・中国外務省報道官は「『香港』で教皇に圧力」を否定したが…(Crux)

(2020.7.10 Crux Senior Correpondent  Elise Ann Allen)

China denies it pressured pope to refrain from Hong Kong appeal

A file photo of Chinese Foreign Ministry Spokesman Zhao Lijian. (Credit: AP photo.)

 ROME –教皇フランシスコの5日正午の祈りの説教で、予定原稿にあった「香港問題」に言及した箇所を省かれたことが様々な憶測を呼び、「中国政府・共産党の圧力があった」との見方も出ている。これに対し、中国外務省の趙立堅・報道官は9日の在北京の各国記者との定例会見で、そうした見方を否定した。

 報道官は「私は状況を認識していないが、香港のことを本当に気にかけている人々がその発展に有益な方法で行動することを希望し、信じている」としたうえ、「中国は、バチカンとの建設的な対話、そして二国間関係の改善に取り組んでいる」と強調した。

*教皇の正午の祈りの原稿から消えた「香港問題」

 教皇フランシスコは5日日曜日の正午の祈りの説教に際し、事前に記者団に配布された予定原稿では「信教の自由と人権などに関して香港で現在起きている状況」ついてかなりの分量が当てられていたが、実際の説教では、その箇所がそっくり省かれていた。

 これに関し、観測筋の中には、教皇が中国政府・共産党の意向に配慮したため、との批判的な見方が出る一方、微妙な外交問題に優れた対応を示した、と評価する見方などが出ていた。

 中国とバチカンは2018年9月に、中国国内の司教任命について暫定合意したが、いまだにその内容が公開されないまま、9月の合意期限を前に、再交渉が進められている。教皇が「香港問題」への言及を避けたのは、交渉への影響への配慮もあった可能性がある。

*香港市民の信教の自由、人権弾圧へ、ボー枢機卿の懸念表明

 中国政府・共産党は6月30日付けで香港に対し、国家安全維持法を施行、中国という国家への反逆、離反、転覆、外国の干渉およびテロ行為を禁止し、違反者は最高で無期懲役に処するとし、徹底的な取り締まりを開始している。これに対して、アジア・カトリック司教協議会連盟のボー枢機卿(ヤンゴン大司教)は、信教の自由、人権への影響を強く懸念する緊急声明を出して、過度な動きをけん制しようと努めている。

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2020年7月11日