・中国・河南省で”バチカン暫定合意”の”良心的拒否”司教が消息不明に(BW)

 司教任命に関する中国とバチカンの暫定合意の受け入れを拒否する雲南省のカトリック司教と10人の司教が5月下旬、当局に逮捕・拘禁され、司祭たちは”法律上の教育”を受けた後、釈放されたものの、司教の消息は不明のままだ。(写真は、河南省Fanjiajie村で母親の埋葬を司式する張司教=2016年1月13日)

Bishop Zhang presiding over the funeral of his mother Maria in Fanjiajie village, Henan, on January 13, 2016.

 現地の関係者が22日明らかにしたもので、消息不明になっているのは、河南省新郷教区の張維柱・司教。司教と司祭たちは、司教任命に関する暫定合意とそれに伴う政府・共産党の管理・監督下にある中国天主教愛国協会(CPCA)への参加強制を拒否して来た。

 暫定合意以後、バチカンは、それまで認めていなかったCPCAへの聖職者、一般信徒の加盟を容認するようになった。同時にバチカンは”良心的参加拒否者”を”、敬意をもって扱う”よう、中国政府に期待しているが、実際は、政府・党の意向を受けた地方当局が、聖職者、一般信徒の”転向”を強制、従わない者は逮捕・拘禁を含めた弾圧の姿勢を加速している。

 そうした動きは、中国共産党結党100周年を機に5月下旬、激しさを加えており、記念日の7月1日を控えた5月21日、100人以上の公安職員を動員して新郷の張司教が運営する神学校を急襲、張司教と10人の司祭、それに10人の神学生を逮捕した。

 神学生たちは、全員が実家に帰され、「CPCAへの参加を拒否したまま、司祭叙階のための勉強を続けるなら、投獄する」と当局から警告された。10人の司祭は、”学習センター”に連行され、”教育”を受けた後、同様の警告の下に釈放された、という。

 海外のカトリックメディアは、張司教たち聖職者の逮捕や河南省のカトリック信徒の多くから支持を受けている張司教のためにささげられた祈りについて報道したが、こうした当局による逮捕や迫害にもかかわらず、中国全土のカトリック信徒の間に”良心的拒否”が起きていることだ。

 河南省のある司祭がBitterWinterにこう語っているー「中国とバチカンの暫定合意から、中国の教会にとって肯定的な結果は出ていない。私たちは毎日、教皇のために祈っていますが、教皇は中国の実情について誤った情報を受け取っているのだと思う。私たちはCPCAには参加しません。また、あるカトリック信徒はこう問いかけたー「暫定合意で中国政府・共産党は変わることは絶対にない。それなのに、どうして私たちが”変わらねば”ならないのですか?」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年7月23日