・インドでカトリック司教が不適切行為で訴えられる、司祭たちが教皇に解任を要請(Crux)

(2,019.12.3 Crux  Contributer Nirmala Carvalho)

 ムンバイ(インド)発-堕落し、子供を作り、さらに性的嫌がらせを受けた被害者を脅迫した、として司祭たちが教皇に解任を求めているインド南西部マイスル教区長のカンニカダス・ウイリアム・アントニー司教(54)。現地の警察当局は11月29日、この司教についての最初の訴えを受理した。

 この司教は、誘拐、脅迫、そして「女性の慎み深さを侮辱」した、として訴えられているが、まだ正式に告訴されておらず、逮捕もされていない。司教については、市民グループ「カトリック教会を案じる会」のロバート・ロサリオ氏が11月5日に告訴状を提出している。

 これ以前、今年3月に、同司教が、別の司祭を性的嫌がらせで訴えた女性を脅迫したとする女性のビデオが表に出ていた。このビデオで、教区で前に働いていたこの女性は「レスリー・モラス神父から嫌がらせをされ、その後、その不適切な行為を訴えようとした際、司教から脅しを受けた」と訴えている。

 「ある日の夕方、私は作業報告をする、という名目で、オフィスに呼ばれました。彼(レスリー・モラス)は私に好色な視線を投げかけ、露骨に性的行為をしようと近づいて来て、こう言ったのです。『お前が僕の言うことを聞いたら、いい仕事を世話してやろう』と。私は、昨年5月に、教区の仕事を辞めようと思いました」。

 そして、昨年7月、「司教から脅迫的な電話を受けた後、ある男たちが私の新しい職場に来て、私を車に連れて行き、私の携帯電話に入っていたデータを消し去り、『金をやる』と言いました」。

 彼女自身は司教について警察に訴えることはしなかったが、先の市民グループは問題を取り上げることを選んだ。先月12日、警察は被害者の女性から事情を聴き、彼女はこのビデオを基にした文書を提出した。警察の広報担当者は、被害者が治安判事の前で宣誓した段階で、司教に対する聴取を始める、と説明している。

 警察が司教を庇いたてしていることが表面化する一方で、当局は、告訴状の受理が遅れているのは、声明を作成するのに十分な時間を被害者に与えているためで、彼女に圧力をかけているわけではない、と述べた。

 インドのテレビ・ニュース番組「TheNewsMinute」に登場した市民グループのロバート・ロサリオ氏は「警察の担当者たちは、強力な人物に対して挑むようなことはしたくないのです」と批判。「ですから、私たちは、警察署長に何度が手紙を書いて、圧力をかけねばなりませんでした」と説明した。ロサリオ氏は、現地の司法制度をよく知っている。というのは、彼自身が昨年の議会選挙の際、「憎しみを拡散した」として訴えられた経験があるからだ。

 ウイリアム司教は11月29日、自分に対する訴えを否定し、「誰が苦情を言っているのですか?被害者の女性自身が訴えるべきで、そうでなければ無効です」と語った。だが、彼は声明に対する意見を聞こうと何度も尋ねようとしたが、応答することは無く、今月初めの記者会見で、自分に対する訴えの内容を否定した。

 司教に対する苦情は、マイソール教区のいくつかの教会の37人の司祭が、彼の解任を求める手紙を教皇あてに送った後に表面化した。それによると、司教は土地を収奪し、汚職に手を染め、カトリックの司祭に禁じられている子供を作った。そして、「司教は、犯罪歴のある政治家、腐敗した警察官、腐敗した官僚と強いつながりを持っている。アンダーワールドと関係を持っていることは極めて問題だ」と訴えている。

 さらに「この司教が着任した時、教区の暗黒時代が始まりました。不道徳で、堕落し、俗物的、唯物主義者、悪評、尊敬されない、独裁者を得たことを、悲しく、残念に思います」と強い嘆きを示した。

 だが、司教は無実を主張し、「申し立てには真実がなく、2年半かかって私が実施した管理体制の改革に不満を持つ連中が背後にいる」と反論している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年12月3日