・中国のカトリック大教区で司祭、修道女、神学生が大量逮捕、”合意延長”後初? This photo taken on May 22, 2013 shows Chinese Catholics, who belong to an “underground” church which is not recognized by the Chinese government, attending Mass in Donglu, Hebei province. (Photo by Mark Ralston/AFP) (2020.11.10 カトリック・あい) カトリック系の有力ニュース・サイトLiCAS.newsが9日付けで伝えたところによると、中国当局が11月2日、中国河北省の保定教区で少なくとも2人のカトリック司祭と12人以上の修道女と神学生を逮捕、拘禁した。このうち神学校2人が数時間後に釈放されたといわれるが、その他の人々の消息は不明。大量逮捕は同教区の元司教総代理Lu Genjun神父の消息が不明になったのと同じ日に起こった、という。 バチカンは先月、期限を迎えていた中国国内での司教任命に関する中国政府との暫定合意をさらに二年延長することで同政府と合意したが、延長合意後に聖職者が逮捕されたのは、これが初めてだ。 中国国内では、政府・共産党の統制に服さないキリスト教信徒はもとよりイスラム教徒、仏教徒に対する迫害、弾圧が強まっており、そうした中でのバチカンの中国政府との合意更新には、米国はじめ国際社会から強い批判が出ていた。 国内の宗教団体への統制を担当するのが政府ではなく中国共産党の統一戦線工作部であり、バチカンと中国政府結んだ合意が、宗教者の迫害抑制に結び付いていないことが、あらためて確認された形だ。 Lu神父は、1990年に司祭に叙階されで間もなく、当局に逮捕され、いったん釈放されたが、2000年にふたたび逮捕され、上海の高陽にある強制収容所に3年間入れられ、出所後も、共産党の統制・監督下にある中国天主愛国協会への参加を拒んだことから、繰り返し逮捕、拘禁されるなど迫害を受けていた。 神父が司牧活動をしている保定教区は、50万人の信徒がいるといわれる中国のカトリック教会で最大の教区の一つ。1990年代に、Su Zhimin、An Shuxinの二人の司教が相次いで当局に逮捕され、Lu神父が司教代理となって、教区を支えてきた。2人の司教のうちAn Shuxin司教は、その後、中国天主愛国協会への参加を受け入れたが、Su Zhiminしこ湯は20年以上投獄されたまま、という。 米国に本部を置く人権問題を扱う国際NGO、フリーダム・ハウスの推計によると、中国の各種宗教の信徒は3億5000万人以上おり、カトリックの信徒は1000万人から1200万人。うち、中国天主愛国協会に参加する信徒と、教皇のみに忠誠を誓い、協会への参加を拒否する”地下教会”の信徒はほぼ半々とされている。宗教の”中国化”を目指す中国共産党は、地方当局を通じて、”地下教会”の聖職者、信徒に協会への参加を強要し、拒否すれば、逮捕、教会の聖堂や集会所の閉鎖、破壊という強硬姿勢を、最近、一段と強めている。 ツイート