・四川省でチベット仏教の高僧を逮捕・甘粛省でもチベット仏教寺院を閉鎖、僧侶、尼僧を追放

*四川省でチベット仏教の高僧を逮捕(2021.8.6 Bitter Winter-Radio Free Asia)

 チベット族の情報筋がRadio Free Asiaに語ったところによると、中国四川省の警察当局が7月20日、アバ・チベット族チャン族自治州のアバ県にあるチベット仏教寺院で規律委員長を務める僧侶を逮捕、交流している。

 当局の逮捕容疑は、ソーシャルメディアWeChatで”政治的に敏感な議論”をした、というもの。だが、情報筋は「彼は、WeChatのグループに参加し、祈りを捧げていましたが、そこで彼が語ったのは、これまでに重ねて来た祈りの数についてだけ。政治的な問題には何も触れていません」と述べ、また「彼は政治について通常の知識を持っていますが、ソーシャルメディアで政治的に微妙な問題について話すことはありません」として、”冤罪”による逮捕であることを示唆している。

 

*甘粛省でチベット寺院閉鎖、僧侶、尼僧を追放(2021.8.3 LiCAS.news)

Radio Free Asiaが3日までに報じたところによると、中国北西部の甘粛省当局は、臨夏回族自治州のチベット僧院を強制的に閉鎖し、僧侶と尼僧を追放した。

 RFAが入手した現場のビデオでは、この僧院の僧侶は、「僧侶の強制的な解体は違法で容認できない」と書かれた旗を掲げるなど抗議し、僧院を追い出される尼僧たちが嘆き悲しむ様子が映し出されている。

 臨夏回族自治州の永靖県で少数民族・宗教担当局にRFAが電話で取材したが、電話に出た職員はコメントを拒否、「僧院管理委員会」の事務局に問い合わせるように、とだけ答えたという。

 中国当局によるチベット人に対する虐待などをフォローしている米国の専門家は「当局は、中国国内のチベット仏教の寺院と僧院を排除する準備をしています。チベット仏教の自治州の寺院、僧院が中国全域に活動を広げる足場にしようとしている、と警戒しているのです」と説明した。

 規制、弾圧の動きは、中国政府・共産党の認可を受けたパンチェン・ラマ11世が、このほど、「チベット仏教を、敵対外交勢力による中国政府・共産党弱体化の手段にしてはならない」と述べたのと関係がある、という見方もある。

 また、新型コロナウイルス大感染で、チベット寺院、僧院へ喜捨が急増したといわれており、地元当局が、その”富”に関心を持った可能性が高い、とする声もある。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年8月10日