
(2021.3.31 Vatican News Fr. Benedict Mayaki, SJ)
ミャンマーのカトリック指導者、チャールズ・ボー枢機卿(ヤンゴン大司教)が復活祭を前にメッセージを発表し、 キリストの復活を祝う祭がミャンマーの平和回復、癒しの始まりとなるように祈り、関係者すべての協力を訴えた。
メッセージでボー枢機卿は、今年の主の復活が「ミャンマーの歴史の中で最も悲しい日」に祝われることを指摘、「(軍事クーデターが起きて以来の)2か月の間、私たちは、本当の『十字架の道行』を続けてきました。そして、今なお、『ゴルゴダ』の丘の上にいます。数百人が殺され、聖なる国土に多くの血が流されています。高齢者も若者も、そして子どもたちでさえも、容赦なく命を絶たれています。数千人が捕らえられ、刑務所に入れられています。そして、数千人が逃亡を余儀なくされ、何百万もの人々が飢えに苦しんでいます」と窮状を訴えた。
そして、このような苦しみを、キリストの受難の苦しみに重ね合わせ、「キリストは蔑まれ、拷問され、十字架上にかけられて、殺されました。亡くなる前に、キリストは、今のミャンマーの多くの若者が感じているように、神に見捨てられた、と感じ、『Eli, Eli, lama sabachthani?(私の神、私の神、どうして私を見捨てられるのか?)』と訴えられた」としたうえで、「しかし、神は、イエスに復活を通して、勝利をお与えになりました。十字架のメッセージは、復活の栄光で締めくくられたのです… ですから、私たちも、勇気をもって、こう叫びますーキリストは蘇られた、ハレルヤ!と」。
また枢機卿は、キリストが十字架上で亡くなり、墓に納められた後、栄光の内に復活され、暗闇に打ち勝ったことになぞらえ、「ミャンマーでは既に、新型コロナウイルス感染で3000人以上、軍事クーデター後の弾圧によって500人以上が亡くなり、墓に埋葬されました。そして、この二か月の間に、人々の民主主義の夢も埋葬された。それを、この復活祭を機に、復活させましょう」と呼びかけ、すみやかに軍事クーデター以前の状況に戻り、兵隊たちは市民への攻撃を止めて兵舎に帰り、民主政権が復活させることを、国内の政治、軍事指導者たちに強く求めた。
また、抗議活動を武力で抑えつけようとする軍、警察に対し、力で対抗しようとする動きが、若者たちや少数民族の一部に高まっている事に対して、「敵のやり方が気に入らないからと言って、そのやり方を自分たちもとることは正当化できません。闇は闇で拭われない。光によってのみ、可能となるのです」と述べ、「あくまで非暴力で。命を無駄に落とさないように。あなた方が長生きすれば、悪は弱められ、民主主義は強くなります。暴力的な闘争に引き込む動きにのってはいけません。愛で敵を打ち負かすことーそれがキリストの十字架のメッセージなのです」とあくまで非暴力による、民主政治の回復、平和の回復を目指すように、若者たちを促した。
そしてメッセージの最後に、枢機卿は「平和で繁栄する新生ミャンマーが、憎しみと暗黒の墓から立ち上がる」ことへの希望を表明。そうすることによってのみ、「若者たち、市民社会、少数民族の共同体、すべての宗教が一堂に会して、蘇ったミャンマーの新たな復活を言わることができるのです」と強調して締めくくった。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)