・中国政府系ハッカーが香港のカトリック教会関係者にサイバー攻撃？

　それによると、この中国政府系のハッカーは、中国政府・共産党が香港の統制を一段と強め始めた5月以前に、こうした圧力に抗議する香港の人々に精神的な支援を送る教会の指導者や聖職者を対象に、スピア・フィッシング（特定の組織や人物を狙って偽のEメール を送信し、個人情報を収集する標的型サイバー攻撃)を行なっていた。スピア・フィッシングは、”Arkbird”という企業に成りすまして行われたが、悪質なコンピューター・ウイルスの分析専門家によって、今週になって解明されたという。

　手口は、まず見かけは正常なファイルがMicrosoft Word や Adobe Readerで開けるようにして送られてくる。そして、バチカンや世界、アジアのカトリック教会の情報サイトを閲覧する過程で、ダイナミック・リンク・ライブラリ（DLL）サイド・ローディングという手法を使って、閲覧者が気が付かないうちに、悪意のあるファイルを読み込むようにしてしまう。これを使って、ハッカー側が閲覧者の意図と関係ない操作や、情報の抜き取りなどが可能になる、という。

　専門家によると、この手法は、中国の政府系ハッカー集団がとる常套手段だといい、こうした形のサイバー攻撃は、昨年に香港の民主勢力の抗議活動が盛んになり始めて以来、中国政府系のハッカー集団が香港を集中的になされている、と関係者の間で伝えられていたが、それを確認するものだ。

　だが、この問題について、香港のカトリック教会の代表者やバチカンは、サイバー攻撃の有無も含めて質問への回答をしていない。