・2025年聖年ーインド中部で巡礼団がヒンドゥー過激派に襲われる、インド司教協議会が地元州政府に安全確保要請(Crux)

(2025.4.2  Crux  Munbai  Contributer  Nirmala Carvalho)

 インド・ムンバイ発 – インド中部で巡礼者たちが襲撃された事件が発生、インド司教協議会が強く非難した。

 襲撃事件は3月31日、マンドラ教区の主任司祭ジョン・クアドロス神父と教区民が2025年聖年記念行事の一環として、マディヤ・プラデーシュ州の主要都市、ジャバルプルの複数の教会を巡礼していた際に起きた。成人した部族民のカトリック信徒50人と修道女2人がバスで巡礼中、ジャバルプルの聖三位一体教会を訪れたところ、ヒンドゥー民族主義の過激派青年組織「バジュランガル」のメンバーと見られる活動家たちが巡礼団に声をかけ、近くの警察署に連行した。警察は彼らに何の違法行為も見いだせず、彼らを釈放した。

 その後、一行はランチの聖トマス教会に向かったが、ヒンドゥー教の活動家たちが後を追い、地元の警察署に連行した。この警察署も、違法行為はないと判断したが、巡礼団が暴徒に襲われる可能性を懸念し、署内に保護。マンドラ教区のデイビス・ジョージ代理司教とジョージ・トーマス神父が警察署に向かうと、署内で暴徒たちから暴行を受けた。

 教区は声明を出し、「警察署に到着した際、過激派は警察署内で代理司教たちに暴行を加え、彼らを震え上がらせた。暴行を受けながらも、司祭たちは冷静さを保ち、いかなる時点でも報復を拒否した」としたうえで、「警察署内で襲撃されたことは憂慮すべき事態だ」と強く批判。

 代理司教たちは彼らは警察官たちが速やかなに対応したため、重傷は免れ、同日夕方に巡礼団と共に同警察署を出て、マンドラまで警察の護衛を受けて、帰着したが、教会関係者は、「カトリック教会が善行をなす際には、必ず反対勢力が現れる。すべては『改宗』というレンズを通して見られている。我々は人類に奉仕するためにここにいるのであって、改宗は神の御業なのだ」と語った。

 また、インド司教協議会も声明を出し、「自由の闘争と国家建設において重要な役割を果たし、憲法の価値を常に支持してきたキリスト教社会が、過激派や反国家分子によって繰り返し標的にされ、嫌がらせを受け、礼拝という基本的な権利を否定されていることは、非常に遺憾」とし、3月31日の事件を「信教の自由と人間の尊厳に対する衝撃的な攻撃」と批判。マディヤ・プラデーシュ州政府に対して「これらの反国家勢力に対して厳格な措置を講じ、すべての少数派コミュニティの安全と安心を確保する」よう求めた。

 ジャバルプルは、人口100万人を超える、だ。インド与党のインド人民党(BJP)は同州の政府を握っているが、同州にはキリスト教徒は全国平均の2.3パーセントに対して0.3パーセントにも満たない。2014年にBJPが政権を握って以来、キリスト教徒やその他の少数派に対する嫌がらせの事件が全国的に増加している。

 ヒンドゥー教の民族主義者たちは、しばしば、低カーストや部族系ヒンドゥー教徒といった社会的に疎外された人々をターゲットに、違法な手段、例えば食べ物や金銭の提供などを通じて改宗を迫っていると、イスラム教徒やキリスト教徒を非難している。すでにいくつかの州では改宗禁止法が可決されており、「強制改宗」の罪で有罪判決を受けた者には罰金や禁固刑が科せられることになった。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2025年4月3日