・「司祭から性的暴行を受けた」と被害女性が仙台司教区など仙台地裁に訴え

(2020.9.30 カトリック・あい)カトリック仙台司教

 仙台市の女性が宮城県内の教会司祭から性的に暴行され、申告したカトリック仙台教区からも二次被害を受けたとして、9月24日、損害賠償を求める訴えを仙台地方裁判所に起こした。河北新報(本社・仙台市)などが25日付けで報じたもの。聖職者による性的暴行は世界的に教会の信用を失墜させる深刻な問題となっており、訴訟も多くなされているが、日本で、裁判に持ち込まれたのは初めてとみられる。

 同紙などによると、訴えを起こしたのは仙台市青葉区の看護師鈴木ハルミさん(67)で、仙台司教区と暴行したとされる司祭、二次被害を加えたとされる司教に対し合計5100万円の損害賠償を求めている。鈴木さんは1977年、当時、所属していた気仙沼カトリック教会の司祭に、夫の暴力について相談した際、教会の一室で乱暴されたという。

 当時、別の司祭数人に相談したが、相手にしてもらえず、罪悪感にさいなまれ、精神障害を発症するなど、長い間苦しみ続けたが、主治医の助言で被害を認識し、2016年に教区に申告した。申告を受けた教区は第三者委員会に調査を託したが、同年10月にまとめた報告書は「(性的被害が)存在した可能性が高い」としたものの、司祭の責任を問わなかったうえ、司教からは「合意の上でやった」などと言われてフラッシュバックに苦しむようになり、二次被害を受けた、としている。

 原告代理人の弁護士は、鈴木さんが被害に遭ったことを理解したとする15年ごろが起点となるため、請求権はある、としており、教区については、十分に被害調査をしていないことなどが義務違反に当たると主張している。

 河北新報によると、鈴木さんは24日の提訴後に仙台市内で記者会見し、「失った尊厳を取り戻すための裁判。同じように暗闇で息を潜めている被害者に声を届けたい」と語り、仙台教区事務局の担当者は取材に「今後、協議した上で対応していきたい」と述べている、という。

 なお、仙台教区では、2006年3月から教区長を務めていた平賀徹夫司教が、75歳の役職定年で今年3月に退任、現在、教区長が空位となっており、小松史朗師が代行の使徒座管理者を務めている。

 

 

 

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2020年9月30日