軍事政権の弾圧に抗議する人々を逮捕しようとする保安隊。彼らの前に1人ひざまずくカトリック修道女の説得に、この時は応じたが・・武力弾圧は今も激しさを増すばかりだ。(2021年3月8日)
(2023.3.27 Vatican News Linda Bordoni)
ミャンマーの軍事政権は、軍の記念日にあたる27日 、首都ネピドーで大規模なパレードを行い、軍事力を内外に誇示。
国軍司令官は演説で、自分たちに抵抗する民主化勢力を「テロリスト」として弾圧を正当化し、すでに独裁政治、暴力、経済の疲弊で押しつぶされている国民に対する統制をさらに強化する姿勢を明確にした。
国軍の日は、2021年2月1日、民主選挙で発足したアウンサンスーチー政権を武力による軍事クーデターで打ち倒して以来、3度目。同国の人権団体Assistance Association for Political Prisoners(AAPP)によると、27日現在で、軍事クーデター以来、3166人が殺害され、2万0877 人が逮捕、 1万7009 人が刑務所に拘留中だ。この犠牲者の数は、民主化運動で国軍に殺害された人数で、この他に少数民族に対する攻撃で殺害された人は数千人に上るとみられる。また、国連特別報告によると、昨年だけで1万3000 人以上の子供たちが殺害された、という。
*激しさを増すキリスト教徒や少数民族に対する攻撃
軍事政権によるキリスト教徒など宗教的少数者や、少数民族に対する攻撃が続く中で、 何万もの家屋が取り壊され、 数十の教会も破壊され、少なく見ても 130 万人が避難を余儀なくされている。昨年処刑された 2 人の民主化派国会議員を含む 140 人以上が死刑を宣告されている。 国民民主連盟の指導者、アウン・サン・ スー チー氏は、33 年の禁固刑を言い渡され、信教の自由と人権を守ろうとするキリスト教徒の指導者を含む多くの人々も、非公開裁判で実刑判決を受けている。
*カトリック教会指導者たちの平和の訴えも無視されている
軍事クーデター発生からこれまで 2 年の間、カトリック教会は、教皇フランシスコ、ミャンマーのチャールズ・ ボー枢機卿はじめ司教たちが、平和と対話を求める声を繰り返し上げた来たが、国軍は聞く耳を持たない。 クーデター発生から丸二年になる今年2月1日の前夜、マンダレー教区長のマルコ ・ティン ワン、タウンジー教区長のバシリオ ・アタイ両大司教は、ボー枢機卿とともに、人命の破壊と、礼拝の施設破壊が続いていることを非難、平和を求める声明を出している。
国軍が明らかにした、あらゆる反対者を「テロリスト」とみなして厳重対処するという27日の方針は、米国政府がミャンマー軍事政権に対して新規の制裁を実施した直後に出された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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