・ミャンマーの司教団、政府と武装勢力に、コロナ禍でも続く”内戦”の終結を訴え

 

People in Myanmar's Rakhine State fleeing fighting between the military and the Arakan Army.ミャンマーのラカイン州にも”内戦”で家を追われた国内難民が…  (AFP or licensors)

  (2020.6.30 Vatican News Robin Gomes)

 ミャンマーのカトリック司教協議会(CBCM)が29日、声明を発表し、新型コロナウイルスの世界的大感染の中でも、止まることなく続いている”内戦”の早期終結のため、交渉のテーブルに就くよう、ミャンマー政府と武装勢力の双方に強く訴えた。

 ミャンマーの”内戦”については、教皇フランシスコや国連のグチエレス事務総長がかねてから、政府と武装勢力に対し、紛争終結へ交渉を始めるよう求めているが、進展がない。

 29日の声明は、バングラディシュなど国外に脱出を余儀なくされた数百万とも言われる難民以外に、長期の紛争で故郷を追われ国内難民となった人たちが25万人近くに達し、彼らの故郷、カチン、シャン、カイン、ラカイン州でなお戦いが止まないことに、深い憂慮を表明した。

 ラカイン州では、州政府がラテダウン地区の住民たちに、反政府武装勢力に対する軍の軍事行動が計画されているので、同地区から離れるよう警告したのを受けて、40以上の村から避難を余儀なくされる人々が続いている、という。

 声明で、「避難を余儀なくされ、国内難民キャンプに身を寄せている人たちは、最も弱い立場に置かれており、彼らの権利は守られなければなりません」とし、「彼らから土地を奪ってはならず、不正に没収した資産は、正当な所有者に返す必要がある」と訴えた。

 そして、ラカイン州は特に酷い状況に置かれており、「何千人もの罪もない住民と国内難民が、ただでさえ、飢餓のリスクにさらされてきた」が、降雨と新型コロナウイルスの大感染が、さらに事態を悪化させている、とし、「彼らへの人道支援が、現在、最優先してすべき仕事」であり、ミャンマー政府と軍は、国民の権利を守る責任を自覚し、”内戦”飲早期終結とともに、彼らの救済に全力を尽くすよう、強く求めた。

 ミャンマーには素晴らしい自然と人的資源があり、戦いではなく、それらを育てるために投資が行われれば、「東南アジアで最も豊かな国の一つになれる、と信じている」と未来への期待も示しつつ、「ミャンマーはこれまで60年に及ぶ内戦を経験しているが、その勝者はいません」と指摘。罪のない人々に対する殺戮と強制退去が続く一方で、「若者の世代は欲求不満の中で、力を失い… 内戦はわが国の”不治の病”のようになっている。絶対に止めねばなりません」と強調した。

 具体的には、武装勢力に対し、政府との交渉のテーブルに戻るように求める一方、政府と軍に対して、”軍事的解決”を目指すのを控えるよう訴え、「紛争の原因を除くような政治的対応策を見つけ、平和的手段を通じて望ましい解決を目指すことで、人々に新たな希望を与える必要がある」とし、「新型コロナウイルス感染という、共通の脅威が、皆がともに平和に共存することを求めている… 平和は”解毒剤”です」と述べ、「和平の実現は可能です。それが私たちがとるべき唯一の道です」と訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2020年7月1日