(2021.12.14 カトリック・あい)
ミャンマー国軍による軍事クーデターから10か月が経ち、軍事政権による圧制と経済的苦境が続く中で、同国のカトリック司教協議会会長のチャールズ・マウン・ボー枢機卿が10日、「もう十分です、私の愛するミャンマーよ」と題する待降節のメッセージを発表し、2月1日のクーデター以来、国民を傷つけてきた「嫌悪すべき暴力」を改めて強く批判、軍事政権の責任を問うとともに、同国の全信徒に対して希望を失わないように励ました。
枢機卿は「この10か月間、嫌悪すべき暴力が、世界の人々の心を強く痛め続けています。それでも、私たちは絶望と憎しみを抱くことはしない。イエスと共に、私たちは『平和がありますように』と公に祈ります」と述べる一方、「進んで暴力を振るい、残虐な拷問と殺害を行なう人々が、今のミャンマーの”涙の谷”の主因です。そうした人々に対しても、『愛には力がある』と申し上げる。それがイエスの、クリスマスのメッセージです」と語った。
そして、「非人道的な暴力に痛めつけられたミャンマーの若者たちが、復讐する気持ちを起こす可能性」に懸念を示し、「(非暴力を貫いた)マハトマ・ガンジーが示したように、勝利は銃だけではもたらされず、暴力は暴力を生むだけです。いつも非暴力の道、平和的な解決策があります」と訴えた。
また、「”ベツレヘムの飼い葉おけ”が、最後にはローマの権力に勝った。それを私たちの希望にしましょう… 正義無くして、永続的な平和はあり得ません」と、同国の指導者たちの若いによる平和を改めて呼びかけた。
タイに本拠を置く民間支援団体・政治犯支援協会(ビルマ)が13日現在で集計したところによると、2月1日の国軍クーデターからこれまでに殺害された人は確認できただけで1329人、拘留されている人は7988人に上り、うち子供2人を含む36人が死刑を宣告されている。実際の死者数はこれよりもはるかに多い、と同協会は見ている。