・中国政府・共産党がカトリックの未成年のあらゆる宗教活動を禁止(BW)

 中国共産党は、教会の敷地での幼児保育、日曜学校、聖職者候補の育成など、未成年者を対象としたあらゆる宗教関連の活動を禁止、”違反者”の取り締まりを進めている。

 2018年2月に新しい「宗教問題に関する規制」が施行して以来、共産党は、「教育から宗教を分離する」という名のもと、中国全土にわたって「子どもたちを信仰と接触させない」こととし、無神論の共産党の従順な信奉者として育てことを確実にするやり方を実行している。In May 2019, a Catholic church Sunday school in Fujian Province’s Pingtan county was forced to close.

(写真は、2019年5月、福建省平潭県のあるカトリック教会の日曜学校は閉鎖を余儀なくされた)

*幼稚園は教会の所有地からの移動を命じられた

 山西省北部の主要都市、太原市の宗教局と教育局は2019年3月、政府・共産党に服従する「中国愛国天主協会」(CPCA)に加盟するカトリック教会敷地内から退去するよう、2つの幼稚園に通告。「園児を含む未成年者を礼拝場所への立ち入らせるなど教育機関が宗教に関係することを禁じる国家政策に違反していることから、教会の敷地内に残ることはできない」と言い渡した。

 幼稚園のある教員は「政府は、幼稚園を寺院や教会の近くに置くことを認めない。現在ある施設が退去を拒むと、宗教局の職員が私たちを毎日、監視し、新しい園児を受け入れることもできないのです」とBitterWinterに語った。「政府・共産党に従属を誓った教会の施設からも、幼稚園などを締め出すことで、『子供たちが宗教にさらされる機会の排除』と考えているのです… これまでの施設整備などへの投資は補償されず、移転先でも、新規に入園する園児が減っており、経済的にも大きな打撃を受けています」と窮状を訴えた。

*未成年は神学校で学ぶことも禁止

 「当局者が取り調べに来るたびに、私たちは隠れなければなりません。何度もそういう経験してきました」と、河北省北部にある非公認神学校に学ぶ16歳の神学生。神学校は、政府・共産党公認の中国愛国天主協会に属する教会によって設立されたが、未成年者を訓練に参加させることは、まだ許可されておらず、地方自治体は神学校を継続的に監視し、そこに未成年者が学んでいないか確認している。

 神学生は過去を振り返った。「当局が検査に来た、との知らせを受けると、私たちは急いで衣服や他の持ち物をまとめ、別の教会に逃げねばなりませんでした… 一刻も早く逃げるために、多くのものを持ち出せなかった。新しい場所では、冷暖房のない部屋に住んでいました。到着してから5日目に、宗教局の職員に発見され、50人以上の若い神学生と一緒に逃げました。大変な逃避行となり、足に水ぶくれがありました」。

 「若い神学生は”逃亡者”としての生活を続けています。いつでも脱出する準備ができています。この生き方は、ゲリラ戦に従事しているように感じられる」と指導司祭は説明した。

 ある神学生は「中国共産党は『中国には宗教の自由がある』と世界に宣伝していますが、実際には、その自由はまったくないのです」と訴えた。彼はこのような迫害を「自分の信仰に対する試練」と受け止め、司祭になることを諦めようとはしていない。

 

*日曜学校と青少年クラブを閉鎖

 7月、河北省の邢台市にある「中国愛国天主協会」が青少年クラブを開設したが、開設当日に当局によって閉鎖された。翌日、クラブは別の会場に移ったが、教会の司祭はたちまち、市の宗教局、公安局、地方自治体から脅迫を受け、ただちにクラブを解散するよう通告された。そして、公安が会場に急襲し、その場にいた全員の写真を撮った。さらに、当局は担当司祭を糾弾したうえ、「思想教育」に送り出した。

 同じ7月、河北省の淶水県保定市の政府公認のカトリック教会では、信徒からの要請に応じて、夏休み中の子供たちの為の聖書勉強会を開いたが、14日間の講習期間が終わる前に、当局に摘発され、解散させられた。

 河北省西安郡と保定市にある政府公認の教会の信徒は、BitterWinterの取材に対して、「地方政府からの命令で子供向けの日曜クラスがいくつも閉鎖された」と説明している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日7言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

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2020年1月12日