・東京教区の今年の取り組み-菊地大司教が教区新年会で表明

(2020.1.14 カトリック・あい)

 東京教区の司祭、信徒を招いての新年会が13日、東京・関口の聖マリア大聖堂の地下ホールで開かれ、菊地功・大司教から以下の新年挨拶があった。(文責「カトリック・あい」南條俊二)

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フォト あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 昨年は11月の教皇フランシスコのご訪問があり、その準備に沢山の時間をかけたことで、他の仕事に手が回らず、ようやく新年を迎えて、これまでやろうとしていたことに取り組めるようになりつつある、ということです。どうかご理解ください。

*教皇の言葉を具体的に生かしていきたい

 そこで、新しい年を迎えて、これからのことですが、まず、教皇さまがご訪日の際に残していかれた言葉-訪日のテーマとなった「命を守る」はどういうことなのか、を様々な角度から語られた言葉-を、そのままにせず、実際に日本でどのように生かしていけばいいのか、教会としてどのような役割を果たしていくべきか、について考え、行動に移していきたい、と思います。

*9月を「環境問題に関する月間」に

 核兵器の問題、環境問題…命を守るために、様々な、あらゆる問題が関係し、複雑に絡み合っている。だから、一つの問題だけでなく、総合的、全体的に取り組んでいく必要があります。今回の教皇訪日を受けて、日本の教会として、「命を守る」ために、何を、どのようにできるのか。それを、司教団の中でも今、話し合っており、具体的には、まず、9月を「環境問題に関する月間」(仮称)にしたらどうか、というアイデアが出ています。

*東日本大震災、原発事故の被災者支援を継続

 東日本大震災、原発事故の被災者支援、復興支援を日本の教会として続けていますが、発生から10年になる2021年3月までは、日本の教会としての取り組みを継続することになっています。それ以降も、少なくとも東京教会管区(横浜、東京、さいたま、新潟、仙台、札幌の6つの司教区)としては支援活動を続けていきたい、と考えています。

*様々な言葉、文化をもつ若者たちのネットワーク

 それから、若者たちへのサポートを充実させたい、と考えています。教皇来日中の青年たちとの集いでも強く感じましたが、様々な人種の人たちが多様性に溢れた社会を作るようになっている。ですが、言葉や文化によってグループ分けされてしまってもいます。様々な背景を持つ若者たちを、教会を中心につなげていく、ネットワークをつくっていくことが必要です。

*東京教区の宣教司牧方針は二段階で年末までにまとめたい

 長期的な課題として、東京教区の宣教司牧方針の策定があります。教区の皆さんにご意見、ご提案をお願いし、約70件集まりました。それを、4人ほどの小委員会で読み込み、文書にまとめつつあります。訪日準備などで作業が遅れましたが、1月中には、印刷物にして発表できると思います。
その後、さらにご意見をいただくなど詰めを行い、宣教司牧方針の方向性について、夏までにはお示しできるようにしたい。さらに、全体的な方針と共に具体的な内容に踏み込んだ宣教司牧方針を、小教区の声を聴き、現場の方々の意見を聴くなどフィードバックを重ね、今年末までにはまとめていきたい、と考えています。

*司祭不足-「終身助祭」や「信徒のリーダー」の育成などが

 それと、申し上げておきたいのは、司祭の不足にどう対応するか、という問題です。東京教区の司祭は、高齢の方、病気の方などを除くと、実働は50名ほどで、一部では複数教会を兼務していただくなどしていますが、それでも、3つの教会で常駐司祭がいない、という状態です。一方で、神学生は4人、司祭になるまでには順調に言って7年半かかり、今後、さらに兼務の教会が増えることになりそうです。
私としては、信徒がほとんどいなくなったり、財政的に立ち行かなくなり、信徒から強い希望がある場合を除いて、毎日曜のミサが難しくなったとしても、小教区共同体を閉鎖、統合することは考えていません。司祭不足への対応としては、二つのことが考えられます。
一つは、終身助祭を育成すること。司祭ではないので、ミサを捧げたり、告解を聴くことはできませんが、その他のことは可能です。終身助祭は沖縄教区などでは、かなりの人数が活躍しているので、そうした経験をお聞きすることもできるでしょう。
もう一つは、信徒の方々の中から、リーダーを養成し、司祭がいない場合の日曜の集会などを担当していただくことも考えられます。
これらの可能性について、他教区の現状などからも学びつつ、結論を出していきたい、と考えています。

*祈りの充実-典礼委員会の発足

 最後に、「祈り」の充実です。前教皇のベネディクト16世が、教会には宣教、祈り、愛の奉仕の三つが無ければならない、と言われていましたが、祈りはとても重要です。これを私たちの教会としてどのように考え、典礼をどのようにしていけばいいのか。今は教区に「典礼委員会」がないので、典礼委員会を発足させ、今年中にも方向性をまとめていきたい、と思っています。

 以上、東京教区としての今年の抱負、方向について多々申し上げましたが、かねてから申し上げている「多様性の中の一致」のもとに、着実な歩みを進めていくため、皆様のお祈りとご協力をお願いいたします。

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2020年1月14日