(2022.11.25 Vatican News Salvatore Cernuzio)
香港で民主化運動を支援したとして5月に逮捕された陳実君・枢機卿に対して、香港の裁判所が25日、罰金512香港ドル(約9200円)の有罪判決を出した。
罪状は、逮捕された民主活動家の裁判や医療面での支援をするための「612人道救済基金」を当局に登録しなかった香港国家安全維持法違反。
90 歳の元香港教区長の陳枢機卿とともに、同基金の管理者だった弁護士のマーガレット・ ング、元下院議員のシド ・ホー、歌手のデニス・ ホー、フイ・ ポークン教授、基金事務局長だったシ チン・ウィーも有罪判決を受けた。
香港では、中国政府・共産党の統制が強化され、民主化運動が鎮圧される中で2020年6月から香港国家安全維持法が施行されており、今後の裁判で「外国勢力との共謀罪」が適用されると、終身刑などが科せられる可能性もある。
陳枢機卿は、中国政府・共産党を背景にした香港政府や治安当局による民主化運動弾圧が強まる中で、これに抗議、反対する若者たちなどを支援してきた。治安当局は2021 年 9 月、2019年の学生たちによる広範な抗議活動で「反乱を起こさせるよう扇動した」として、枢機卿を捜査下に置き、今年 5 月 、治安当局によって、他の4人と共に逮捕された。逮捕容疑は、「612 人道救援基金」の管理者としての「外国勢力との共謀」だったが、事情聴取の後、数時間後に保釈され、9月中旬から裁判が始まっていた。
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(カトリック・あい)
陳枢機卿のこのような扱いに対して、教皇フランシスコはじめバチカン首脳はコメントを控えており、マッテオ・ ブルーニ広報局長が5月に、バチカンの記者団に対して、「バチカンは、陳枢機卿の逮捕のニュースを懸念し、細心の注意を払って状況の進展を見守っている」と述べたにとどまっている。
枢機卿は、中国政府・共産党の中国本土における”地下教会”弾圧などの動きに対してバチカンが明確な態度を取らないことや、そうした事態を”黙認”する形で、中国政府と司教任命に関する暫定合意を続けていることを批判、明確な姿勢を取るよう求めている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)