・中国で「暫定合意」後初の司教選出ー合意前に教皇が認めた人事の追認?(ucanews)

China holds first bishop elections since Vatican deal

Father Stephen Xu Hongwei, 44, was elected as coadjutor bishop of Hanzhong on April 11. (ucanews.com photo)

(2019.4.12 カトリック・あい)

 中国で昨年9月のバチカンとの司教任命に関する暫定合意以来、初めてのカトリック司教選挙が行われた。アジア地域のカトリック系有力ニュース・メディアucanews.com が12日付け香港発で伝えたもので、それによると、陝西省の漢中教区で補佐司教、内モンゴル自治区の済寧教区で司教がそれぞれ選出された。

 ただし、今回の場合は、今回選出された2人が司教になることを、暫定合意以前に、教皇が認めており、候補者が1人だけだったこともあって、関係者の間には「単なる形だけのもの」との見方がある。

 漢中教区では11日にステファン・徐宏偉神父(44)が補佐司教に選出された。投票には教区長の司教を含む教区の司祭の大半が参加したが、1人の司祭は教区外にいて投票に参加せず、2人は政府当局に投票を止められた、という。

 現地の信徒の1人はucanews.comの取材に応じ、「当局は事前に投票者に対して『候補者は独りだけだ。徐神父に投票せねばならない。さもなければ、教区での宣教活動は禁止される』と関係者に通告してきた」と語り、投票所には100人の警官と政府職員がいた、といい、「この選挙には圧力がかけられていました。当局がおぜん立てをし、聖職者たちを投票所のあるホテルまで付き添い、投票が終わるまで厳重に監視」していた。

 この選挙の実施に当たっては、西安教区長のAnthony Dang Mingyan 司教が実行委員長を務め、政府公認の中国天主愛国協会(CCPA)と中国カトリック司教協議会の報道官である Yang Yuも参加した。別の現地の信徒はucanews.comに、徐神父は昨年9月の暫定合意前に教皇から補佐司教に任命されており、今回の選挙は形式的なものだった、と説明した。

 徐・補佐司教はローマで神学の修士号を取得、カナダで司祭として活動した経歴を持つ。漢中教区には9000人のカトリック信徒がおり、聖職者は司教1人、司祭24人、修道女が8人いる。

 また、済寧教区で9日に 司教に選ばれたのは 、司教総代理のAnthony Yao Shun神父。現地教会関係者によると、選挙に当たっての候補者はこちらも1人で、実行委員長は内モンゴル自治区のフフホト教区長でCCPA副会長の Paul Meng Qinglu司教が務めた。関係者がucanews.comに語ったところによると、投票はホテルの会議場で教会関係者のみによって行われ、宗教活動の監視・監督にあたる中国共産党統一戦線工作部の部員は結果が出るまで外に待機していた、という。

 同教区の教区長の ポストは、Liu Shigong司教が2017年に90歳で亡くなった後、空席となっており、7万人の信徒、31人の司祭、12人の修道女を擁する教区には早期の教区長千人が求められていた。 Yao 神父は50歳台、米国で典礼学で修士号を取得、関係者によると、やはり暫定合意よりも何年か前に教皇から任命を受けていた、という。

 CCPA副会長のMeng司教は、先の暫定合意で、司教の選任に当たっては、中国の教会が候補者をバチカンに提案し、バチカンはこれを受けて一か月の検討をしたうえで、承認する、という形をとることになった、と報道陣に説明したが、現地教会関係者はucanews.comに、多くの司教候補はすでにバチカンの承認を得ており、選挙は無意味だ、このような手続きは暫定合意以前から存在している、と反論している。

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2019年4月15日