・世界の聖母巡礼地めぐる「ロザリオの祈り」21日午後6時から浦上教会・被爆のマリア像前で

(2021.5.20 バチカン放送)

 教皇フランシスコの呼びかけを受け、世界の聖母巡礼地をめぐる「ロザリオの祈り」が連日各国で行われているが、21日午後6時から、長崎・浦上教会の被爆マリア小聖堂で捧げられる。

 聖母に捧げられた5月に、教皇はこの世界の聖母巡礼地をめぐる「ロザリオの祈り」を通して、新型コロナウイルスの世界的感染の終息を共に祈ることを希望され、加えて、巡礼地ごとに個別の祈りもされている。バチカン広報によれば、浦上教会の個別の意向は「世界の全てのソーシャル・ワーカーの為に」となっている。

 これまですでに、ナザレや、ファティマ、ルルドなど、世界の著名な巡礼地で祈りが行われてきたが、21日は長崎・浦上教会の被爆マリア小聖堂でされる。午後6時から長崎教区のYouTube上のチャンネルで、動画中継され、さらに、Vatican News のサイトで、イタリア時間21日午後6時(日本時間22日午前1時)から世界に配信される予定だ。

 

(左は被爆マリア像、中は被爆前の姿を復元した像、右は、被爆マリア小聖堂の祭壇)の・・・・・・・・・・・・・・・・

【被爆マリアとは】

 1914年、東洋一といわれた浦上うらかみ教会が完成したとき、正面祭壇の最上段にはイタリアから送られてきた高さ2mの木製のマリア像があった。ムリーリョの傑作「無原罪のお宿り」の絵画(マドリッドのプラド美術館に現存)をモデルに制作されたと伝えられ、両眼には青いガラス玉、水色の衣をまとい、頭の周りを12の星が取り巻く美しい像であった。

 しかし、浦上教会は原爆により壊滅。マリア像も教会とともに焼失したと思われていたが、戦後、焼け跡をたずねた浦上出身の神父によってマリア像の頭の部分だけが発見された。その後、発見した神父がマリア像を大切に保管していたが、被爆30周年の年に、キリシタン研究家である片岡弥吉かたおかやきち氏の手を通じて浦上教会に返された。

 現在、マリア像は、浦上天主堂の一角につくられた小聖堂に静かに安置されている。祭壇に描かれた「平和」の文字は、浦上キリシタンが迫害時に縛られて見せしめにされた柿の木の根っこを使用して書いたものである。

 傷ついたマリア像は、身をもって戦争の恐ろしさ、原爆の脅威を訴え続けている。平和の使者として1985年にバチカンで展示されたほか、2000年には旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の被害地で、2010年被爆65年ではバチカン、スペイン両国で展示された。

(「おらしょ心旅」http://oratio.jp/p_column/mariazo-sukinaunmei より)

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2021年5月20日