・中国政府・共産党が宗教団体規制をさらに強化へー2月1日実施(BW)

 中国政府・共産党が2020年2月1日から国内の宗教団体に対して新たな規定を導入する。2017年に定めた規制を強化し、すべての宗教に「中国共産党の原則」を適用するものだ。

 2017年に制定された規制が実施に移されたのは2018年2月1日から、毛沢東の文化大革命以来、宗教活動を最も厳しくする習近平・国家主席の政策の法制化だった。 「全能の神の教会」や「法輪功」などもともと活動禁止の宗教団体に対する過酷な措置はすでに実施されていたが、専門家によると、2017年規則の目的は、明示的に禁止されていない宗教団体の「グレーマーケット」を徐々に排除すること。

 中国政府・共産党の管理監督に服する「5つの認可された宗教」の「レッド・マーケット」への組み入れに抵抗し「グレイマーケット」に残っている教会のうち、プロテスタントの場合は、政府・共産党の管理監督に服する「三自教会」への参加を強制、拒否するなら、礼拝所を破壊して牧師を逮捕する、と圧力をかけていた。

 こうした中で、2019年12月30日、「ハウスチャーチ」運動で最も有名な人物の1人、四川省成都のEarly Rain Covenant Churchのワン・イー牧師が懲役9年の有罪判決を受けたが、この同じ日に、中国共産党は、新しい「宗教団体の行政措置」を2020年2月1日に施行する、と発表した。

 行政措置は6章41条からなり、「宗教団体の組織、機能、監督および管理」に関するすべての事項に関する新しい包括的な規制を盛り込んだ。中国の宗教政策に批判的なAsiaNewsなど報道機関は、「信教に自由に決定的な打撃を与えるもの」と非難している。

 この行政措置では、小規模なものを含め、宗教共同体の活動に関連するすべての決定を中国共産党の承認に委ねるメカニズムを通じて規制を実施することとしている。地方の行政機関の宗教担当部は、すべての宗教組織のための「行政機関」として機能し、「指導と監督」を通じて組織的にそれらを管理すること、としている。

特に、25条で「政府の宗教担当部は、優れた事業部門として職務を遂行し、関連する法律、規制、および規則に従って、宗教団体について以下の業務を指導および管理するものする」とし、具体的に以下のような内容を定めている。

(1)宗教団体の定款を承認するにあたって、その団体の設立、変更、登録の取り消し、および事業の審査を担当する。宗教団体の年次活動報告書の点検、宗教団体の登録と清算を、国の関係法、規制、規則に従って実施する。

(2)法律を遵守して活動を行い、機能を遂行し、法律に従って宗教団体の定款および規則、規則、規則、規約の違反に対処するために、宗教団体を監督および指導する。

(3)宗教団体が法に基づいて承認を得るために政府の宗教担当部に提出する書類を審査、監督、管理する。

(4)憲法、法律、規制、規則、政策、および実際の業務の必要に従って規則および規則を確立および改善し、イデオロギー、組織、スタイル、および制度構築を強化するために、宗教団体を監督および指導する。

(5)法律と規制によって提供される指導と管理を必要とするその他の事項を定める。

 17条では、「宗教」ではなく中国共産党とそのイデオロギーを促進する”宗教団体”が存在することを明確にしている。 「宗教団体は、中国共産党の原則と政策、国内法、規制、規則を宗教スタッフと宗教市民に広め、宗教スタッフと宗教市民を教育し、指導して、中国共産党、社会主義システムを支援し、中国的特徴を備えた社会主義の道を守り、法律、規制、規則および政策を順守し、国内法と規範の関係を正しく扱い、国民の認識、規則の認識、法律と市民権への認識を深める」と規定した。

 さらに、26条と27条には、宗教団体が実行される前に当局に報告され承認されるべき事項が列挙され、宗教団体の役員の指名、会議の開催、「団体内部の相違や紛争」の解決なども対象となっている。

 34条には、金銭と財政に関するすべての問題の報告、管理が追加された。宗教団体によるあらゆる重要な活動は、事前に共産党の担当部局に提出され、承認された場合にのみ実行される、と規定した。

 また、「政府の宗教担当部による承認、または政府の民事部への登録がなければ、宗教団体の名の下で活動を行うことはできない」ことが明記され、政府・共産党の管理に従わない”反体制”のプロテスタント、カトリックの教会共同体、その他の未登録の宗教団体による活動を葬むることを目指している。

 32条は、「宗教団体は学習制度を確立し、中国共産党の主要な意思決定の取り決め、国家政策と規制、優れた中国の伝統文化と宗教知識から学ぶためにスタッフをそろえねばならない」とし、 「卓越した中国の伝統文化」ーすなわち習近平と中国共産党が解釈した中国文化ーを強調している。

 以上のような新たな規制が実際にどのように実施されるのかは、2月1日以降の政府・共産党の具体的な動きを見るまで分からないが、明らかなのは、宗教活動に対する取り締まりは継続し、その法的枠組みがさらに好ましくない方向に進んでいる、ということだ。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日7言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

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2020年10月17日