*「宗教団体は、党を愛し、社会主義を愛せよ」ー中国共産党統一戦線工作部が”宗教の中国化”推進の新指令

2022年3月21日の「StudyTimes」

(2022.3.24 Bitter Winter Xia Qiao)

 国際社会の関心がロシアによる残虐非道なウクライナ軍事侵略に向いている中で、中国政府・共産党は国内の宗教活動に対する規制を一段と強化している。国内の宗教活動全般を監督・規制している中国共産党統一戦線工作部が王作安・副部長の署名付きの「宗教の中国化」に関する新指令を、3月21日付けの中央委員会党学校の機関誌「学習時報」に掲載、発表した。An article on sinicization appeared on “Study Times” of March 21, 2022.

 

*習主席の指導に従って”中国化”を進めよ

 この指令は、2021年12月に開かれた宗教問題に関連する全国会議での習近平主席の演説をもとにしたもので、指令のポイントは、中国国内で活動するすべての宗教の「中国化」にあり、「習主席が国内の宗教団体の活動について行った、主要な革新的声明、社会主義社会に適応するよう宗教団体を積極的に導くための主要な戦略的措置、および党の宗教の主要な歴史的課題」を内容とする、と説明されている。

 また、「中国化」は「科学」、より正確には「科学としてのマルクス主義」の一部をなすものであり、その意味と技術を理解することは、容易なことではない、宗教を「科学的に」非難しない者もいるが、それは重大な過ちにつながる、と”警告”。

 「中国化」とは、マルクスとエンゲルスによって確立された「宗教の存続と発展の法則に準拠」しており、ブルジョアの宗教研究は、宗教的現象を説明するために単に「精神的要因」を使うが、マルクス主義は宗教を「物質的要因」の「産物」、ある段階での「人間社会の発展の産物」と見る、と言明。「マルクスとエンゲルスが、宗教が人類の歴史においていくつかの「否定的な役割」を果たしてきたことを強調したことは否定できない。外国の宗教が他の国を植民地化するとき、この指摘は特に適切だ」と述べている。

*道教以外はすべて外国からの”輸入”、問題を起こしてきた

 また、中国では5つの宗教が認可されているが、このうち道教だけが真の中国のものであり、仏教、イスラム教、プロテスタント、カトリックは海外から輸入されたものだ、としたうえで、マルクスとエンゲルスが宗教の否定的な側面しか見ていなかったと信じている人々は間違っており、彼らは宗教を「ポジティブとネガティブの両方が共存する社会現象」と見なしていた、と指摘。

 宗教におけるポジティブな点は、「ある段階から次の段階への社会の進歩のツールとしての役割を果たすこと」であり、「宗教の信者がまだ存在している段階では、宗教が反動的な役割ではなく、進歩的な役割を果たすように導くべき」だとし、中国は、今、社会主義の段階にあり(まだ最終的に目指している共産主義の段階ではない)、宗教が果たすことのできる積極的な役割は、宗教を信じる人々が「社会主義社会」に適応し、「社会主義の価値観」を受け入れるように導くことだ、と言明した。

 そして、「中国ではほとんどの宗教が海外から来ており、問題を引き起こしたため、宗教が自らを改革し、社会主義の補助的な力となるプロセスが、習主席によって「中国化」として科学的に定式化された」と述べ、過去において、毛沢東主席は「わが国の宗教界における主要な改革を導き、推進し… 社会主義社会に適応させる正しい道」を歩ませ、鄧小平主席は「私たちの社会の重要な変化と宗教分野の新しい状況に照らして、宗教問題に対処する正しい方策を模索した」。そして、さまざまな段階を経た今も、「社会主義社会に適応するように宗教を積極的に導くことは、宗教活動の基本的な目標であり、前向きな結果を達成している」と語っている。

*外国の敵対勢力が、我が国を破壊するために宗教を利用している

 指令によると、宗教の「中国化」の科学理論は習主席によって2015年に立てられ、継続的に推進、精緻化、実装されている。だが、「主席は、宗教が社会主義の社会に適応するために行っている努力は、まだ十分ではない」としており、 「過去の適応は現在の適応を意味するものではなく、現在の適応は必ずしも将来の適応を意味するわけではない」とも指摘した。

 また、すべての宗教が中国化できるわけではなく、外国の教育モデルをコピーし、外国の価値観を標準として採用し、外国の力の命令と支配さえ受け入れる人々の改革できないし、さらに悪いことに、「外国の敵対勢力と過激派勢力は、宗教を利用して我々の国に侵入し、妨害し… 社会主義の道から逸脱する方向に、宗教を導くことを試み、混乱をもたらす。わが国を抑え込み、破壊するための政治的陰謀の一部となる」と警告。

*”正しい政治的方向”に従うのを拒否する宗教は断固として根絶

 「正しい政治的方向性に従うことを拒否する宗教は、断固として抑圧され、根絶されるべきだ。社会主義社会と両立し、中国化された宗教だけが、我々の社会の安定に貢献できる」と断定している。

 最後に、中国共産党は、「宗教界の思想的および政治的指導を強化し、宗教界の政治的意識を向上させ、中国共産党と社会主義制度の指導的役割を支援するように宗教団体を指導する」ために必要なことを行う… 習近平同志を中心に党中央委員会のもとに緊密に団結し、中国の特徴を備えた社会主義の道をしっかりと歩んでいく」と言明。

*党や社会主義への愛情を植え付ける役割を果たさない宗教は容認せず

 具体的には、「新時代の中国の特徴を備えた社会主義についての”習近平思想”を真剣に研究し、党の歴史、新中国の歴史、改革と開放の歴史、そして対象を絞った社会主義の発展、そして『党を愛し、国を愛し、社会主義を愛する』を主題とした徹底的な教育を実施すること」を命じ、「党の宗教活動に関する理論、原則、政策を深く体系的に研究するために、宗教界を指導する必要がある」「”中国化”されていない宗教、つまり、信者に社会主義や中国共産党のの指令を伝え、党や社会主義に対する愛情を植え付ける役割を果たさない宗教は、違法な宗教活動の一部であり、”後戻り”であることも理解する必要がある。党は、このような宗教を容認しない」と宣言している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2022年3月26日