・中国共産党がカトリックの良心による拒否者に対する圧力を強化(BW)

    中国・福建省の閩東教区の郭希錦(グオ・シジン)補佐司教が、再び共産党に管理統制に服する「中国天主愛国協会」(以下「協会」と略す)への加入を強いられている。反抗したカトリック地下教会の礼拝所は閉鎖されている。

 6月にバチカンが発表した中国におけるカトリック教会のガイドラインには 「『中国天主愛国協会』 への加入を拒む司祭および司教の判断を尊重する」とされていた。だが、中国共産党 は良心による拒否者に対する恫喝、嫌がらせ、脅迫、投獄を続行し、管理下にない教会を強制的に閉鎖している。

*郭希錦司教が再び脅迫される

 中国南東部、福建省閩東教区の郭希錦・補佐司教は、当局が文章の修正に同意したのを受けて愛国協会の加入申請書に署名したが、その後撤回した。以来、中国で宗教活動を規制する共産党と地方政府による迫害の標的になっている。6月29日、政府は郭司教と教区内で申請書に署名していない司祭全員を監視する担当者を配属した。郭補佐司教は協会への加入を繰り返し強いられ、「従わなければ、違法司教とみなして処罰する」と言われ続けた。閩東教区の補佐司教である郭希錦氏。(写真 UCAnews)

閩東教区の郭希錦・補佐司教(写真 UCAnews)

 9月6日、地元の 中国共産党統一戦線工作部 は再び郭希錦司教を呼び出し、協会への加入を改めて求め、「拒否した場合、補佐司教の故郷である福建省福安  轄の西穏  にある十字架の道行きの14場面とイエスの聖心像を撤去する」と通告したという。同じ頃、同村のカトリック教会の司祭も、協会に加入するよう圧力をかけられた。だが、補佐司教も司祭も圧力に屈しなかった。

 Bitter Winterは閩東教区のある司祭に話を聞いた。当局は、郭補佐司教の影響力を利用して、さらに大勢のカトリック教徒を協会に加盟させようとし、補佐司教に自宅のある寧徳市への異動を持ちかけたが、拒否された。補佐司教の反抗に激高した当局は、さらに躍起になって彼を協会に強制加入させようとしているという。

 何度も恫喝や嫌がらせを受けているのは司教や聖職者たちだけではない。当局は一般のカトリック教徒にも圧力をかけている。

 寧徳市のある教会員がBitter Winterに話したところによると、当局の管理下に入っていない教会の司祭が病気にかかった際、中国共産党はその機をとらえて協会所属の司祭と交代させたという。会衆は抵抗し、この司祭が取り仕切るミサには出席しなかった。

 教会の信徒たち抵抗に、当局はすぐに弾圧を開始、教会の管理者に圧力をかけ、会衆が街の外のミサに出席できないよう規制した。

*中国天主教愛国会加入を拒否したために宗教施設が閉鎖される

 一方、8月4日、福建省の省都・福州市の福州教区で、10年以上活動を続けてきた教会が、協会加入を拒んだために閉鎖された。政府が出した表向きの理由は火災予防規制の違反だった。

福州市倉山区のカトリック教会に信者が集まることを禁じる政府公布の通知。福州市倉山区のカトリック教会に信者が集まることを禁じる通知

 7月下旬には、中国北東部の黒龍江省大慶市 の教会が「無認可」を理由に閉鎖された。

 内モンゴル 自治区 オロチョン自治  の大楊樹鎮の教会は昨年末に閉鎖され、礼拝の場を失ったおよそ100人の教会員たちは8月15日、聖母の被昇天の祝日を野外で祝った。

 4月初旬、中国南東部、江西省鄱陽県の饒州市 街道 事務所から30人を超える職員がある カトリック地下教会 に捜査に入り、教会が無認可の「私設集会所」であるとして閉鎖を命じた。だが、それは取り締まりの本当の理由ではないかもしれない。集会所の責任者の女性がBitter Winterに語っところによると、教会を閉鎖する際、当局は「国家が管理していない教会の会員であることはローマ教皇への忠誠を意味する」と彼女に告げた、という。

 昨年9月のバチカン・中国暫定合意 によれば、中国共産党の合意のもとで司教を選ぶとしても、中国のカトリック教会の司教を正式に任命する最高の権利が教皇にあることは協会も認めなければならない、と解釈できる。

 しかも、閉鎖を命じた職員は、「外国人の神を信じることは禁じられている。信じるなら『中国化 した』カトリック教を信じなさい」「集会を開いてはならない。3人を上回れば、全員逮捕だ」と言ったという。

鄱陽県の饒州市街道にあるカトリック教集会所の閉鎖通知。鄱陽県の饒州市街道にあるカトリック教集会所の閉鎖通知。

「中国共産党は支配できない教会をすべて排除しようとしています」。饒州市の高齢のカトリック教徒は言った。「習近平 主席にできないことはありません。憲法さえも変えてしまいました。現在、教難に直面していて、文化大革命 の頃に戻ったかのようです」。

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2019年10月15日