・「強姦され、拷問され、屈辱を受けた」新疆ウイグル自治区などでの人権侵害に関する民間法廷で被害者24人が証言(BW) (2021.6.9 Bitter Winter Ruth Ingram) Sir Geoffrey Nice QC explaining the purpose of the People’s Tribunal. 中国政府・共産党が新疆ウイグル自治区などでウイグル人イスラム教徒に対して行っているとされる人道的犯罪の実態を解明する法律専門家などによる「ウイグル法廷」が4日から7日にかけてロンドンで開かれた。 ”裁判官”は、国連の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で元セルビア大統領のミロセビッチを「大量虐殺(ジェノサイド)・人道に対する罪」などで起訴した検察側で副検察官を務めた、英国の弁護士、ジェフリーナイス卿ら8人で構成。 今回は、被害者たち24人から証言を聴いたが、さらに9月に第二回の証人尋問を行い、12月に判決を下す予定だ。 この裁判は米国とオーストラリアの政府から支援を受けている。中国政府にも4回にわたって出席を求めたが、「違法」かつ「新疆ウイグル自治区の2500万人の民族グループに対する深刻な挑発」と決めつけ、無視した。 ・・・・・・・・・・・・ 法廷は事前に、300人の証人陳述書を読解して40人の証人を選び、今回、うち24人から証言を求めた。今回の聴取では、新疆ウイグル自治区などでの、不当な裁判、警察行為、正当な裁判なしの処刑、拷問、強姦などの実情が語られた。 具体的には、収容所での、飢えと屈辱、恐怖を与える音響装置付きの拷問部屋、「虎の椅子」という拘束・拷問用具、低温の液体に首まで沈められる「水部屋」での死の恐怖が語られ、偽りの「犯罪」を告白させられた少女が看守に繰り返し性的に暴行され、100人の受刑者たちはそれを見るように強制され、絶えられずに背を向けた者は罰せられた。 ある若い女性は収容所の警備員に毎夜連れ出され、暴行され、出血し、茫然自失のまま戻ってきた。ある収容所の教員をさせられたウイグル人によると、収容者の中から臓器摘出のための人が選ばれた。 陳全国が2016年に新疆ウイグル自治区書記に就任して以来、顕著になっている残虐行為に対して、中国は国連安全保障理事会での拒否権を盾に説明責任を免れ、国連の司法機関である国際司法裁判所も事実上無力だ。 ジェフリー卿は開廷に当たって、「中国に対して、1948年の世界人権宣言に対する多くの違反に基づいてなされた申し立ては重大だ。 人道とジェノサイドに対する犯罪は深刻」と語り、集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)が第二次世界大戦直後に国連で採択、発効して70年以上経過しているにもかかわらず、何の効果もないことに、強い遺憾を表明。「各国政府が条約を履行する義務を果たすことができない以上、我々がその空白を埋めざるを得ない」と強調した。 今回の法廷には、現在居住している米国、スウェーデン、ノルウェー、ドイツから実際にロンドンに来て証言した人とともに、インターネットによる証言した人もいたが、いずれも、怒りと悲しみ、絶望の状態に置かれた新疆ウイグル自治区のイスラム教徒たちの実情を強く訴え、その痛み、苦しみが世界の多くの人々に共有され、正義が行われるようになることを強く希望した。 Qelbinur Sedik, a former camp teacher, showing her summons for compulsory IUD insertion at a local clinic. 証言者の一人、収容所で教師をさせられていたケルビヌール・セディック氏は、「今、私は自由ですが、友人たちは、まだ収容所に入れられたまま。若い男女が最もひどい拷問を受けています」と語り、さらにBitterWinterの取材に対して、「私は、虐待の真実を語ることにできない彼らを代表して訴えているのです。そのことを決して忘れません」と述べた。 (翻訳・編集「カトリック・あい」) *Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。 ツイート