ファティマの聖母の記念日にあたる5月13日午後7時から、東京カテドラル聖マリア大聖堂において、ロザリオの祈りの夕べを行いました。
本日14日に祈りをささげるように、と教皇様が呼びかける前に、決まっておりましたので、13日に行いましたが、祈りの意向は同じです。
「新型コロナ感染症拡大のさなかにささげる祈り」として「混乱する事態の早期終息と病症にある方々の快復、及び亡くなられた方々の永遠の安息のために」、聖母の取り次ぎを求めて祈りをささげました。
全体の構成と、始めと終わりの祈願については、先日、米国の司教団が行った祈りの集いの式次第を参考にしたもので、翻訳は私訳です。
感染対策のため非公開でしたし、聖堂内での互いの距離を保つために、参加してくださったのは、いつもの配信ミサと同じ少数のシスター方です。平日の夜にもかかわらず、ネット中継のためにお手伝いくださった関口教会の信徒の方々に感謝いたします。
なお水曜日ですので「栄えの神秘」の黙想でしたが、五つの黙想の本文は、京都教区の北白川教会のホームページを参考にさせていただきました。
以下、祈りの集いの中で、ロザリオの祈りへの導入として行ったお話の原稿です。
<祈りへの招きの言葉: 2020年5月13日 ロザリオの祈りの夕べ>
5月の聖母月にあたり、特に新型コロナウイルス感染症による困難な状況に直面する中で、教皇様は、ともにロザリオを祈るように呼びかけられました。特に、外出自粛などが続く中で、多くの人がこれまで以上に家族と一緒に時間を過ごすことになっていますが、その中にあって、家族とともに祈ることの大切さを、呼びかけのメッセージでこう述べておられます。
「5月には家庭で家族一緒にロザリオの祈りを唱える伝統があります。感染症の大流行によるさまざまな制約の結果、私たちはこの『家庭で祈る』という側面がなおさら大切であることを、霊的な観点からも知ることになりました」
日本では、多くの場合、家族全員が信徒であることは少ないのが現実だと思いますが、信仰における家族として、ファティマの聖母の祝日である今日、ロザリオの祈りをともにいたしましょう。また教皇様は、明日、14日を、「祈りと断食と愛のわざの日」とされ、すべての宗教者と霊的に結ばれ、新型コロナウイルスのパンデミック収束のために人類を助けてくださるよう神に祈ることを呼びかけられました。
1965年に、特に世界平和のために聖母の取り次ぎを祈ってほしい、と呼びかけた「メンセ・マイオ」で、教皇パウロ六世はこう述べています。
「5月は、より頻繁で熱心な祈りのための力強い励ましであり、私たちの願いがよりたやすくマリアのあわれみ深い心に近づく道を見いだすときです。教会の必要が求めるときに、あるいは人類が何か重大な危機に脅かされているときにはいつでも、キリスト者に公の祈りをささげるよう勧めるためこのマリアにささげげられた月を選ぶのは、わたしの先任者たちに好まれた習慣でした」(3)
同時にパウロ六世は、ロザリオの重要な要素として「賛美と祈願」に加えて、「観想」の重要性を説いておられます。「マリアーリス・クルトゥス」には、「『観想』という要素がないなら、ロザリオは魂の抜けた体にすぎません。・・・主に最も近かったマリアの目を通して主の生涯における神秘を黙想できるように役立つべき」とも記されています。(47項)
十字架上で主イエスご自身から、「見なさい。あなたの母です」と、教会の母として民を託された聖母マリアは、ルルドやファティマでのロザリオの祈りへの招きを通して、母としての私たちへの気遣いを示そうとしておられます。ロザリオの祈りは、聖母マリアを通して主イエス・キリストへとわたしたちを導く賛美と祈願と観想の道です。神の御旨が実現するために、自分自身のすべてを神にゆだねる勇気を持つことができるように、聖母マリアに従って、主イエスへと至る道を歩み続ける祈りです。
聖母の取り次ぎを求めながら、祈りましょう。
一日も早く今般の事態が終息するように、また病床にある人たちに癒しが与えられるように、医療関係者に守りがあるように、経済の悪化で命の危機に直面する人たちに助けがあるように、政治のリーダーたちが命を守るための正しい判断をすることができるように。
そして、すべての人の上に復活の主イエスの守りと導きが豊かにあるように、神の母である聖母の取り次ぎを祈りましょう。
(注:漢字の用法は当用漢字表に従い、修正させていただきました「カトリック・あい)