・習主席の強権政策を批判した党幹部養成校教授が解任、処罰も(BW,NYT)

   中国共産党中央党学校(中国共産党の中央委員会に直属し、党の高級幹部を養成する機関)の教授で、代表的な理論家だった人物が、習近平主席と党を批判したことで、党と教授の地位を追われ、年金の受給資格も奪われ、おそらく逮捕される可能性がある。

 手錠と裁判長のつち…  中国共産党の機関紙「人民日報」の系列紙の英語版Global Timesは17日付けの紙面で、そうした画像を使って、Cai Xia氏に記事を掲載した。記事では彼女を「中央党学校の退職教授」と呼び、中国共産党から追放され、年金の受給資格もはく奪された、としている。彼女は現在、海外にいるといわれているが、この記事に添えられた「手錠」の絵は、彼女の将来を示しているかもしれない。

 かつて中国共産党の有力理論家だったCai氏は、ここ何年か、党から追放され、あるいは正当な手続きを経ないで投獄された人物を擁護したことで、党内で議論をよんだ。さらに今年5月、彼女は「習近平」という具体的な名前を挙げるのを慎重に避けながら、「中国共産党を乗っ取り、中国憲法をないがしろにした人物」を取り上げたビデオを流すことで、越えてはならない一線を超えた。

彼女が語った言葉は、China Digital Timesが英語訳にして流している。 それによると「1人の人、ナイフ(警察権力)、銃(軍)、そして組織の欠陥ー役人の汚職と、党員とその幹部に対する人権と法的保護の欠落ーを握った党中央の指導者は、9千万の党員を奴隷、個人的な利益のために使う道具に変えました。自分が必要な時に、党を使います。必要としなくなれば、党員を党員として扱わない。別の場所に移し、腐敗した役人のラベルを貼るのです」と批判。

さらに、「今、党全体が1人を中心に回っている。そのようなものを『政党』と呼べるでしょうか。もはや『政党』ではない。いや、ずっと以前から『政党』ではなかったのです。”マフィアのボス”が手に入れた道具に過ぎない、”政治的なゾンビ”になってい”ます」と述べ、中国共産党の幹部たちに勇気を出し、「大混乱」を繰り返さないように、「その人物を替える」ように呼びかけた。

 だが、「人を替える」のは、最初の一歩でしかない。彼女は、中国共産党の党員の人権が侵されたことについて語り、自分はもはや党のイデオロギーに説得されることはなく、「中国の特質を持った社会主義」が党を「世界の笑いもの」にしている、と語った。また、彼女は、「中国は市場経済になっているから、共産主義国ではない」とする西側の人々の受け止め方に疑問を呈し、「市場経済」には自由な要素(労働と資本)市場と商品市場がなくてはならないが、中国では要素市場は今でも社会主義国のままま、共産党が、財とサービスの生産にとって重要な資源(要素)を統制している、と指摘。
 

 さらに、「特定の人物」による国家統制が緩められず、強化されているという現実は、「この中国のシステムが行き詰まっていることを、私たちに告げています。変えようとするのは無駄なことです。はっきりいって、このシステムは放棄せねばなりません。現在のシステムの枠組みの中で改めることはもはや不可能なのです」と訴えている。

 このような主張は、Bitter Winterの多くの読者には当たり前かもしれないが、注目されるのは、つい最近まで中国共産党の強力な理論家だった女性の口から出ている、ということだ。

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 18日付けの米ニューヨークタイムス紙の電子版も、

徐張潤・法学部教授は先月、数日間の拘留され、教授のポストを追われた。不動産開発業者の仁志強氏も、習主席の新型ウイルス対応を批判したことで、共産党から追放され、汚職の罪で告発されている、という。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年8月19日