・北京など各地でプロテスタント”家庭教会”を公安が強制捜査ー習主席の”中国化”の一環(BW)

 (写真は、‎8月21日、吉林‎‎省‎‎長春市の長春サンシャイン改革派教会を公安が強制捜査。ツイッターより)‎The August 21 raid against Changchun Sunshine Reformed Church in Changchun city, Jilin province. From Twitter.

(2022.8.24 Bitter Winter Tao Niu)

 中国共産党の管理統制に服するプロテスタント教会の組織「三自教会」への参加を拒否している”家庭教会”を標的にした公安当局による強制家宅捜査が8月に入って、‎北京、陝西省、山西省、吉林省、四川省で行われている。習近平・国家主席が進めるキリスト教などの宗教活動に対する”中国化”キャンペーンの一環だ。‎

 昨年12月初め、中国共産党が5年ぶりとなる「‎‎宗教問題に関連する業務に関する全国‎‎会議」を北京で開き、‎‎習主席が演説し、「非中国」および「違法」な形態の宗教に対する強力なキャンペーンを呼びかけた。‎

 これに応える形で、中国全土にわたるカトリック、プロテスタントをはじめとする宗教活動に対する取り締まりが厳しさを加え、プロテスタントの教会のうち、中国政府・共産党の管理統制に服そうとしない”家庭教会”もターゲットになっている。

 政府・共産党は、キリスト教に関しては、カトリックもプロテスタントも、自己の管理統制下に置くことを至上命題とし、プロテスタントの場合は、管理統制下にある「‎‎三自‎‎教会」の参加を強制し、拒否すれば”違法な宗教団体”とみなして、関係者を逮捕、施設を閉鎖する方針を示し、これを受けた地方政府・党・公安当局が実際の行動に移している。

8月19日、西安の様々な家庭教会とキリスト教団体を禁止する発表。

 ‎8月19日、陝西省西安で30年にわたって活動を続けてきた「Fengsheng教会」が、「カルト」であり、「不正に寄付を募っている」と、西安市民生局から宣告され、「違法な社会組織」として“清算”された。同じく「家庭教会」のネットワークに参加していた中国福音協会も活動中止か、牧師と信徒の逮捕化を選ぶよう強制され、親子の牧師二人が”指定された場所”での居住、当局の監視下に置かれた。

 

(左は、‎8月19日付けで西安市民生局が出した複数のキリスト教会を違法として活動禁止する公告‎)‎

 同じ日に山西‎‎省‎‎臨浦市の「Covenant Home教会」の信徒約70人が親子キャンプをしていたところ、約100人の武装警察に包囲され、大人たちは拘束。また教会員たちの住まいも強制捜査され、キリスト教関係の書籍、文書を押収された。

 ‎8月21日には、吉林‎‎省‎‎長春市の「長春太陽改革派教会」が礼拝中に家宅捜索を受け、参加していた信徒たちが暴行され、女性2人が心臓発作を起こして病院に運ばれる事態となった(写真)。‎‎9人の信徒が拘束され、牧師や長老は、「違法な宗教団体を運営している」として告発された。‎

 北京でも、これらに先立つ‎8月14日に、「Zion Church シオン教会」の門頭溝区・分教会が当局の強制捜査を受け、コンピューターなどの備品が押収されたうえ、牧師と信徒9人が一時、逮捕・勾留された。‎

 6月14日には、四川省光林‎‎公安局が、「違法な集会を組織し、資金提供した」として拘束していたプロテスタントを、「福音を宣べ伝え、人里離れた山岳地帯の村人を助けた」ことが法令に違反するとして、逮捕している。‎

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
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2022年8月26日