米連邦議会では先月、つまり2020年12月の15日に「2020年の強制臓器摘出を停止させる法律」と題する超党派の法案が、連邦議会上院と下院に提出された。外国での当人の意思によらない強制的な臓器摘出に対処する連邦政府の権限を拡大するもので、成立すれば、国際的な人権団体やNGO諸団体から強い批判が出ているこの問題を、世界で最も影響力のある政府が対処することになる。
法案は現在、審議中だが、20日のバイデン新政権発足で、真偽に弾みがつきそうだ。上下両院それぞれに上程された法案の署名者たちは、昨年11月の連邦議員選挙で全員が再選され、法案成立に強い意欲を燃やしている。そして、米中関係において、「人権」が果たすべき役割の重要性を確信している。
米国議会と同じように極めて重要な動きが英国議会にも出ている。労働党のハント卿の主導で、上院に提案されていた「医薬品および医療機器法」改正が承認された。法改正により、「治療に関連した人体組織あるいは細胞の使用」は禁止される。これは、人身売買、臓器摘出、そして、「英国の”サプライチェーン”に入り込んできている『現代の奴隷制』に直接的な打撃を与えることになる。
ハント卿は「国内的には、そのような犯罪への英国の共謀を防ぎ、他の国に重要なメッセージを送る機会を提供する。現在の英国の『人体の組織法』の欠陥に対処することを目的としています」と説明する。
「現行法では、輸入された人体組織に対する適切なチェックが必要なく、医学研究で使用するために輸入されたヒト組織は、入手経路の確認を必要としません。現在、ヒト組織(ヒトへの適用のための品質と安全性)規制もヒト組織法も、医薬品で使用するために輸入されたヒト組織について適切な同意を求めない。法改正で、これを改める権限を大臣に付与する。『組織』と『細胞』という言葉は、医薬品の目的で使用されるすべての人間の材料を含む用語であることを説明する必要があります。これには臓器も含まれます」としている。
さらにハント卿は「今や、国際社会は、中国当局による『良心の囚人』からの強制的な臓器摘出に、従来以上に気付いています… 生きている人から臓器を強制的に摘出する、という恐ろしい犯罪は、『殺人』に繋がる行為であり、広範囲になされていることが、民間の中国法廷で明らかにされています」と述べ、英国政府には、こうした中国の行為を終わらせるため、WHO(世界保健機関)に圧力をかけるよう求めている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」)