・コロナ禍でもラオスの貧しい若い女性が国境を越え、中国に売られている

(2021.5.29 カトリック・あい)

    新型コロナウイルスの世界的な大感染が続き、多くの国で国境が事実上の閉鎖状態となっているにもかかわらず、東南アジアの少数民族の若い女性たちが国境を超えた人身売買の被害に遭う例は、むしろ増えている。

 バンコクに拠点を置くカトリック系の有力メディアUCanewsが26日付けで報じた、現地の人権団体などの調べによると、人口700万の貧しい共産主義国であるラオスで若い十代や未婚の女性が”高給”を餌に拉致され、中国に売られて、現地の男性と結婚させられたり、売春を強要されたりする事件が頻発している。→https://www.ucanews.com/news/lao-women-trafficked-into-china-under-false-pretenses/92609

 ごく最近でも、ラオスの農村地帯に住む20歳の女性が、首都のビエンチャンに出掛けたまま、2か月たっても帰宅せず、心配した家族が地元警察に相談した。警察が、家族から聞いた女性の携帯電話の信号を追跡したところ、ラオス国外からの発信されたことが分かった。

 現地メディアの取材に対して、母親は「娘は、ビエンチャンに出掛けた後、電話をよこして、『中国人の男性と結婚した女の人と会った。彼女は、中国で高い給料をもらって仕事をしているそうだ』と言っていました。だまされて中国に連れて行かれたに違いありません」と嘆いている。

 地元当局によると、今年に入ってからこれまで判明しただけで、15歳から30歳の女性約12人が中国に人身売買されている。特にリスクにさらされているのは、農村部の経済的に恵まれない少数民族の若い女性だという。担当者は、「昨年、モン族の少女 2 人が私たちの地区から中国に人身売買されたが、帰国した本人に事情聴取した結果、人身売買の犠牲者であると判断した。毎年、ラオスから多くの 10 代の少女や若い女性が『高給がとれる仕事がある』という甘言に誘われて人身売買の被害に遭っている」と語った。

 今年2月には、中国の警察当局が、国境を越えて人身売買され、”花嫁”として売られたが、逃亡して警察に助けを求めたラオス人女性3人を送還したことがあった。だが、大半の女性たちは、この3人ほど幸運に恵まれず、そのまま中国に置いておかれてしまう、とUCanewsは伝えている。

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2021年5月29日