・「困難の中にある今こそ、希望の光を掲げよう」菊地・東京大司教が復活祭メッセージ

(2020.4.11 カトリック・あい)

 復活徹夜祭のミサを終えた11日夜、菊地・東京大司教が以下のメッセージを教区信徒に向けて出された。全文以下の通り。

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カトリック東京教区の皆さまへ

皆さま、主イエスの御復活のお喜びを申し上げます。

 残念なことに、2020年の復活祭に、私たちは教会に集まって祈りを捧げることができなくなってしまいました。復活祭は例年、春の始まりと重なることが多く、新しく洗礼を受けられた方々と一緒に、教会共同体の新たな出発を心から祝う喜びに満ちたお祝いの日でありました。残念ながら、政府による緊急事態宣言が解除されるまでは、公開のミサを再開したり、教会で諸行事を行うことは難しいと言わざるを得ません。

 復活祭に予定されていた洗礼式を取りやめることになったり、5月末に予定されていた教区合同堅信式も中止とせざるを得ない状況で、その日を待ち望んでいた皆様には、大変申し訳なく思っています。

 洗礼を通じて教会に属することを願っている明らかな意思があるときに、聖霊の働きによって、洗礼志願者はすでに教会共同体の一員となっていると、教会の伝統的な教えにあることを、心にとめていただけると幸いです。洗礼式はまだですが、復活祭にあたり、準備されてきた皆様を、共同体の一員として心から歓迎申し上げます。

 今、教会共同体は、目に見えないウイルスとの戦いの直中にあって、世界の人々と共に苦しんでいます。

 現代世界のすべての人々と共に苦しんでいる教会は、世界の人々との連帯の内に、主キリストの復活が示している新しい命への希望を高く掲げ、不安と恐れの暗闇を振り払う存在として、現代世界に命を吹き込む存在でありたい、と思います。

 復活祭にあたり、私たちの存在そのものが教会であることを、思い起しましょう。洗礼を受け、新しい命へと招かれた私たちは、互いに信仰のきずなに結ばれて、キリストの体を作りあげています。信仰に日々生きている私たちの存在そのものが、教会です。

 教会である私たちは、今回の事態にあたり、一人ひとりの命を守ることを最優先とし、対応していきたいと思います。自分を守ることだけではなく、他者への配慮に満ちあふれる者でありましょう。

 とりわけ、困難な事態が長引く中で、忘れ去られて孤立する人、経済的に困窮する人、病床にある人、理解の相違から排除されたり、対立の中に巻き込まれる人など、様々な形で危険にさらされる命への配慮が、おろそかになる可能性があります。賜物である命を守りましょう。

 死に打ち勝って復活された主イエスは、新しい命の希望を、私たちに与えています。困難な状況の中にあるからこそ、私たちは孤独の鎖を打ち砕き、互いに支え合って立ち上がり、希望の光を社会の中に掲げたいと思います。

 一日も早い事態の終息を祈りながら、皆様に、復活された主の豊かな祝福があるように、お祈りいたします。

                                      カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

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2020年4月11日