(2021.4.17 Bitter Winter Massimo Introvigne)
The Party History Mobilization Meeting. Source: Chinese Central Government.
中国国内でメディアを席巻し、しかも国外ではほとんど知られていない中国共産党による全国キャンペーンの一つが、結党100周年にあたって習近平が立ち上げた「党の歴史を学ぶ」運動だ。
私は以前、BitterWinterで、このキャンペーンの主たる特徴と、「歴史を支配する者が国を支配する」という習近平のマルキストとしての言説について説明したことがある。
そこで述べたように、中国共産党について考える時は、「文書と保管資料の調査研究を基に歴史的な真実の確認に努める」という、歴史についての”ブルジョア的な捉え方”を忘れるべきだ。マルキスト的な歴史の捉え方は、「共産党を力づけ、強化することに役立つように、”事実”を語る」ことなのだ。
だが、キャンペーンはうまくいっていないようだ。いくつかの常軌を逸したその中身は、中国共産党が「歴史的虚無主義(に関係する有害な情報」と呼ぶものを排除するため、習近平が”歴史”を重視していることに、迎合する形で作られたものだ。
「歴史的虚無主義」とは一般に、「今生きている世界、特に過去および現在における人間の存在には意義、目的、 理解できるような真理、本質的な価値などがない、とする考え方」を指す、とされているが、ここで使われる「歴史的虚無主義」という言葉は、「中国の歴史を研究、学習する際に、外国の歴史学者による中国共産党非公認の文献を使うこと」、あるいは「中国共産党とその指導者たちの主張を補強する手段として歴史を見ず、歴史を学ぶのにブルジョア的手法を採ること」を指す、中国共産党独自の”符号”だ。
2021年4月9日、中国サイバースペース管理局(CAC)は、中央ネットワーク情報室・報告センターという下部機関を通して、共産党非公認の歴史を語る内容をインターネット上で見つけたら報告するよう求める文書を、全国民宛てに発出した。国民をスパイとして動員するのは、中国共産党の以前からのやり方だ。
4月13日、報告センターは4日後の13日に開かれた党の歴史学習推進会議に次のような文書を提出した。以下は、Bitter Winter が入手、翻訳した内容。
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オンラインに掲示された歴史的虚無主義および誤った発言は、12377の電話に申告するようにー歴史的虚無主義に関わる有害情報の報告センター
中央ネットワーク情報室報告センター
本年は、中国共産党の結党100周年にあたり、党の歴史を学び、思想を理解し、実質的な結果を導き出し、新たな状況を切り開くことに、全党挙げて取り組む。習近平・党総書記が党史研究キャンペーンの動員会議で強調したように、私たちは歴史的虚無主義に明確に反対し、思想的指導と理論分析を強化し、党の歴史における主要関心事への曖昧な理解と一方的な理解を排し、根本を正し、基盤を強化せねばならない。