・日本の教会は9月は「すべてのいのちを守るための月間」だが…

(2020.8.29 カトリック・あい)

 世界のカトリックを含むキリスト教会は9月1日から10月4日までを「被造物の季節」として祈りと行動を進めるが、日本の教会は同じ期間を、今年から「すべてのいのちを守るための月間」にすることになった。その趣旨は5月に司教協議会の高見会長から以下のように発表されているが、従来から世界的な取り組みとして行われている「被造物の季節」とどのように連動させていくのか、全く説明がなく、そもそも「被造物の季節」についての言及がない。しかも、直前の29日に至っても、教会として、信徒として、以下の説明以外に具体的な取り組みなど、まったく説明も呼び掛けもない。

 東京教区は菊地大司教が30日付けで「すべてのいのちを守るための月間」にあたってのメッセージを出し、「教皇フランシスコが毎年9月1日を『被造物を大切にする世界祈願日』と定められているが、日本ではこの世界祈願日を『9月最初の主日』と定めているので、今年は9月6日が祈願日となる」とした。

 そのうえで、この日は、「東方正教会の兄弟姉妹との一致のうちに、また他の教派やキリスト教共同体とともに「被造物の管理人となるという自らの召命を再確認し、すばらしい作品の管理を私たちに託してくださったことを神に感謝し、被造物を守るために助けてくださるよう神に願い、私たちが生きているこの世界に対して犯された罪への赦しを乞う(2016年教皇メッセージ)日。すなわち、環境問題への行動を促し,生きる姿勢において回心を求める日」である、と説明し、月間の初日について辛うじて世界の教会とのつながりを付けている。だが、日本の教会として月間の「被造物の季節」との関連付けがされていない以上、教区としてはこれが限界かも知れない。

 新型コロナ大感染が続く現在だからこそ、この月間を通して、世界のカトリック教会はもちろん、他のキリスト教会とも連携した祈りや行動の企画、呼びかけが必要と思われるのだが、日本のカトリック教会の代表であるはずの司教協議会長が一通の”お知らせ”を出してそれで終わり、では、何のために、すでに世界の教会の年間行事となっている「被造物の季節」にぶつけて新たな”月間”を作ったのか分からなくなる。教皇フランシスコの昨秋の来日を受けて、では説得力に欠ける。

 「命を守る」なら、新型コロナの大感染が世界中で深刻になり始めたもっと早い時期から祈りや行動の全日本的な運動を提起すべきだろう。どうして9月の1か月なのか、しかもその内容は5月に出した”おざなり”のまま、というのは一般の社会的常識からもかけ離れていないか。

 教皇フランシスコは昨年11月の日本訪問で、羽田に着かれたその足でバチカン大使館に行かれ、待っていた日本の司教たちへの講話の中で、訪日テーマである「すべての命を守るため」に触れて、「『すべての命を守る』とは、第一に、愛のこもった寛大な目をもって、神から委ねられた民すべての命を愛すること、そして何よりも、この民を、神から受けた賜物として認めることにほかなりません」と強調され、さらに、「日本の教会は小さく、少数派であっても、それが福音宣教の熱意を冷ますことのないように」と注意を与えられた。司教団は、日本の教会として、この言葉に込められた教皇の思いを、どこまでしっかりと受け止め、その後の行動に反映しようと努めてきたのだろうか。疑問符を付けざるを得ない。

(「カトリック・あい」代表・南條俊二)

(参考)・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日本カトリック司教協議会 「すべてのいのちを守るための月間」設置について

私たち司教団は、教皇フランシスコの訪日にこたえて、毎年9月1日~10月4日を「すべてのいのちを守るための月間」と定め、今年から実施することにいたしました。おりしも教皇は、エコロジーをテーマとした回勅『ラウダート・シ』の発表から5年目を迎える今年、5月16日~24日を「ラウダート・シ週間」と定め、「地球の叫びと貧しい人々の叫びはこれ以上待つことはできません」と、環境危機に対処するための緊急アピールを繰り返しておられます。
しかし世界では今、新型コロナウイルスの感染阻止のため、まさに「すべてのいのちを守るため」に、すべての人が闘っています。初回の「すべてのいのちを守るための月間」においては、まず一人ひとりが感染防止のための努力を継続するとともに、社会活動が制限されるなか経済的にも精神的にも困窮している人々への支援を行い、またできる範囲で環境保護のための運動も展開していきたいと思います。ご協力をよろしくお願いいたします。

2020年5月9日 日本カトリック司教協議会 会長   長崎大司教 髙見 三明

Ⅰ. 趣旨と目的
日本の司教団は、日本訪問で教皇フランシスコが発信されたメッセージに応えるため、毎年9月1日~10月4日の1カ月余りを「すべてのいのちを守るための月間」とすることとしました1。すべてのいのちを守るためには、ライフスタイルと日々の行動の変革が重要であることはいうまでもありませんが、とくにこの月間に、日本の教会全体で、すべてのいのちを守るという意識と自覚を深め、地域社会の人々、とくに若者たちとともに、それを具体的な行動に移す努力をしたいと思います2

教皇フランシスコが回勅『ラウダート・シ』(2015年)で述べているように、わたしたちは環境問題を、社会、経済、人権問題などと関連づけて、総合的なエコロジーという観点から理解しなければなりません。地球の自然環境はとくに20世紀半ば以降悪化の一途をたどり、ますます深刻化しています。地球温暖化と気候変動、水資源の危機と食糧問題、人口問題と貧困、森林破壊と砂漠化、エネルギー問題、ごみ問題、生物多様性の危機などの諸問題が人類に突きつけられています。
しかも、これらの問題のほとんどは、各種産業や個々人の生活など、人間活動の結果生じていると指摘されています。したがって、わたしたちは自らの手で悪化した環境を回復していかなければなりません。今すぐ適切な対処をしなければ取り返しがつかなくなる、そう専門家は警告しています。

そこで、教皇フランシスコが強調しているように、まず個人にも共同体にも「エコロジカルな回心」が必要です。すなわち、「世界は愛のこもった神の贈り物であるということ」と、「わたしたちは……万物のすばらしい交わりである宇宙の中で、他のものとともにはぐくまれるのだということを、愛をもって自覚」(220)し、「行いや怠りによって神のものである被造界を傷つけてきたことを認め」(218、オーストラリア司教団)、環境問題をあえて自分自身の個人的な苦しみとし、一人ひとりがそれについてできることを見つけ出すことが必要です(19参照)。こうして、「イエス・キリストとの出会いがもたらすものを周りの世界とのかかわりの中であかし」(217)するのです。

Ⅱ. 期間:2020年9月から実施
毎年9月1日~10月4日(アシジの聖フランシスコの記念日)

Ⅲ. 具体的な取り組み

  1. 毎年9月第一日曜日(被造物を大切にする世界祈願日)に、全国で一斉に祈り、各共同体単位で具体的な行動を起こす。
  2. 期間中、「すべてのいのちを守るためのキリスト者の祈り」(2020年5月8日 日本カトリック司教協議会認可)を唱える。
  3. 地球環境の実態について学習し、エコロジー教育を推進する。
  4. 行政、自治体、環境保護団体などと連携して活動する。上記について、今必要な行動・活動例
    ① 資源の消費・浪費・廃棄量の削減(水・電気・食料など)
    ② 化学物質を含む洗剤やプラスチック製品など、環境汚染物質の不使用、使用量の削減
    ③ 美化活動(海浜、里地里山、街中など、身近な場所でのゴミ拾い・清掃)

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「すべてのいのちを守るための月間」にあたり

カトリック東京大司教区の皆様  カトリック東京大司教区 大司教 菊地功 2020年8月30日

教皇フランシスコは、2015年に回勅「ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に」を発表され、全世界の人に向けて、「私たちの共通の家」という総合的な視点から、エコロジーの様々な課題に取り組むことを呼びかけられました。その上で教皇は、毎年9月1日を「被造物を大切にする世界祈願日」と定められました。日本ではこの世界祈願日を9月最初の主日と定めていますので,今年は9月6日が祈願日です。

この日は、東方正教会の兄弟姉妹との一致のうちに、また他の教派やキリスト教共同体とともに、「被造物の管理人となるという自らの召命を再確認し、すばらしい作品の管理をわたしたちに託してくださったことを神に感謝し、被造物を守るために助けてくださるよう神に願い、わたしたちが生きているこの世界に対して犯された罪へのゆるしを乞う(2016年教皇メッセージ)」日です。すなわち、環境問題への行動を促し,生きる姿勢において回心を求める日でもあります。

日本の司教団は、昨年11月の教皇訪日を受けて,教皇フランシスコが日本から世界に向けて発信されたさまざまなメッセージを具体的に生きていくために、訪日のテーマである「すべてのいのちを守るため-Protect All Life」を深め、黙想し,祈り、行動するために、特別な期間を設けることにしました。「ラウダート・シ」に記されたメッセージこそ,教皇が日本から世界に向けて語られた、賜物であるいのちへの強い思いを具体化するものです。

そこで日本の司教団は、9月1日から10月4日(アシジの聖フランシスコの記念日)までを、「すべてのいのちを守るための月間」と定めました。司教協議会会長の髙見大司教様は、「すべてのいのちを守るためには、ライフスタイルと日々の行動の変革が重要であることはいうまでもありませんが、とくにこの月間に、日本の教会全体で、すべてのいのちを守るという意識と自覚を深め、地域社会の人々、とくに若者たちとともに、それを具体的な行動に移す努力をしたい」と呼びかけておられます。

今年は新型コロナウイルス感染症対策のため,教会における特別な行事などを制限せざるを得ませんが、教皇様の呼びかけを心にとめ,司教団で用意した祈りなどを共に祈りながら、「私たちの共通の家」への心遣いを深め、また私たち一人一人の回心のときとしていただきますように,お願いいたします。

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2020年8月30日