・中国政府、緊張回避の姿勢見せるーバチカンの「暫定合意違反」の批判に

(2022.11.29 カトリック・あい)

 中国でバチカンが認めていない教区の補佐司教に”地下教会”の司教を一方的に就任させたうえ、中国への忠誠、”中国の夢の実現”への先進を誓わせたことについて、バチカンが「暫定合意と対話の精神にもとる行為」と異例の批判声明を出し、今後の関係の行方が注目されている。

 AP通信が29日伝えたところによると、中国政府は28日の外務省報道官による定例会見で、この問題について、「中国が司教任命に関するバチカンとの「友好的な合意」を拡大する用意がある、と関係悪化を回避する姿勢を見せた。

 定例会見で、外務省の趙立堅・報道官は、「言われているような特定の状況については把握していない」としたうえで、「中国とバチカンの関係は、中国のカトリック教の利益と『調和のとれた発展』」のために近年改善されている」と述べた。また、「中国はバチカンとの『友好的な合意(暫定合意のこと)』を継続的に拡大し、合意の精神を共同で維持することを望んでいる」と語った。

 ただし、バチカンの暫定合意は中国政府(外務省)と結ばれたものであり、中国国内のカトリックを含めた諸宗教の活動の規制・監督については中国共産党統一戦線工作部が行っており、米国のシンクタンクの分析によると予算額だけ見ても外務省よりも、党統一戦線工作部の方が大きいといわれ、”党主導”の下で、暫定合意がどこまで”効果”をもつかは未知数。

 実際、暫定合意がされた2018年以後に、中国国内でのカトリック”地下教会”を含めた宗教弾圧は激しさを増している。その”不都合な真実”の目をつぶっていたバチカンが、今回、初めて批判声明を出し、中国外務省の報道官が即座に摩擦回避の姿勢を見せたことが、党統一戦線工作部のカトリック”地下教会”を含む中国国内の諸宗教の活動に対する姿勢に影響を与えるかどうか、疑問視する見方も少なくない。

 

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2022年11月30日