見交換は続けられ、最後に各グループから意見発表がされた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2022年10月29日

・FABC総会第三週の討議テーマ「新たな道を構想する」第3日-総会メッセージと最終文書の検討始める

(2022.10.26 FABC news  PRESS NOTE )

 FBAC総会の最終週の討議テーマ「新たな道を構想する」の3日目、26日は、司会のオズワルド・グラシアス枢機卿がこの日の討議内容として、総会メッセージの素案と最終文書の構成の検討、およびFABCの組織などの在り方の検討を提示した。

 最初に講演したのは、バチカンのシノドス事務局の”シノドスの道”のアジア地域など大陸段階の作業チームのスーザン・パスコー教授。”シノドスの道”の歩みに関して3つの点ーFABCを通して、これまでに何がなされたか、大陸の段階 の歩みがどのように進んでいるか、そして今後、どのように進められるのかーを指摘し、大陸段階の取り組みと目的に焦点を当て、「(アジア地域の大陸段階の取りまとめ文書が、神の民の声を、真に言い表すものとなるようにすること」の必要を強調した。

 次に、FABC総会からアジアのすべての人々に対する呼びかけとなる総会の最終メッセージの素案が説明され、参加司教たちはこの内容を子細に検討し、提案を行うよう求められた。続いて、「新しい道筋を構想する」という文脈で、議論の内容の要点について短い報告がなされた。

 FABC 総会の最終文書の構成などについても、作業委員会のシオンコ・ ダビッド司教から説明され、参加者による質問、意見、提案がなされた。

 さらに、FABCの在り方について、司教たちは国と地域に基づいてグループに分かれて、いくつかの重要なポイントー夢、変革、協力の分野などーをもとに、意見を交換し、その内容についてグループごとに取りまとめた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年10月27日

・FABC総会第三週の討議テーマ「新たな道を構想する」第2日

(2022.10.25 FABC news  PRESS NOTE )

 FBAC総会の最終週の討議テーマ「新たな道を構想する」の2日目、25日は、日本の代表団が朝の祈りを務めることではじまり、クリエンサック・コヴィタバニ枢機卿の司会のもとに進められた。

 午前の討議は、前日に続いてレスリー・デソーザ氏が指導し、 ‘Theory-U’の手法*による次のステップ、Presencing and Absencing」について、過去のパターンをダウンロードすることから、新たな改良された手法に移行することの短い説明から始めた。参加している司教たちは、グループに分かれてのケーススタディを続け、その後、学んだことを報告し合った。

 午後は、参加者たちが 15 人づつのグループに分かれ、総会の最終文書の骨格をなす特定のトピックについて一定の枠組みに基づいて議論したあと、その内容について点検、見直しを行った。

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 *「Theory U 」とは、複雑な組織の中で必要な変化と革新を促進するための意識ベースの方法論。耳を傾けるプロセスを深める中で、 厳格な仮定を緩め、共通の意図を見つけ、深い受容性と開放性の空間から組織の働きを感知する・・というが、今総会のような短期間に、参加者がどこまでこうした手法を消化できるのか、一般社会、とくに教会であまり知られていないこの手法が、今回の総会の議論ととりまとめにどれほど役に立つのか、疑問もある。(「カトリック・あい)。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年10月27日

・FABC総会第三週の討議テーマ「新たな道を構想する」第1日

(2022.10.24 FABC news)

 FABC 総会は最後の週に入り、24日から「新たな道を構想する」を討議テーマに全体会議を始めた。

 24日は、前週の討議テーマ「新たな現実」のビデオ録画の要約版の鑑賞から始まり、最初の講演に立ったラテンアメリカ司教協議会(CELAM)会長のカブレホス・ヴィダルテ 大司教は、ラテンアメリカにおける教会の発展と教会のネットワークの役割の文脈の中でCELAM の経験と歴史、第 2 バチカン公会議と司教協議会にもたらされた影響について説明した。

 続いて、今総会の統括者であるオズワルド・グラシアス 枢機卿が30日の閉幕までの会議の進め方などについて説明した後、討議全般に関わっているレスリー・デソーザ氏を紹介。デソーザ氏は、総会のテーマにある「そして彼らは別の道を歩んだ」を取り上げ、参加者の司教たちに、新しい道を切り開く「新時代の”東方の博士”」となるよう求めた。

 そして「Theory-U」の方法論ー 「私がいるエコシステム」から「私が作るエコシステムへの移行」、”‘presencing”ー見る、理解する、感じる、感知する、活動が呼び起こされるーについて説明した。続いて、アジアの「 3 つの分断」に焦点を当て、 「自己」と「他者」の間の生態学的、社会的、精神的な分断、それらを橋渡しする方法、聴くことの重要性について語ったうえ、リーダーシップの根本的な意味を指摘し、開かれた意識、心、意志を育む必要性について語り、耳を傾けるグループ調査を実演した。

 午後は journaling activity(書く瞑想)から始まり、参加した司教たちは、自分自身、自分の習慣、働いている組織についての質問に答え、次に、ペアを組んで互いに耳を傾け、仮定や印象を残しながら、”共感的な散歩”をした。続いて、各グループが、リーダーシップとリスニングのレベルに基づいてケーススタディを行い、話し合い、反省するケースクリニック活動、ケーススタディに基づく”書く瞑想”、および参加者全員との共有が行われた。

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 *「Theory U 」とは、複雑な組織の中で必要な変化と革新を促進するための意識ベースの方法論。耳を傾けるプロセスを深める中で、 厳格な仮定を緩め、共通の意図を見つけ、深い受容性と開放性の空間から組織の働きを感知する・・というが、今総会のような短期間に、参加者がどこまでこうした手法を消化できるのか、一般社会、とくに教会であまり知られていないこの手法が、今回の総会の議論ととりまとめにどれほど役に立つのか、疑問もある。(「カトリック・あい)。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年10月27日

・「私たちの声を聴いて!」FABC総会で、女性修道者たちも主張(VN)

Women religious present at the FABC General Conference, 25 October 2022Women religious present at the FABC General Conference, 25 October 2022 

*司教の方々に私たちの声を聴いてもらいたい

  人身取引禁止の国際ネットワーク、TALITHA KUM(タリタクム)のメンバーであるシャルトル聖パウロ修道女会のシスター・ポーラは、「まず、女性の修道者がこの総会に出席して語り、司教たちが人身売買を阻止する分野で私たちが何をしているかを知ってもらうことが重要。私たちは、司教の方々に、活動する私たちの声を聞いてもらい、私たちの活動に参加し、支援してもらいたいのです」と訴え、シスター・フランソワーズも、「司教たちに、私たちの活動を知ってもらい、ご自分の教区で、私たちの活動を受け入れてほしい」と付け加えた.

 

 

*私たちは福音宣教で重要な役割を担っている

聖母の被昇天修道女会の会員でタイでフィリピン人向けの福音宣教活動をしているシスター・ディーナも、女性修道者の存在のタイにおける重要性を強調。「私たちが、現地の福音宣教において重要な役割を果たしていることを、この総会は、司教の方々に改めて認識していただく場になっていると感じています」と述べた。.
そして、自分の役割の中で最も重要なものの一つは、「男女の修道者の間に相互関係を築くこと」であり、実際に、特定の会議に自分が出られない時には、男性の修道者が出席し、逆のこともあるとし、「私が会議に出ると、男性の修道者たちは私の話に耳を傾け、女性修道者の重要性を認識するようになります」と経験を語った。

 

*FABCのメディア分野での改革に貢献できる

 インドの女子パウロ会のシスター・ジョイアンナ・ドゥスーザは、「メディアを通じて福音を宣べ伝えるという自分の仕事のために、総会に呼ばれました。ソーシャルメディアとFABCのデジタル化の観点から最善を尽くしています」と語った。

*私たちは貢献できる、アイデアがある

 フィリピンのThe Sisters of the Divine Saviorのシスター・ウェルは、「女性修道者にとって、この総会に参加することは重要だと思っています。なぜなら私には”声”があるからです。女性に関する現状がどうなっているのか、話す必要があります。FABCが男性だけのものではないことを女性たちが実感できるようにする必要がある。私たちは、そのことに貢献できるし、アイデアもあります」と強調。 さらに、タリタクムと共に働いている経験から、「人身売買の問題について、私たちの話を持って聴いてもらう必要がある、と思っています。すべての修道者、とく女性修道者の声が聞かれるべきです」と訴えた。

 

*変化のためのチャンネル

 タイのSister of Our Lady of Charity of the Good Shepherdのシスター・スティサは「弱い人たちと働くタリタ クムと善き牧者の会を代表するシスターたちとここにいることに、恵みを感じています。貧しい人たち、弱い人たち、傷つきやすい人たちを代表する私たちの声がFABCの集まりのテーブルで聴いてもらえるようにする、今がその時です」とし、 「それは、将来、とても近い将来、変化をもたらすチャンネルでもあります」と強調した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年10月27日

・FABC50周年記念総会の責任枢機卿たちが記者会見「アジアの司教たちは”新たな課題”に情熱を持って取り組もうとしている」

Press Conference, FABC General Conference, Bangkok, 24 October 2022Press Conference, FABC General Conference, Bangkok, 24 October 2022 

 バンコクで開かれているアジア司教会議(FABC)50周年記念総会を主導する3 人の枢機卿が24日夜、記者会見し、12日の開幕からこれまでの成果などについて語った。

 会見は、フィリピン・パシッグ教区長のミロ・ ベルガラ司教の司会で始められ、FABC会長のチャールズ・ボー枢機卿が冒頭のあいさつで、今総会を「50年にわたる聖霊の存在を祝うもの」と特徴づけたうえで、セリ例の恩寵のもとに行われたこれまで10日余りの討議で、「苦しみの中にあるアジアの人々の多様性と取り組むべき課題が明らかになった」と述べた。

*”イエスの顔”は、信徒の少ないアジアでも存在し続けている

 さらにボ―枢機卿は、これまでの討議でこの地域の「新たな現実」について話し合う中で、さまざまな課題に直面することを求められたアジアの司教たちを、燃える柴を前にして「あなたの求めておられることをどのようにして達成できるでしょうか」と神に尋ねるモーセにたとえた。

 そして、「神の答えは、モーセに対するのと同じ、「私はあなたと共にいる』です」と述べ、「キリスト教が存在するのは、主の呼びかけを聞き続けるモーセのような羊飼いたち、ペテロのような漁師たちによる」とし、アジアの全人口のたった2パーセントしかいないカトリック教徒は「アジアにおいて少数派ですが、私たちの存在は効き目があります。そのような者たちを通して、”イエスの顔”がアジアに存在し続けているのです」と強調した。

 バンコク大司教でタイ司教協議会会長のクリエンサック・コヴィットヴァニット枢機卿は、今総会がバンコクのバーン・フー・ワーン司牧センターを会場にできたことを喜び、総会の準備・企画・運営を助けてくれたすべての人に感謝を表明。また 、アジアのさまざまな国から多くの司教が集まるのを助けてくれたタイ外務文化省に特別な感謝を捧げた。

*「他地域との交流が相乗効果を生む」

 グラシアス枢機卿はまた、FABC は ラテンアメリカ司教協議会(CELAM )からインスピレーションを受け、創設 50 周年を祝う総会を開いた、とし、FABC は他地域の司教協議会や連盟と連絡を取っており、「多くの類似の問題や課題を共有していることから、交流によって相乗効果が生まれている」と述べた。

 

*「アジアの教会の教会も『宗教間対話』などで貢献できる」

 関連して、ボー枢機卿は、アジアの教会が他地域の教会にもたらすことができる独自の貢献の柱を「家族、精神性、長老と両親への敬意などの価値観、平和と瞑想と神聖さです」とし、「アジアの人々の大多数は、宗教的な伝統となんらかのつながりを持っている」と語った。

 グラシアス枢機卿は「アジアの教会は若い教会だが、より広く世界の教会活動に貢献する時が来ています」とし、具体的な例として「宗教間対話」を挙げ、「これはやるかやらないかではなく、やる必要があること。私たちは経験を積んでいます」と説明した。

 

 

*「アジアは若い大陸、若者たちは不可欠のパートナー」

 また、オンラインで若い信徒たちに手を差し伸べることについて質問されたのに対して、グラシアス枢機卿は「アジアは年齢的にも若い大陸であり、若い人口が多いこと」を指摘したうえで、「私たちは若者のことを認識しており、彼らは私たちの計画とビジョンの重要な要素です。私たちは若者と共にいて、完全なパートナーとなることを望んでいる… 教会は彼らの心の広さと、変化を生み出す仕事に参加する熱意を高く評価しています。私たちが行うすべてのことにおいて不可欠なパートナーです」と強調。

 ボー枢機卿は「若者に手を差し伸べるためには、私たちが若者がいる場所にいなければなりません」と述べ、クリエンサック枢機卿は「日曜日に FABC がオンラインで仮想教区訪問に参加したこと」を指摘、「意見発表やと朝の祈りの多くは、 FABC 総会により多くの人々が”参加”できるように、オンラインで行われています」と述べた。

 

 

*「中国の司教たちは、”コロナ”で総会を欠席したが…」

 また、中国の司教たちが総会に何らかの形で関与したかどうか、という質問に対しては、グラシアス枢機卿が「彼らも関与しているが、今総会には参加できていない」と答え、欠席の理由は、新型コロナ感染(防止のため、中国政府が続けている出入国規制)のため、と説明する一方、「中国の司教の代表たちは他の活動には、FABCと共に参加している」と述べた。

 

 

*教皇がアジアの教会から多くの枢機卿を選任しているのは…

 教皇フランシスコが最近、アジアの教会から枢機卿を選任する例が目立っていることについての質問には、グラシアス枢機卿は「アジアの教会は今、地域を超えたより広範な教会に対して大きな貢献をするようになってきている。教皇は、教会をこれまでのような欧州中心ではなく、国際的なものにしたいとおられるのです」と説明。

 そして、ボ―枢機卿が「教皇は、世界の周辺部にいる人々、最も貧しい人々に関心を持ち、注意を払っておられます。そして、アジアには、世界で最も貧しい人々の一部がそこに住んでおり、しかも、世界からしばしば忘れられています」と付け加えた。

*結論

 会見の最後に、司会のベルガラ司教は次のように語った。

 「FABC は、討議で明らかになった課題に思いやりを持って対応しようとしています… この思いやりは、特に教会が提供する秘跡と、教会員の信仰形成を通して表現されるもの。そして、聖霊は、アジアの教会が直面している現在の岐路で、教会との出会いをしています。この岐路において、私たちは短い道を取ることができるように聖霊に導かれています。”crossroads(岐路)”という言葉は、イエスご自身がお選びになった道を急ぐように、私たちを促しています。それで、私たちは”三人の王”のように、家に帰るのに別の道を選ぶ、イエスが選ばれたのと同じcross(十字架)への道、です」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2022年10月25日

・FABC総会第二週の討議テーマ「新たな現実」第6日ー聖霊の導き、アジアの教会の優先事項

(2022.10.22 FABC NEWS  PRESS NOTE)

 FABC 総会の「新たな現実」をテーマとする討議の 6 日目は、総会の統括責任者のグラシアス枢機卿が「聖霊の導きとアジアにおける教会の司牧的優先事項」に焦点を当て、全体討議とグループ討議の進め方などについて説明することから始まった。

 最初の講演者、バチカン総合人間開発省の移民・難民部門の東アジア・オセアニア地域コーディネーターである村山直子博士は、「難民が襲われている危機」について話し、総会参加者たちに、対応策を提案したうえで、彼らに学び、耳を傾け、支援に協力するよう求めた。

 グラシアス枢機卿は、これまでのグループ討議で得られたデータなどをもとに、国や地域での少数派としての司祭、信徒の勇気、積極的に人々の声に耳を傾ける姿勢、開放性、調和、対話と和解、一致した教会、教会のアジア性、継続的な養成、若者、環境、移住・移民、証言と霊的養成、そして貧しい人々などの課題に触れた。

  Potsdam Institute for Climate Impact Research (PIK)の創設者で名誉所長のハンス・ヨアヒム・シェレンヒューベル 教授は「気候変動対策の緊急性:リスクと対応」というトピックで講演し、気候変動問題の文書化、世界的な意思決定に関する包括的な説明、気候変動の測定方法とその影響などについて語った。また、取るべき対策の”時刻表”とそれに沿って具体的な措置を講じる必要がある、と強調した。

 またバチカン諸宗教対話省のインドニル・コディスワック師は、アジアのように多様な大陸において開放的な対話を創出することの重要性について話し、全体討議に移って議論が続けられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年10月24日

・FABC総会第二週の討議テーマ「新たな現実」第4日ー対話、平和、そして和解

(2022.10.20 FABC news PRESS NOTE )

    FABC 総会の第2週、「新たな現実」の討議 4 日目は、バンコク大司教のランシス・ザビエル・クリエンサック・コーウィタワーニット枢機卿が冒頭、「対話、平和、和解」というこの日のトピックを紹介。教皇フランシスコの使徒的勧告「福音の喜び」をもとに、アジアに影響を与える地政学的および社会的変化と、対話を通じで宗教間に橋を架ける方策について考察した。

  FABCの会長であるチャールズ・マウン・ボー  枢機卿は、アジア教会の新しい道としての対話、平和、和解の使命について語り、「アジアを素晴らしい機会と楽観主義で生きている国」としつつ、戦争や武力抗争など平和への多くの脅威について説明したうえ、「教会は”平和の代理人”であり、対話に努め、平等を唱導し、”空の手”で権力に立ち向かう必要があります」と説いた。そして、 「教会は聖年のたびに、回心を求めている。- 平和を作ることが新しい福音宣教となるように、自分自身に挑戦しましょう。平和のために戦おう」と参加者たちに呼びかけて講演を締めくくった。

 次の講演者、メルボルンの Australian Catholic Universityの神学教授で宗教間対話の共同ディレクターであるエドムンド・チア 博士は、この総会が「アジア教会の対話の旅における重要な瞬間」であり、一連の討議から教訓を学び取るよう呼びかけ、「対話し、他宗教に感謝し、そして学習する教会」としてFABC をその実例として称賛した。

  シンガポール大司教区のシノドス委員会の共同司会者であり、宗教間対話に関する顧問と務めるローレンス・チョン氏は、特に「若者のための宗教内、宗教間対話」を取り上げ、これらに橋を架ける方法を提案した。そして、「教会の指導者は、若者に信頼されるようにし、若者の能力を育て、彼らとの関わりと対話の未来を作っていく必要がある。皆さんも若い人たちと、もっとうまく対話するように」と参加者たちに求めた。、

*以上のセッションに続いて、本会議のグループ・ ディスカッションと質疑が行わた。

 マラヤ大学経済・行政学部の政治経済学教授であるエドモンド・テレンス・ゴメス教授は、次のトピックである「今日のアジアを牽引する政治的および経済的傾向」について講演。アジアの政治史の包括的な見解を示し、さらに、現在の地政学的闘争が私たちに影響を与えているだけでなく、権威主義的支配、権力を求める運動、民主主義と高度工業化社会への腐敗の影響を詳説した。そして、参加者たちに、「国家とは誰のことですか?」と「権力はどこにあるののですか?」と問うことが、自分の国の地政学的構造を理解するための鍵であることを思い起させた。

 午後に入り、教皇庁立グレゴリアン大学の学部長であるブライアン・ ロボ 神父が、「福音を宣言するアジアの教会ー 福音の喜びに照らして、宗教間の対話の文脈に橋を架ける方法」というトピックについて詳述した。そのうえで、「私たちが共に旅する巡礼者であること」についての教皇のメッセージを取り上げ、「回心が、あらゆる取り組みを作るための文書の基本原則であり、他の文化や宗教との対話では、考えよりも現実を重視すべきこと」、そして「対話は、真実に心を開くことと愛によって特徴づけられねばならないこと」を強調した。

 またRiver Above Asia Oceania Ecclesial Networkの推進者であるペドロ・ワルポール神父 は「環境保全における組織の目的と取り組み」について説明し、食料を確保し、環境を保全し、生計を立てることの重要性を強調。参加者たちに、変化を引き起こすのを助ける人たちと連帯するよう促した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年10月24日