・タグレ、ボー両枢機卿がバングラデシュのロヒンギア難民キャンプ訪問

Cardinals of Yangon and Manila visit refugees in Bangladesh

Cardinal Charles Maung Bo of Yangon talks to a Rohingya refugee family at Kutupalong refugee camp of Bangladesh during his first visit on July 29. (Photo courtesy of Caritas Bangladesh)

(2019.7.31 VaticanNews  Robin Gomes)

 カリタス・インターナショナル代表のルイス・アントニオ・タグレ(フィリピン)とアジア司教協議会連盟会長のチャールズ・ボー(ミャンマー)両枢機卿がこのほど2日間にわたって、バングラデシュ南東部・コッスクバザールにあるロヒンギア難民の収容施設などを訪問した。タグレ枢機卿の現地訪問は昨年12月に続き二度目、ボー枢機卿は初。

 前日に、二人はバングラデシュの難民救済・帰還支援委員会のムハマド・アブル・カラム委員長と面談した。同委員会は、コックス・バザールにある約30の難民収容施設で生活している100万人以上のロヒンギア難民を監督する主要政府機関だ。

 両枢機卿は、バングラデシュ司教協議会会長のパトリック・ドロザリノ枢機卿と同司教協議会事務総長のモーゼス・コスタ大司教らとともに、現地を訪問した。

 大部分がイスラム教徒のロヒンギアの人々は、ほとんどがバングラデシュと国境を接するミャンマー西部のラカイン州に何世代にもわたって住んでいたが、仏教徒が多数を占めるミャンマー政府は彼らを「バングラデシュからの不法移民」とし、軍事政権下の1982年に施行した国籍法にもとずいて彼らに市民権を与えず、国籍も、移動の自由を含む基本的人権も認めていない。

 そうしたロヒンギアの人々は、2016,2017両年にわたってミャンマー軍部から二度の武力弾圧を受け、隣国バングラデシュに逃げ込んできた。現在、バングラデシュ国内には難民が110万人を超えている。

 アブル・カラム委員長は、枢機卿たちの来訪を歓迎し、現在の「危機の全貌」を説明した。「私は皆さんに、直面する大きな問題について伝えるとともに、カリタスが難民たちのためにされている数々の活動に感謝を申し上げました」とカトリック系ニュース・メディアの UCANEWSに語った。「そして、カトリック教会の支援を続けて下さるように強くお願いしました。司教様たちは難民たちの様々な問題、とくにモンスーンの季節に高まる環境悪化、健康や生活環境の問題に対処する良いお考えを持っている、と信じています」。

 司教たちは今回の訪問で、バングラデシュ最大、40万人以上を収容しているクツパロン地区の二つの施設で何組かの難民家族から話を聴いた。現地で活動するカリタスのスタッフやボランティアの人々にも会い、モデル・シェルターや調理用のガス・ボンベの配布などの活動を視察した。

 司教たちの現地訪問と時を同じくして、ミャンマー政府の代表団が現地の難民のリーダーたちと協議するためにが来ていたが、政府側の帰国の呼びかけに対して、難民側は「自分たちが市民権のある少数民族と認められなければ、そして、正義と国際的な保護、もともと住んでいた村と地所に帰ることが保証されなけれれば、受け入れることはできない」と答えた。

 今回の現地訪問を企画・準備したカリタス・チッタゴン事務所のジェームス・ゴメス所長は UCANEWSに対して、今回の訪問はカリタス・インターナショナルとアジア司教協議会連盟の純粋に”人道的見地”からの訪問であり、”外交的”性格のものではない、と強調。昨年12月のタグレ枢機卿の訪問は収容施設でのカリタスの活動に限定されたものであり、今回も政府関係者に事前に説明しており、他の援助機関の活動視察と同じものだ、と説明した。

 また、今回が初めての現地訪問となったボー枢機卿は、難民の家族たちと”彼らの言葉”で話をし、大いに励まされた、という。教皇フランシスコも2017年1月にバングラデシュの首都ダッカで行われた平和のための宗教間会議の機会にミャンマー、バングラデシュ両国を訪れ、ロヒンギア難民の代表たちと会われている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

 

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2019年8月2日